- Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800212238
作品紹介・あらすじ
医師もただの人間なのだ。心が折れる瞬間もある-。血液内科の医師・波木は、日々の業務に忙殺されながらも、患者ひとりひとりと向き合い、仕事に取り組んでいた。ある日、市議会議員の堂本が入院してきた。堂本は波木や看護師に執拗に絡み、波木らは疲弊していく。堂本の度重なる攻撃に耐え切れなくなった波木の心に、恐るべきアイデアが浮かぶ…。現役医師が、現代医療の闇を描く!
感想・レビュー・書評
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血液内科の医師・波木 勇助。
日々、の多忙な業務に忙殺されながらも、患者一人一人に向き合う真摯な医者であった。
しかし、彼が担当する患者は、問題を抱える者ばかり。
特に、市議会議員の堂本は、その際たる者。波木や看護師に執拗に絡み、波木らは疲弊して行く。
とうとう、波木の心に恐るべきアイディアが浮かぶ。そのアイディアとは?
第一章 皆殺しの病棟
第二章 患者不審
第三章 ドクターズ・ライフ
第四章 殺意の死角
第五章 毒か薬か
第六章 瞬間の回生
それぞれ独立した話ですが、連なる連作になっています。
教授選に絡むやり取りは、『白い巨塔』のようですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
波木勇助は血液内科の医師として真剣に病と患者に向き合う日々を過ごしていた。しかし真摯な態度で診察をし、どうするのが患者のためになるのかと常に考えているにも関わらず、本人や家族にそれが全く伝わらずに逆に責められるようなこともあり、やりきれなさを感じていた。そして悪性リンパ腫が再発して入院してきた堂本市会議員が傍若無人にふるまい続けるのに対し、辛抱強く診療をし続けた波木も、暴力をふるわれついに限界を超え、自身の中に沸き起こった黒々とした気持ちを押さえきれなくなってしまう。
診療上での個人情報保護法や、モンスター・ペイシェントを題材とした作品である。いくら真摯に仕事をしていても、何かというと「誤診」やら「医療ミス」やら騒ぎたてる患者たち。患者本人の希望に添った治療や振る舞いをしていても、それを決して理解しようとしない家族たち。適度にガス抜きをできていればいいのだが、波木のように真面目な人間ほどためこんでためこんで、ある時を境に極端な方向にベクトルが変わり、狂ってしまう。もちろん許される行為では決してないのだけれど、波木には同情してしまう部分もある。同じく医療機関に勤める者として、似たようなことは多数経験済。私は波木ほど真面目でないので(笑)、ガス抜きはできているつもりだけれど、こういうモラルのない患者はどんどん増加傾向にあるので、こういう波木のような医療従事者も増えるんだろうなぁと思うとやるせなくなった。 -
医療ミステリ。人の命を救う立場の医者だけど、その気になれば一番簡単に患者を殺せる存在であるのも確か。もちろんそんな医者がそうそういるはずはない、のだけれど……。
過剰な労働、無知な患者からの理不尽な要求、医者不信に患者不信、モンスター・ペイシェンスの暴虐。そういった数々の障害によって、有能で熱意のある医者がどんどん壊されていくさまが恐ろしくも悲しい作品でした。
医者は患者を殺せる。けれど、医者を殺すのもまた患者なのかもしれない。そんなことを思わされてしまいました。 -
面白かった。
けど、あまりにも前半と人格が変わってしまって、私は、神様のカルテ的な前半のまま、何とかならなかったものかなと思ってしまった。 -
この著者の作品は初めてだったが、
結構楽しく読めた。
他の作品も読んでみたい。 -
各章はそれぞれ面白かった。主人公の医師が犯罪を犯す動機がやや弱く、前半と後半で二つの物語を読んだ感じ。
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タイトルだけ見て、どうしても助からない病状の方がいる病棟の話なのかと思って読み始めた。合ってるけど合ってない。ジャンルはミステリーでしたよ。ドクターが壊れて行く話だった。モンスターペイシェントのあたりはリアルで病棟スタッフにかなり同情してしまった。その分、後半〜結末は作り物っぽさが目立つ気がしたかな。
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ステルベンというドイツ語の意味を知っていれば読む前に話の行く末を想像できたかもしれないけど、知らなかったので出だしからしばらくの話ですっかりそのまま話が続くと思いこんだ。話は途中から急展開。頭を切り替えればまたそれなりに楽しめるのだけど、最初のトーンで展開して欲しかったな最後までとも思うけど、それではエンターテイメント性が低くなるのかもしれない。
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かなり予想外な展開が多かった!