インサイド・フェイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800239792

作品紹介・あらすじ

行動心理学を用いて相手のしぐさから嘘を見破る、美人刑事・楯岡絵麻。その手腕から"エンマ様"と呼ばれる。離婚した元夫に刺されたという被害者女性の証言により、被疑者の取調べに当たった絵麻。しかし、ふたりの娘が三年前に殺されていた事実を知った絵麻は、筆談でしか応じようとしない不可解な行動をする被疑者から、ある可能性を感じ、後輩の西野とともに調査に乗り出すと…。自供率100%を誇る美人取調官「エンマ様」シリーズ第3弾!

感想・レビュー・書評

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  • マイクロジェスチャーなどにより、被疑者の嘘を見極める。
    〈エンマ様〉こと楯岡絵麻のシリーズ第3作。

    今回は、ライバルである筒井・綿貫コンビの視点が多め。
    彼らの道化ぶりがおもしろかったし、絵麻・西野コンビとの共闘も、新しい展開。

    絵麻の取り調べシーンが減ることで、脱マンネリ化でもあった。

    医療看護法病棟という問題も、新鮮。

  • 題名に拘る私としては、これまでの三作とも題名が強調されていないように感じる。
    本作は4つの物語ではあるが連作として描かれている。4つの章の題名にもしっくり来ないのが残念だ。

    インサイドフェイスという題名に対し、ひとつ目は「目は口よりもモノを言う」、大学の基礎心理学ノンバーバルコミュニケーションで学んだ記憶が蘇る。しかし、内容はこれまでと大差がない。

    「狂おしいほどeyeしてる」は、想像がついてしまった。絵麻がなだめ行動を見極めるのは顔だけでないので、余計にインサイドフェイスという表現がしっくり来ない。繋がりがあるともっと良かったのにと思う。

    「ペテン師のポリフォニー」は多少わかる気がするが、独立したパートが奏でる音楽とギャップを感じてしまう。そしてどこかであったようなストーリーだ。ローボールテクニックは何度も出てきたので覚えた。適応、ピグマリオン効果は基礎心理学や教育心理学で学んだ気がする。心理学の基礎が楽しく学べるシリーズかもしれない。

    「火のないところに煙を立てる」はクライマックスを迎える。題名にばかりを気にしながら読んでいたが、それどころではない展開が待っていた。ハラハラドキドキな展開だ。メンタリスト楯岡絵麻が真価を発揮する。

    全編を通して愉快に感じたのは、筒井、綿貫ペアである。このふたりが作品の程よいアクセントになっている。2人の気持ちの変化も読み処だ。題名以外は、特に内容はよく考えられて表現も好印象が残った。

  • 今回も行動心理捜査官の楯岡絵麻は無敵だった。安心して読めて、まあ面白いんだけどね。すごい緊迫感はないかもしれない。医療観察法病棟に舞台を据えたのが目の付け所がいいと言うべきだろう。実際には今どんな状況になっているんだろう。ちょっと怖いところである。

  • 楯岡絵麻シリーズ第3弾。
    3つの短編を経て向かうは詐病で入った犯人に支配された精神医療研究センター。その犯人八坂と対決するストーリー。
    子供を殺された夫婦の復讐計画から始まり。職員にとって生き地獄となってしまった医療センターの実情。
    地獄から解放されるために影で練られた計画。
    それぞれが生きるために味方も利用し行動する様は、極限まで追い込まれた人間心理を見ているかのようでした。
    現実には信じられない。フィクションである事を切に願う。
    そんな後味の悪さを残した作品でした。

  • 1話完結じゃなく、ちょっとずつ伏線が敷かれ、回収していくのがシリーズの中でも1番面白かった!
    サイコパスや、これ、あの人だよねー?と思わせるような登場人物もあり。
    やっぱエンマ様凄いわ。

  • シリーズ第3弾。
    前作で絵麻が長年憎んでいた犯人との対決が完結し、今作からの展開を楽しみにしていたが、今作では絵麻を敵対視する同僚の筒井の目線を交えながら描いた4作を収録。
    1作目は絵麻と筒井の取り調べの様子を比較して描いており、最初の頃の取調室のみの描写へのこだわりが復活したかと、個人的には嬉しかったけど、2作目からは憲法第39条を利用した強敵の犯罪者との対決が描かれる。
    統合失調症を手玉に取る新たな犯罪者と絵麻の対決。
    これはこれで見応えがあり、次作も楽しみ。

  • エンマ様シリーズ3作目。今回もかなり面白かった。前作が結構スリリングで山場っぽかったから、今回はどうかなあと思ったけど、予想以上にハラハラドキドキ。一話完結だけど、ちゃんと繋がってる感じが面白い。筒井・綿貫コンビがかなりいい味出してた。心の奥底では信頼してる、認めてる感じがいい。最後のお話は本当に結末が分からなくて、どうなっちゃうのエンマ様!って感じで一気に読めた。でもこれが現実だったら、本当に怖い…。次のお話も出てるっぽいので楽しみ!

  • 前作で、物語の山場は過ぎてしまったかなと思ってたぶん、余計に楽しむことが出来ました。
    もちろん、最後の話はハラハラさせられたし、もしや今後は、筒井刑事もエンマ様側になるのでは??と思ってみたり。
    続編、たぶんあるんでしょ?乞うご期待です。

  • 筒井さんかわいそう(^^;)
    三田村さんがやたらやって来て。
    狂ったフリした三嶋と耳が聞こえんふりした小比類巻の取り調べのやり取りはちょっと面白いけど。

    樋口の車椅子は凄すぎた。小比類巻とは役者が違いすぎる。

    この病院のからくりはぞっとした。
    なんでこんなことに。
    職員にまで化けてたとわ。
    病院から出ていった人数の謎も怖いし。
    この病院の人間みんな怖い。

    それにしても絵麻には恐れ入る
    西野もそのメッセージをちゃんと読みとって。
    最後は筒井もいい人で。
    けどやっぱこういう集団洗脳系の事件
    ホンマに怖い。

  • 取調室から出て、だいぶアクティブなエンマ様でした。ドラマ版よりも内容が濃くて面白かったです。
    組織や派閥争いとか関係なく、純粋に事件を追っているのがいいです。

  • サイコパスや人格障害者、統合失調症の詐病、新世紀のベートーベンや病棟のマインドコントロール等を描く四編。精神医学が安定の興味深さ。絵麻をライバル視する男性刑事視点も登場し、巻を追う毎に加わる新要素でシリーズとして飽きない。少女のバラバラ死体がさらっと書かれるのに応える。想定外の拳銃に大分無防備。。

  • 詐欺犯をおいつめる楯岡絵麻は、心理分析のプロ。
    独特のアプローチで、嘘を見破る。
    詐欺を組み立てるには、嘘の存在が大きい。
    その嘘が、どこにあるのかを見つける。
    本物の詐欺師は、自分の中でも、嘘を真実だと思う。
    だから、自分を詐欺師と思っていない。
    いわゆる 天性の詐欺師である。
    「他人への共感を抱かず、自らの目的達成のために利用する駒としか考えない」
    強い自己顕示欲と権力への信仰。
    高級ブランドで身を固めることで、認知させる。
    全ては、自分自身への自信のなさのと強力なコンプレックス。

    殺人事件の解明。
    目は口よりもモノを言う。狂おしいほどEYEしてる。
    ペテン師のポリフォニー。病院がコントロールされる。
    刑法第39条の悪用。
    火のないところに煙を立てろ。

    プラダ、合コン、赤いバッグ、カモメ。
    から、無理やり謎解きをする。
    謎かけは、謎解きがあって、初めて成り立つ。
    楯岡絵麻。面白い。

  • 行動心理学を駆使して、相手のしぐさからうそを見破る美人刑事 楯岡 絵麻。

    「キミに訊いているんじゃない、キミの大脳辺縁系に質問しているの」...
    相変わらずの楯岡節がうなる。

    離婚した元夫に刺されたという被害女性の証言により、元夫の取り調べに当たった楯岡。
    しかし、元夫は、筆談でしか応じない。...

    取調室のシーンが多い本作品シリーズですが、今回は、後半、カーチェイスも含めて、派手な立ち回りがあります。

    たとえ、法律に不備があるとしても、その法律には従わなければならない。
    当たり前のことですが、被害者の関係者の方々には、割り切れないものがあるかも知れません。

    最後のシーンで、本当の犯人は誰なのか、分からなくなりました。

  • 筒井・綿貫コンビが今回絵麻・西野コンビと大活躍。でも筒井・綿貫コンビは普通の人で、絵麻は想像を超える人なんだと良くわかる。ゴーストライターの事件のモデルはどう考えてもあの人だよね〜。そういえばあの人は最近どうしているのかしら。精神障害?人格障害?の犯罪についての処罰は考え直したほうがいい。人が殺されて裁かれないのはどうしても納得がいかない。

  • 前作も面白かったので期待して読みましたが、期待にそぐわぬハラハラの展開が良かった。作り物の世界なんだけど、作り物としてのクオリティが高いと、作り物なんだよなあと白けずに読み切れる。その世界に耽溺できる作品は一流だと思います。読者を騙し切るというか、読者の目線を惹きつけるというか。エンマ様の行動心理学の講釈もとっても興味深い。もしかして自分にもできるんじゃねえか!?と勘違いしてしまうけど、DaiGoが 「色々と講釈たれてますけど、あれは嘘です」と言ってたことを思い出す。要は相手への究極の共感らしくて、本作のようにうまくはいかないってことはよく知ってるんだけど、それでも…と思わせてしまう作者はすごい!

  • 3作目。今回は協力プレーにニヤニヤしました。筒井さんのエマへの評価が少しずつ変化して行くのがよかった。このシリーズは読みやすくて好き

  • シリーズ第3段。

    【目は口よりもモノをいう】
    ・・・シリーズ既読者には「ああ、これこれ~」っとなる、良質のワンパターン。
    ・・・「はじめまして」の人には、世界観の紹介編ってところかな。

    【狂おしいほどEYEしてる】
    ・・・事件の核心部以外はもはや、コメディ?その“間”が心地よかったりする。
    ・・・刑法第39条、、、う~ん。自分に置き換えたら他人事じゃないよな・・・と思うが、その切実な気持ちは、当事者にしか分からないだろう。
    ・・・「新たな敵」の影。被害者夫婦に詐病をほのめかした輩が、不気味。

    【ペテン師のポリフォニー】
    トリックもの。まあ、面白く読めはしたが、謎解き重視になってしまうと、どうしても軽く感じてしまう部分があるのは否めない。

    ・・・それにしても……、このネタ、“サムラゴウチさん”の関係者から訴えられたりしないのだろうかと、余計な心配が沸いて出てきた(笑)。初出が2014年でこのネタって……、タイムリー過ぎでしょ。


    【火のないところに煙をたてろ】
    詐病者による病棟支配……ってう、トンデモ設定、トンデモ展開に一瞬引きかけるも、逆に一歩突っ切って、エンタテインメントととしての臨場感とワクワクドキドキを高めてくれた♪

    ーーーーーーー読了ーーーーーーー

    予め、書き下ろしである最終編を逆地点と定めてあったかのように、連載分の3編を通して筒井刑事の人となりを描写してきてあるのが、ニクい演出だぁね。

    クライマックスでの“誘導暗示”の手法のトンデモ具合は大きいけれど・・・メンタリストDaigoだののパフォーマンスを目にした経験もあれば、フィクションと割り切りつつも白けることなく展開を楽しめた。

    ★4つ、8ポイント。
    2017.03.05.古

    ※シリーズ1作目のレビューに、「映像化希望」「映像化するなら、堀北真希で」的なこと書いた記憶があるのだが・・・ちょうど、この本を読み始めた翌朝に目にしたのが、“堀北真希、芸能界引退”のニュースだったという(苦笑)。

  • シリーズ最高作だと思う。ゴーストライター来たかぁと思ったがもう一人ゴーストを仕込むとは!
    医療施設を患者がマインドコントロール下に置くという発想も面白かった。

  • 面白かった。
    大脳辺縁系に問いかけ、なだめ行動をサンプリングしながら相対する人達の真意を汲み取っていきたい。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    行動心理学を用いて相手のしぐさから嘘を見破る、美人刑事・楯岡絵麻。その手腕から“エンマ様”と呼ばれる。離婚した元夫に刺されたという被害者女性の証言により、被疑者の取調べに当たった絵麻。しかし、ふたりの娘が三年前に殺されていた事実を知った絵麻は、筆談でしか応じようとしない不可解な行動をする被疑者から、ある可能性を感じ、後輩の西野とともに調査に乗り出すと…。自供率100%を誇る美人取調官「エンマ様」シリーズ第3弾!

    2を飛ばして第3弾を読んでしまったが問題なし。期待した1弾はわざとらしい描写と時々入る茶々の入れ方(鼻をつまむなど・・・)に同調出来なかったが、慣れたのかこちらは内容にのめり込めた。相手の本能に従った動きに目を向けるってのはおもしろい。

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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