へんちくりん江戸挿絵本 (インターナショナル新書)

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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本棚登録 : 71
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680348

作品紹介・あらすじ

京伝の奇想!
北斎のユーモア!
南畝の異才!――-

現代の漫画とみまごうトンデモな発想が江戸時代にあった!

多彩な出版文化が花開いた江戸。本書で取り上げるのは、それらさまざまなジャンルの本を徹底的にいじり倒したパロディ本である。
遊里に遊ぶ神仏、おかしな春画、トンデモ実用書、センス抜群の模様帳、へんてこ妖怪、奇妙な地図……。
黄表紙、滑稽本、狂歌本、春本などにみえる、日本美術の範疇からこぼれ落ち忘れられていた貴重な「へんな和本の挿絵」100点以上を掲載し、その見所を解説する。

推薦!
諸星大二郎氏
「私は変なモノが好きですが、江戸時代、私以上に変なモノが好きだったり、真面目にフザケていた人たちがこんなにいたんですね!」
田中優子氏
「なんと多様豊饒な発想! この江戸を覗いたら、日本に希望が持てます」

「知」を「絵」でちゃかす江戸挿絵本の魅力!
(掲載図版より抜粋)
●第1章 神仏の巻:遊里に遊ぶ地蔵と釈迦/手をレンタルして儲ける千手観音
●第2章:思想の巻:中国七賢の変なジャンケン
●第3章 学問の巻:奇妙な星座(梅星、起上小星)/性器を動植物になぞらえた図譜・仕周鯛(したい)とは?
●第4章 文学の巻:唐詩選のパロディ春画は天狗と花魁、僧侶と女形、脱衣婆と美男など多様性の宝庫
●第5章 実用書の巻:脇差しをさやごとのむ術、火の上を走る術、うつ病をなおす術などのトンデモ実用書
●第6章 模様図案の巻:希代のアイデアマン山東京伝考案の鼻毛、もやし、するめ、やぶ蚊、足袋などを使ったセンス抜群の模様とは?
●第7章 怪異の巻:妖怪のら息子、しわん坊(ケチのこと)、癇癪の虫etc.
●第8章 日本の巻:「日本国」ならぬ「月本国」とは?
●第9章 世界の巻:女護が島、毛人国、後眼国、羽民国はどこに?

【著者略歴】
小林ふみ子 法政大学教授。1973年、山梨県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近世文学・文化。
著書に『天明狂歌研究』(汲古書院)、『大田南畝 江戸に狂歌の花咲かす』(岩波書店)、編著に『絵入吉原狂歌本三種』(太平書屋)、
共著に『狂文宝合記の研究』『江戸見立本の研究』(いずれも汲古書院)、『別冊太陽 北斎決定版』(平凡社)ほか。

感想・レビュー・書評

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  • 『へんちくりん江戸挿絵本』日本絵画がもつ へんちくりんな「ゆるさ」 - HONZ
    https://honz.jp/articles/-/45164?print

    小林ふみ子『へんちくりん江戸挿絵本』(集英社インターナショナル新書) - 文学通信|多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出す出版社
    https://bungaku-report.com/blog/2019/02/post-404.html

    小林教授著『へんちくりん江戸挿絵本』が刊行 | 法政大学 文学部 日本文学科 -(2019年5月12日)
    https://nichibun.ws.hosei.ac.jp/wp/?p=4274

    へんちくりん江戸挿絵本 | インターナショナル新書
    http://i-shinsho.shueisha-int.co.jp/kikan/034/

  • 江戸時代の知識の図像化の先にあるのは、パロディ化?
    奇妙で洒脱な「へんな挿絵」100点以上を掲載し、解説。
    第1章 神仏の巻  第2章 思想の巻  第3章 学問の巻
    第4章 文学の巻  第5章 実用書の巻  第6章 文様図案の巻
    第7章 怪異の巻  第8章 日本の巻  第9章 世界の巻
    所蔵先リスト、主要参考文献有り。
    様々な知識が図像化して普及した、江戸時代の出版文化。
    それらの情報をパロディ化した、遊び心溢れる
    へんちくりんな「挿絵」の数々を紹介し、解説している。
    その緩さと、権威や常識を茶化すのは、老荘思想の影響か。
    力を抜いて自然体で諸芸を愉しむ感性が培われた、風流人たち。
    そのパロディの元ネタを見抜いて楽しむ、人々。
    というか、元ネタが分かる江戸時代の人々の、
    いかに知識が豊かだってことの、驚き。
    神や仏が遊び惚け、七賢人が七拳で遊び、話題や人気を見立て、
    漢詩を切取りこじつけ、『房事選』はなんじゃこりゃな春本、
    実用書や占い本でふざけ、鰻の蒲焼やシラミを小紋の文様にし、
    老若男女を妖怪化し、日本国の成り立ちをネタにし、
    混沌とした当時の世界観をも「へんな挿絵」で表現しています。
    絵は狂歌の面白さを引き立て、見立ての妙が粋。
    しかも、当時の風俗や生活習慣、流行、
    噴煙を上げていた富士山の姿までを現代に伝えてくれるとは。

  • 江戸時代に出版された黄表紙、春本、滑稽本など、さまざまな書物のへんてこで面白い挿絵をテーマにした一冊だ。

    今まであまり一般に知られていないものを、ということなので、紹介される絵は有名人の描いたアート、というよりは、へなちょこでなんだこりゃというようなものが多い。

    しん、とか、かみ、という言葉を「神」にひっかけて珍妙な神様図鑑を作った書物では「精進(しょうじん)」が精進野菜的なものの集合体で描かれていたり、現代のゆるキャラに通じるような可愛さと気の抜けた感じがあって、江戸時代の人たちと現代の感性の意外な近さを感じて興味深い。

    見立てやパロディを表現にしたものが多いのだけれど、そもそもの「見立てるモノ」や「パロディとなる元ネタ」への知識がなければその面白さはわからないわけで、本書の著者が意図した通り、江戸の人々の知識の意外なまでの豊富さや好奇心の無邪気さなどが挿画を通じて伝わってくる。

    こういうものを、楽しみ、消費した人たちがいたんだなあ。

    今まで知らなかった新しい世界を知った気分。

  • 「へんな挿絵」を真面目に解説しているのが、逆にへんちくりんで面白い一冊。

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著者プロフィール

法政大学文学部教授(日本近世文学・文化)
著書・論文に『へんちくりん江戸挿絵本』(集英社インターナショナル、2019年)、『大田南畝 江戸に狂歌の花咲かす』(岩波書店、2014年)、『好古趣味の歴史 江戸東京からたどる』(共編、文学通信、2020年)、「江戸文芸のなかの外来者―方言と視点と」(法政大学江戸東京センター編『EToS叢書4 新・江戸東京研究の世界』法政大学出版局、2023年)、「(コラム)東アジアの地図を読む―19世紀大坂商人の東アジア」(小峯和明編『東アジアに共有される文学圏』(東アジア文化講座第3巻、文学通信、2021年)など。

「2023年 『東アジアの都市とジェンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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