文豪たちの悪口本

制作 : 彩図社文芸部 
  • 彩図社
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801303720

感想・レビュー・書評

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  • 悪口を言い合う文豪たち。
    捉え方や考え方はそれぞれなので、放っておけばいいのに、小さいなと思ってちょっと笑ってしまう。が、、人間くささが見えて、なかなか面白い。

    お互いの印象などを話す座談会での発言が興味深い。
    太宰治、中原中也、織田作之助の座談会で、自分たちをデフォルメと言うところもいい。

    ネガティブな自信家の太宰治。
    好きだけど、志賀直哉に対する悪口が過ぎる。笑
    黙ってられないんだな。他者評価をすごく気にするタイプ。生きづらさを痛烈に感じる。

    坂口安吾は太宰治の良き理解者であった。
    やっぱり惹かれる。

    谷崎潤一郎と佐藤春夫の手紙のやりとり。女性をめぐる自分たちの正義の押し付け合い。笑

  • “ 月 日
    あかつき、医師のもとへ行く細道。きっと田中氏の歌を思い出す。このみちを泣きつつわかれ行きしこと、わが忘れなば誰か知るらむ、医師に強要して、モルヒネを用う。
    ひるさがり眼がさめて、青葉のひかり、心もとなく、かなしかった。丈夫になろうと思いました。”(p.20 太宰治)

  • ふむ

  • 僕には詰まらなかった。この本を楽しむには教養が不足しているのだ。「文豪」であるからして、1冊2冊は読んだことのある登場人物がほとんどだが、その人生、さらには相関関係をベースに知っていないと、やはり楽しめない(もちろん、最低限の解説はついているが)。

    一方で、文豪たちの発した「悪口」は、雑誌等に掲載されたり、作品中のエピソードに盛り込まれたりしたものは世に残るが、私信や日記に認められたものは、同時代には存在を知られず、さらには人知れず消えていったものもあるかも知れない(文豪の記したものはこうした類でも残されることが多いが)。ソーシャルで一瞬にして拡散する現代とは違い、一言の重みも随分と違ったことだろう等と思いを馳せてみる。

    「#文豪たちの悪口本」(彩図社、彩図社文芸部編)
    Day231

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  • ***********
    お互い下手な嘘はつかないことにしよう。私はあなたの文章を本屋の店頭で読み、たいへん不愉快であった。
    ・・・
    事実、私は憤怒に燃えた。幾夜も寝苦しい思いをした。
    小鳥を飼い、舞踏を見るのがそんなに立派な生活なのか。刺す。そうも思った。
    ・・・
    ただ私は残念なのだ。川端康成の、さりげなさそうに装って、装いきれなかった嘘が、残念でならないのだ。
    こんな筈ではなかった。たしかに、こんな筈ではなかったのだ。
    あなたは、作家というものは「間抜け」の中で生きているものだということを、もっとはっきり意識してかからなければいけない。
    ***********

     これは太宰治が芥川賞の落選を受け、太宰の私生活を暗に批判しつつ他の作品を推薦した川端康成に向けて書いた抗議文ですが、見ての通りなかなか読ませる文章です。
     本書は名だたる文豪たちが記した「悪口」を集めた異色の作品ですが、歴史的に証明されているその文章力で他者をいかに罵っているのか興味があり、本書を手に取りました。

     結論から言うと、本書の内容に少しがっかりしました。
     いや本書はそのうたい文句通りに、稀代の文豪たちがただひたすらに相手を指弾する言葉をこれでもか、とばかりに書き連ねているのですが、なんというか、ひねりが少ないです。
     思うに、これら文豪たちは想像力豊かにしてそれを文章に落とすことにかけては天下一品ですが、こと現実の人や事柄を罵るとなると常人の表現に落ち着いてしまうのでしょう。菊池寛や永井荷風の章では、語彙こそ豊かではあるものの目を引く文章はありません。本当に、単なる俗な批判文が延々と続きます。

     しかし、太宰治や佐藤春夫の「悪口」には読ませる何かがあります。彼らはたぶん純粋なのでしょう。純粋がゆえに、現実の事物に対してもどこか夢心地であったり、燃える情熱が文章に表れています。読みごたえがあります。
     一方で、そんな太宰の自死を受け、友人の坂口安吾が太宰の行動・心理を分析した「不良少年とキリスト」にもとても鋭いものを感じました。これは悪口とは言えないものの、とても読みごたえのある内容でした。

     全般的に期待した内容ではないものの、部分部分でキラリと光る文章を楽しむことができる異色の作品ではないかと思います。

  • 夏目漱石好きなので、漱石の章楽しみにしてたのですがめちゃめちゃ良かったです。中原中也も面白かった。
    漱石は、好きなので、人物像や周囲の人間関係をまあまあ把握してることが楽しかった理由かも。

  •  太宰のことは好きではなかったが志賀直哉に対する反論には同感するポイントが多かった。けだし、太宰という人はこういうときlovelyでさえある。

  • 物書きが敵意を剥き出しにしている文章なので、楽しくは読めない。

  • 悪口というのは人間性とユーモアが問われるものだと思う。
    とても面白かった。
    しかし、少し読みづらかったとも思う。
    その点を含めて評価は4。

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