- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797680546
作品紹介・あらすじ
霊や魂に関心が向けられなくなった今、日本人の精神はどこに求められるのか?
国学者・本居宣長は、漢意(からごころ)や儒意(じゅごころ)の知性より大和魂の知恵が肝要だと説いた。日本的反知性主義である。
幕末、尊皇攘夷の思想と結びついた大和魂は、戦争を契機に大いに叫ばれ、日本人の勇猛果敢な精神と捉えられた。
近世から近代にかけて強い関心が集まった大和魂だが、現在の日本人の精神はどこに求められるのだろうか。
グローバル化が成熟する今、日本での霊や魂の変遷をたどりながら、大和魂のゆくえを探る。
大和魂は、日本が外国と対峙したときに発動される。
●知性よりも知恵を重視する日本的反知性主義である。
●日本に少しでも生活した人間なら必ずやそれを宿している。
●神の定めた事柄なら善悪を超えて受け入れる必要がある。
●日本が他国に優る原因を王朝の交代がなかったことに求めた。
●水戸学と国学は尊皇攘夷のイデオロギーを生み出していく。
●松陰は自らの魂はこの世に残り続けると遺言した。
●漱石の『こころ』に出てくる「明治の精神」は大和魂(大和心)と極めて近いものである。
●折口の説は天皇霊という考え方を導入して天皇の神聖性を強調した。
●祖霊は冬は山の神、春は田の神となって子孫の生活を見守っている。
【目次より抜粋】
1章 現在の問題として考える
2章 大和魂とは何か
3章 国学、本居宣長が考えたこと
4章 平田篤胤による魂のゆくえ
5章 国体、吉田松陰を軸として
6章 戦争が大和魂を叫ばせた時代
7章 大和魂の帝国
8章 柳田國男がまとめあげた先祖という神
9章 首だけの三島由紀夫
【著者略歴】
島田裕巳(しまだ ひろみ)宗教学者、作家。1953年、東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員などを歴任。主な著書に、『葬式は、要らない』『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』『靖国神社』(以上、幻冬舎新書)、『創価学会』『世界の宗教がざっくりわかる』(共に新潮新書)、『0葬』(集英社)、『映画は父を殺すためにある』(ちくま文庫)など多数。
感想・レビュー・書評
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現在の問題として考える:
彼には大和魂がある
西のゲルマン魂と東の大和魂
国同士の「代理戦争」
戦争と深く結びつく
グローバル化に直面
大和魂とは何か:
和魂漢オということば
アニミズムの思想
神の四つの性格
一神教の魂や霊
「仏性」の存在
怨霊としての霊
霊を神として祀る
供養によって成仏する精霊
国学、本居宣長が考えたこと:
知性と知恵
反知性主義の伝統
市井の人間として生きる
「源氏物語」が学問のテキスト
もののあはれという考え方
師から託された古事記研究
他国に優る国
世の中には善と悪が存在する
平田篤胤による魂のゆくえ:
後世の評価
学問に対する異様な情熱
宣長没後の門人
死後の魂
神秘的な世界への興味
多様な人間関係のネットワーク
皇国に生まれた誇り
国体、吉田松陰を軸として:
大和魂の男子
お岩と赤穂浪士
支配者の系譜
国学と水戸学
幕府から政府へ
戦死者を弔う
靖国神社に親拝
戦争が大和魂を叫ばせた時代:
大和魂があふれかえる
かくも脆く消えやすきもの
日本人の勇猛果敢な精神
明治の精神とは?神の社
大和魂の帝国:
国学は国文学、民俗学へ
大嘗祭の本義
天皇霊を宿す器
出雲国造家の代替わり
外来魂への信仰
御裟にくるまる秘俄
折口の自由な想像力
国民は天皇の赤子
柳田國男がまとめあげた先祖という神:
国家の基軸
天皇をどうとらえるか
我が国体の本義
国体叛逆の大罪
天皇の人間宣言
日本人の神観念
子孫を見守る祖霊
首だけの三島由紀夫:
三島の首の写真
玩具の兵隊さん
自衛隊員の魂
肉体の鍛錬
中身を欠いていた思想と行動
生きるための倫理道徳
善悪が分からないモスラ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大和魂とは何ぞや、とここまで真面目に考察した本はない。「日本人の心」と言うと誰もが使う言葉で、誰もが意味を定義せずに使う。改めてこのように解析されると定義が揺らいでくる。そして今後の日本に必要な「心」とは。