国語と英語のカリスマ教師が教える AI時代の読む力

  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800296955

感想・レビュー・書評

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  • 以前自分で開いていた学習塾で導入していた「論理エンジン」の出口先生と、いつもブログを拝読しているキムタツ先生の共著とあって、前のめりで読み始めました。以前からこのお二方の発信は意識して見聞きしてしますが、それでも勉強になりました。
    お二人の対談と英語力・国語力の伸ばし方についての提言のほか、論理力をつけるための学年別の具体的な勉強法や英語のリスニングのトレーニング方法などのコラムや巻末付録の問題集もあり、とても面白く読めると思います。
    出口先生によると日本語は「述語が中心」で、英語は「主語が中心」の言語。日本語はそのメインの述語を(基本的に)文の最後に持ってくるのに対し、英語はメインの主語を文頭に持ってくる。あくまでも対照的な2つの言語だから、そこを面白がることができれば学びも楽しくなるでしょう。
    が、問題はそもそもの国語力の低下。そこにどう働きかければいいのか(もちろん、働きかける以前に自分も国語力を高める意識を持つことが大事です)。是非多くの先生や保護者の皆さんに読んでほしいです。
    キムタツ先生のトレーニング方法は少しハードなものもありますが、生徒のレベルを見ながらアレンジして勧めていきたいと考えています。



  • 最近、読解力に関してショッキングなニュースが、話題になった。新聞から、引用すると、

    経済協力開発機構(OECD)は19年12月3日、世界79カ国・地域の15歳約60万人の生徒を対象に2018年に行った学習到達度調査(PISA)の結果を公表した。日本は「読解力」が15位となり、前回15年調査の8位から後退した。「数学的応用力」は6位(前回5位)、「科学的応用力」は5位(同2位)になったが、世界トップレベルは維持した。

    というニュースだ。このニュースが話題になる一ヶ月前に、書店でこの本を読んだ。出口氏は、大学受験の現代文のカリスマ講師で、木村氏は、灘高校の英語の先生。お二人も、日本語と英語と、読解する言語は違えど、似たような問題意識を持っている。

    つまり、日本人の読解力低下に歯止めがかからないと。
    読解力とは、何か?実は、これに関しては、万人が納得する定義は存在しない。ある問題を設定して、それに関して正誤の基準を作り、点数を捻出して指数化する、その数値を読解力といっているだけである。それは、PISAの試験でも全く同じである。つまり、読解力が、どうしたら上がるのかと言うのは、よくわかっていない。なぜなら読解力という概念自体が定義できないからだ。

    お二人は、家庭教育における読書の重要性を叫ばれているが、現在日本人の一ヶ月にかける読書費用は、新書一冊分の850円である。これが少ないか、多いかは、判断できないが、個人的には、少ないと思う。

    読解力が落ちた原因は、よくわからない。
    ただ、今のネット社会と非常に強い関連性があるのは、なんとなくわかる。読む文字量と打つ文字量は、以前とは、比較にならないぐらい、多いと思う。よって文字の量と読解力は、比例しない関係ということがわかる。

    ネットで書かれていることを読んだり、
    またSNSでチャットしているとき、脳は、読書をしている時と比べて、活動領域が限定している。また、ネット上の文章は、
    論理性もへったくれもない文や、誰が書いたのか、
    全くわからない文が、99.5%である。こんなものを、毎日、毎日、見たり、また打ったりすれば、読解力が下がらない方がおかしい。

    PISAのやり方やデータの取得に関しては、各国に色んな思惑があるだろうから、立ち入らないが、ネット規制に関して、日本のやり方は、絶望的にまずいとは思う。

    中国や韓国は、早い時期から、未成年以下に関して厳しいネット規制をかけてきた。しかし、日本は、ほぼ何もしていない。その対応の不味さが、読解力の低下を招き、歯止めがかからない状況なのだろう。読解力の低下は、今の日本の未成年に対する態度そのものだと思う。

    例えば
    スマホは、カジノが手元にあるのと同じような状況を作り出すことができる。自分の欲望をすぐに叶えてくれるガジェットだ。こんなものを小学生からイジることができる日本という国は、本当に終わっていると思う。日本の子供は、気の毒でしょうがない。

    読解力が下がるなら、まだ以降に、取り返すことは、可能かもしれないが、スマホに自分の貴重な人生の時間を費やしたら、人生の質まで下がるだろうと思う。読解力の低下は、あくまでも1つの現象だ。しかし、水面下では、若者の間で、もしかしたら小学生の段階で人生格差、つまり未来に対して多くの選択肢がある人と、そうではない人の絶望的な格差が、この国で進行中なのではないか。

    この代償は多岐に渡るが、一番の被害者は、子供で、彼らが大人になって、さらに、どうしていいかわからない状況に見舞われるだろう。その代償は、社会全体が負うことになる。これは、本当に残酷なことだと思う。

  • キムタツ
    「対策」に対して否定的(検定の問題はだいたい使い回しだから過去問やっとけば合格して当たり前)

    キムタツ出口
    読むことがすべての基本

    会話は相手がいることを前提としたもので論理は不要。文章は他者を意識して論理的に書かれているので読解力が必要。つまり会話だけでは読解力は身につかない。

    出口
    理論は再現性を持たせるための手段になりうる(音楽の楽譜の件)

  • 学生時代にこの本を内容を理解している先生に勉強を教わりたかった。

    とりあえず母国語を疎かにしないようにする。

  • 色々な考え方がある分野なので、鵜呑みにしてしまってもどうかとは思うが、なかなか面白かった。
    後天的には、外国語は母国語を超えない、は目からうろこ。
    考えてみたら当たり前なんだけど、言われてみて、初めて納得。国語、大事なんだな、やっぱり。
    英語を使いこなすためにも、日本語をちゃんと身につけておなかいとダメ。何のために、何を目的として、英語を学ぶのか?ということも大事。
    結局、英語を使って、何を話すのか表現するのかが重要で。その為には、自分自身に厚みを持たせるように成長しないと意味がないんだろう。それには、基本中の基本、母国語をしっかり使いこなす。そのための「読解力」ってことか。

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著者プロフィール

関西学院大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。
広島女学院大学客員教授、論理文章能力検定評議員、出版社「水王舎」代表取締役。
現代文講師として、予備校の大教室が満員となり、
受験参考書がベストセラーになるほど圧倒的な支持を得ており、著書累計数は1300万部を超える。
また「論理力」を養成する画期的なプログラム「論理エンジン」を開発、
多くの学校に採用されている。
著書に『出口汪の「最強!」の記憶術』『出口のシステム現代文』
『子どもの頭がグンと良くなる!国語の力』『芥川・太宰に学ぶ 心をつかむ文章講座』(以上、水王舎)、
『出口汪の新日本語トレーニング』(小学館)、『出口汪の「日本の名作」が面白いほどわかる』(講談社)
『ビジネスマンのための国語力トレーニング』(日経文庫)、『源氏物語が面白いほどわかる本』(KADOKAWA)、
『頭がよくなる!大人の論理力ドリル』(フォレスト出版)、『やりなおし高校国語・教科書で論理力・読解力を鍛える』(筑摩書房)など。
小説に『水月』(講談社)がある。

「2019年 『何が教育をダメにしたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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