カラー版 1時間でわかる西洋美術史 (宝島社新書)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800287267

感想・レビュー・書評

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  • 美術館に行く前の予習や行った後の復習で味わうなどに利用。
    さらっと読める。カラーで多くの絵画が載っていてこの値段はスゴイと思う。
    ミロ展を観てあと、ダダリズムのことが知れて良かった。

  • エジプトの古代オリエント美術は、来世思想に基づき、形態把握がしやすいように合理的に描かれている。そのため、重要人物は大きく描かれる。また頭手足な横、胴体は正面から表される。

    キリスト教美術は、目で見る聖書。非識字信者に対する教化を目的としている。
    その後ビザンツ帝国下で、モーセの十戒を参照したイコノクラスム(聖像破壊運動)が起こることで、写実性が失われたが、偶像崇拝肯定派が政権を取ることで、表現技法が豊かになる。
    ロマネスク美術に入り、木造だった教会が石造化。これは、永久性を象徴するもの。なお、ロマネスクは、ローマの神殿を語源とする。絵画や彫刻は、建築の一部なので、デフォルメされているケースが多い。
    一方、ゴシック美術は、建築と絵画彫刻が独立。写実性が向上。

    ルネサンスより、「古代文化の復興」と「人間中心主義」をモットーに、人間の理性と感情、現実世界の価値を重視する世界観に移行。遠近法や解剖学を元にし、科学的に写実性が進歩。この辺りから、哲学がテーマになる絵画が現れる。
    その後、宗教改革により、プロテスタント圏では聖画が禁止されたことにより、風景画が栄える。
    バロック期のテーマは「規範からの逸脱」。教会天井画では、イリュージョニズム(平面に奥行きがあるように見せる)が流行。後にこの時代は、「歪んだ真珠」を語源とする「バロック」を冠するようになる。
    後期は、フランス発祥のロココ美術が栄える。今が楽しければいい、虚しさなど感じなくてよいという楽観的精神性を元に、軽妙洒脱、享楽的な芸術が発展する。

    19世紀に入り、産業革命後、新古典主義(ギリシャ美術の再興)が発展。ロココ精神を否定し、規範と正確性が求められた。それを否定するように、ロマン主義が台頭。アカデミックな美学に疑いを持ち、デッサンを重視。
    同時期には、写実主義(リアレスム)vs自然主義が勃発。歴史画を頂点とする発想と、労働者や農民をテーマにした日常的風景をテーマにした発想で対立。
    その後、社会の暗い面ばかり描く他派に対し、もうすでに都市生活は豊かになっており、軽快さと洒脱さを求め、疑問を投げかけたのが印象派。
    ちなみに印象派の語源は、モネの『印象・日の出』への皮肉「印象しかなく、描きかけの壁紙の方がマシから来ている。光や変容する風景に目を向けて、表面的な変化の奥にある普遍性を明らかにしようとした。ルノアールもこの時代。

    その後、画廊や芸術雑誌が誕生し、芸術界がアナーキー化。そこで生まれたのがポスト印象主義。セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンあたりが暴れ回る。
    印象派が軽視した精神性や象徴性を取り戻そうとした。
    その後、19世紀後半。「ベル・エポック」〜豊かな良き時代)に浮かれた世相を背景に、「デカダンス」(終末思想や背徳的感情にふかる)が流行し、象徴主義が発展。死や不安、苦悩を描く。ムンクはこの時代。

    20世期に入り、カメラ技術の発展とともに写実主義が消滅。マティス、ピカソによる「キュビスム」(2次元、3次元的表現を無視して、時間的多視性を含めた4次元的表現)が発展。
    その後釜として、「ニューヨーク・ダダ」(運動と時間を1画面に取り入れる)の中心人物としデュシャンが台頭。戦争という既存概念の積み重なりが人類を傷付けたとして、すべての既存概念を破壊するというモットー「ダダイズム」が発展。便器を使った『泉』により、「レディメイド(既存品)」という手法を生み出す。
    また、モノすら描かない抽象絵画が発展。カンディンスキーやモンドリアンなどがこれにあたる。
    終期には、無や無意識、非合理の世界を解放する「シュルレアリスム」が発展。
    戦後は、抽象表現主義(見た人に与える体験を重視)やポップアートが台頭。大衆化や工業化がテーマ。反芸術的だが世界を否定しない芸術運動である。
    コンセプチュアル・アートもこの時代。スコースの『1つと3つの椅子』は実物の椅子、椅子の写真、辞書上の椅子の説明を並べることで椅子を記述。椅子のイデア的存在を問いかける作品。

  • 表紙の絵は、言わずと知れたフェルメールの
    「真珠の耳飾りの少女」だ。
    でもこんな絵だったか?
    ちょっと色が濃くないか?
    修復前のか?
    チョット怖い。I'm scared.

    で表紙をめくるとまたフェルメールだ。
    「牛乳を注ぐ女」だ。

    美術史と言うなら別の作家にして、時間軸を伸ばしてほしい。

    ストックフォトから写真をひっかき集めて、
    それに説明文をつけるお手軽本?

    まえがきも何を言いたいのか?

    引用スタート

    欧米では美術史は必須の教養で、どんな人でも日本人よりはずっと詳しいのです。

    引用エンド

    どんな人でも日本人よりは詳しい

    欧米人ならどんな人 バカでもチョンでも 日本人よりは詳しい?

    著者が仮に日本人だとしたら、

    どんな人でも、この著者より詳しい。

    さらに

    美術館はいつもにぎわっており、美術に通うことは市民の趣味として定着しています。

    と書かれている。

    美術に通う  ってどう言うこと?

    まえがき だけで大した本でないことが読み取れる。

    著者が本当に書いたんだろうか?
    名前だけ貸した?
    監修くらいか?

    まえがき すら校正されてない。

    フェルメールに関しては、143ページに記載がある。掲載されている絵は、またしても、「牛乳を注ぐ女」だ。何故か表紙の「真珠の耳飾りの少女」については言及がない。この絵に関しては、表紙にも目次にも題名すらない。
    フェルメールが寡作であった説明も十分ではないし、絵の写真もない「ワイングラスを持つ娘」が唐突に出てくる。
    さらにわずかな文章の中に、必要とは思えないカメラ・オブスクラについて言及している。
    知っている画家の作品にして、この程度であるから、知らないことに関して、どこまで信用していいのか分からない。
    255ページにスタッフ名がクレジットされている。
    著者名として名前が上がっている人は、監修くらいなんだろうね。

    別の方も、校正の不備、さらには誤植の多さも指摘されている。

    せっかく美術史を時系列に、オールカラーで説明しているのだけど、文章のクオリティに難があるのは
    星一つかな。
    星なしでも良いくらい。


    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsgs1967/41/3/41_3_17/_pdf

  • 美術館へ行った後に読んだ。

    西洋美術史の流れを軽く理解できた。

  • 良い

  • コンパクトに通史を辿れる物が欲しくて購入した。各章が区切りよく、簡潔にまとめられており、読みやすいし、必ずカラーでひと作品は掲載されているのも良い。かなり重要な作品や作家でも、あっさりと言及や掲載を諦めると言う、割り切り、潔さも好感が持てる。ルネッサンスの概念を解説する極端に重要な箇所でも、他の、例えばロココなどと同じ様なページ数しか割いておらず、基礎知識をボンヤリと、あるいは興味のあるパートだけ詳細に知っている、自分の様なものにはうってつけ。
    だが、各時代、各作家の代表作のチョイスにやや疑問を感じるのと、誤植や表記統一の不徹底が見られるのが本当に残念。
    特に誤植について、美術史の初学者を対象とした、この様なジャンルの本として致命的なレベルで、目に余るものがある。これは筆者の責任と言うより、編集サイドの問題。恐らく校閲費用をケチって、美術史に精通した校閲者を立てなかったためだと思われる。
    出版社としての見識を疑うものであり、猛省を促したい。

  • 様々な時代の絵画を歴史に触れながらまとめられていて、とても分かりやすかった!

    語彙力ないけどまとめとこ
    ムリーリョのマリア様激かわ
    カラバッジョ激しすぎ
    クロードロランがターナー以上に凄い
    フランスハルスの肖像画がまるでスナップ写真
    アントワーヌワトー、ロココ時代の雅宴画ステキ
    フラゴナールのブランコ、お茶目

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著者プロフィール

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

「2024年 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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