光とは何か (宝島社新書)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800215369

作品紹介・あらすじ

光とはいったい何か?-身近な存在ながら謎の多い、不思議な光の性質とその応用技術に関するすべてがわかる一冊。21世紀が「光の世紀」と呼ばれる理由は、本書を読めばわかる!

感想・レビュー・書評

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  • 小学生に虹や光について話す機会があり、予習のために読んでみた。100%文系の私でも解りやすかった。

  • 江馬一弘(えまかずひろ)さんは、1961年静岡県生まれ。上智大学理工学部教授。工学博士。専門は光物理。身近な物理現象を題材に、物理の面白さを伝える講義も行っている。書に『人に話したくなる物理ー身近な10話ー』などがある。

    ニュートンプレス『ニュートン式超図解 最強に面白い!光』2021出版 とともに読んだ。

    図書館、子どもの科学遊びワークショップで、子ども達が光についての実験をしていた。この本はそのワークショップで紹介していた本。何も知識がない状態で借りて読んでみた。
    ・わかりやすい・・とは私には言えず、わからないところはわからなかったけれど、公式とかは使わず、丁寧な説明と例えで説明してくれているところと、難しいところは難しいと書いてくれている点がわかりやすく想像しやすく読み続けることができた。

    メモ(無知な自分用!)
    ・「見える」という感覚は、光(光線)が私達の目に入り、眼球の奥にある網膜の細胞を刺激して、その刺激が能に伝わることで起こる。
    ・光があなたの目に直接入らずに目の前を通りすぎたものは見ることができない。「外から差し込む光を横から見たことがある」と思うかもしれないが、これは空気中をただようほこりや水滴などの小さな粒子に光が当たって、光が四方八方に飛び散っている(散乱している)様子を見ている。
    ・「光の三法則」→光の直進、反射、屈折という性質。
    ・光には多くの仲間がある(電波、紫外線、エックス線、赤外線、ガンマ線・・総称して「電磁波」という)。どれもみな、電気的な波であり、それぞれの違いは、波長の違いである。
    ・古代や中世では光の速度は無限大であり時間はゼロだと考えられていたが、ガリレオガリレイが疑問を持ち、光の速度は有限ではないかと考えた。
    →実験は失敗。有限であると証明したのはデンマークの天文学者レーマー(1976)、そしてフランスの物理学者フィゾー(1849)、改良実験を行ったのはフランスの物理学者フーコー(1862)。現在では、、光の速度は実験によって求めるのではなく、「定義」された値になっている。
    「真空中の光の速さは定数c=秒速29万9792.456メートルである」と定義されている。
    ・ものが見えるのは乱反射のおかげ。りんごの表面はつるっとしてみえるが拡大するとでこぼこしており、そのでこぼこに光が当たって乱反射して私達の目に光が届いている。
    ・光が空気中から水中に入射したときに光が屈折する。この、光の入射角と屈折角の関係を示すのが「スネルの法則」。
    屈折率の大きな物質に入射するほど、光は大きく屈折する。
    より斜めに入射するほど、光は大きく屈折する。 という二つの特徴がある。
    また、入射角を大きくすると、光は空気中には出ていかずに、すべて水面で反射して水中に戻ってくることがある。これを全反射という。全反射が起き始める角度を「臨界角」という。
    ・自然界の現象には、「何かの値が最小になる」ようなふるまいをするものが少なくない。自然現象を見る際に「自然は無駄な動きはしない」という視点をもっておくとおもしろい。
    ・太陽の光をプリズムに通すと、無色透明の光(白色光)が虹の7色にわかれる。光がさまざまな色の光に分かれることを「光の分散」という
    イギリスのニュートンが、「プリズムは白色光に色を付ける道具ではなく、光を分ける道具だった」と発表。全部の色があわさると白に見える、その混ざり合った色を分けたのがプリズム。虹の色が7色だと言
    ったのもニュートン。
    ・虹は、空気中の無数の水滴がプリズムと同じような働きをして太陽光を様々な色に分散させることで起きる大気現象である。虹のアーチは実は円、高い位置にのぼれば地面の下に隠れない、全円の虹がみられる。また、虹の根本にはけっしてたどりつけない、。観測者が動くと、別の場所の水滴からの光の目に届くので、動く前とは「別の虹」が見える。
    虹は実体として存在しているわけではない。それぞれの人が、空のそれぞれ違う部分にある水滴から来る光を見ている、つまり「それぞれの虹」を見ているのだ。
    ・「空気には色がないのに、空はなぜ青いの?」
    大気はとうめいだが、空気中には窒素分子や酸素分子などさまざまな分子が存在している。これらの分子が、太陽からの光をわずかに散乱させている。この時、波長の短い光(紫、青)の方がより多く散乱される。(赤系は波長が長い)。私達が昼間の明るい空を見上げると、太陽光に含まれる紫や青色の光が空のあちこちで強く散乱されて私達の目に飛びこんでくるため、空が青く見える。さらに、人間の目は青色を感知しやすい構造なので、空は紫いろではなく青色に見える。
    ・「夕焼けはなぜ空が赤くみえるの?」
    夕方になると、太陽の光は地平線方向からやってくる。このため、太陽光が地球の大気を通過する距離は昼間よりも長くなる。空気中の分子に散乱されやすい紫や青の光は遠くで散乱されきってしまい、散乱されにくい赤色の光が残っているため、夕日や夕焼けは赤っぽく見える。
    ・火星では昼間の空はだいだい色に見え、夕焼け空は青く見えると考えられている。地球と正反対。火星のわずかな大気には酸化鉄の微粒子、「鉄さび」が覆っているため、赤く見える。夕焼けでは太陽光が大気の層を長く通過するために、赤色の光は遠くで散乱されきってしまい、結果として残った青色の光が火星の地表にとどく。
    ・「海が青いのはなぜ?」
    空とはまた別の理由。水は、赤色の光を吸収する。水分子(H²O)はたえず振動を起こしており、その振動数に一致した光(赤)がやってくると水分子は光を吸収してしまうから。海中の塩分やプランクトンの量によってはエメラルドグリーンや黒っぽい紺色に見えることもある。
    ・「なぜ目で物が見えるのか?」
    視覚と光の関係に初めて気付いたのは、イスラムの科学者、イブン・アル=ハイサム
    (10世紀~11世紀)。太陽などの光線から出た光が物体に当たって反射し、その光が目に入ることで物が見えると主張(正しい)。
    ・エックス線は、1895年、ドイツの物理学者レントゲンが発見。ガラス管の内部を真空にして高電圧をかけたところ、目には見えないが紙や布を透過する何かがある!?と、妻の手に何かにかざしてみたところ、手の内部の骨の像を見ることができた(自分の手でやりなよ 笑)正体が不明であるため、数学で未知数をあらわすエックス(X)線と名付ける。
    ・電磁波は、波長の短いものほど振動数が高く、早くなる。物質の中で電子が振動すると、光がうまれる(振動する電場がうまれて、それが波のように空間を伝わり光がうまれる)。振動数が大きい(波長が短い)電磁波ほど、エネルギーが高くなる。
    ・「宇宙の恒星は星によって色が違うのはなぜ?」
    恒星は熱放射によって光を放っている。表面温度が摂氏3000度程度の恒星は赤い光を多く放つ。表面温度が摂氏6000度くらいになると黄色く見え、1万度を超える恒星は白から青に見える。表面温度が高くなるほど、振動数が大きな(波長の短い)光が熱放射によって多く放出される。

  • 光がどういうものか、ざっくり知りたい人におすすめ。数式もない。

  • 新聞評を見て購入してから、時間が経ってしまった。
    以前「重力とは何か」という本を読んだので、てっきり同じ出版社の同じシリーズの新書かと思ったが。(黄色い本だし)
    著書のニュートン別冊は読んだことがあり、屈折の現象の車軸に置き換えた説明は既読だが、その後が違う。軸があるわけないが、波の集積が軸があると同じ現象を起こすとの説明。
    反射、屈折、そして物質が光を遮ることが、あるレベルの説明がミクロのレベルでは全然違う説明になるのが面白い。
    難しい処は上手く端折って、それでも物理の深いところをしっかり伝えている。
    良書だと思う。

    電磁波について、こういう本が欲しいなあ。

  • 【ワクワクする】
    光とは何か?と聞かれて明確に答えることができる人はほとんどいないでしょう。その通りです。わたしも答えることができません。

    電気的な波ということはなんとなく理解できますが、粒子の性質も持ち合わしているところがなんとも不思議です。

    実際に存在する事実だけれども、解明できていないことはワクワクします。

  • 今年は国連が定めた国際光年ということを知る人はほとんどいないだろう。
    私もこの著書を手に取るまでは全く存じなかった。
    http://iyl2015-japan.org
    光とは、波であり、粒である。
    本書佳境にて示される定義であるが、私はこの一冊をじっくり読んだつもりだが、光についてはまだまだ、ピントがボヤけているのが正直なところである。
    虹ができるメカニズム、透明マントの現実性などなど光を巡るエピソード満載のこの本を読めば、光に対しての興味が深まるのは間違いない。
    ただし、光の本質に触れるには、物理、化学など、様々な基礎知識が必要なことも理解できた。

    私自身の名前でもあるのだが、光は自ら自身よりも、他の物質との関連性で意味を発揮する存在である。
    この本をきっかけに、少しずつ光の世界に触れていきたい。それは、きっとワクワクさせる21世紀の技術イノベーションの主流になるはずだから。

  • 光の屈折の仕組み、光の三原色、色の三原色といった色の仕組みは、よく分かった。類書をあまり読んだことがないが、他の一般書にあまり書かれていないことが平易に書かれている点は読んでよかったと思う。

  • 日経の書評で見て。「光とは何か」というアインシュタインも悩んだ問題をわかりやすく解説している。ほんとうにわかっているからこんなにカンタンに書けるのだろう。また、難しいことは、難しいから省いたとか、ちゃんと書いてあるので、より理解が進むのだと思う。

  • 物語を本当に理解している人は、このように易しく、楽しく理解出来る説明が書ける。更にもっと知りたいという気にさせる。素晴らしい入門書です。

  • これは当たり。
    未来ある少年少女向けに易しく、かつ、面白く書かれていて、当方のような素人にはもってこい。
    こういう本ならお金を出して買って少しでも世に間接的にでも貢献したい。
    しかし何ですな、物理の世界の方はほんと例の引き合いが上手。レベル、住む世界は違えどこの点だけは学びたいもの。

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著者プロフィール

上智大学理工学部教授

「2016年 『[図解]きほんのき 2時間でわかる身近な物理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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