英文サインのデザイン 利用者に伝わりやすい英文表示とは? (TYPOGRAPHY BOOKS)

  • ビー・エヌ・エヌ新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784802511438

作品紹介・あらすじ

日本の空港、駅、行政機関などの公共施設や観光関連施設などで見かける不自然な英文表示や分かりづらいサインデザイン。



英語情報だけが頼りの人の目線で今の日本を歩き回ると、とても困ることに気づきます。たとえば「STOP! 歩きタバコ」のような一部だけが英語の表示は、何を STOP しろと言われているのか読み手には伝わりません。また、一般の人には分かりにくい特殊な略語が使われているサイン、文字を左右から極端に縮小して非常に読みづらくなっているサインも増え続けています。



訪日外国人が3000万人を超え、オリンピック・パラリンピック開催を控えた現在、きちんと伝わる英文案内・表示(英文サイン)の整備がされなければ、将来のインバウンド需要は先細りになることは明らかです。



本書は、欧文書体デザインと英文翻訳の専門家がそれぞれの視点から日本の英文表示の問題点を提起し、コンパクトでも伝わりやすい英文とその見せ方について解説します。実際に、元の文章の7割から半分程度の長さでも意味が伝わり、しかも元の見せ方より読みやすいデザインの具体例も示していきます。



誰にでも分かりやすい表示は、ユニバーサルデザイン、インクルーシブデザイン、ソーシャルデザインの観点からもこれからますます重要になってきます。公共機関、行政、観光などの担当者やそうした仕事に関わるデザイナー必読の一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 東京五輪や大阪万博、またインバウンド需要の高まりで英文サインが併記されている場面が随分増えてきました。その中で個人的にも、「英文の文字が小さすぎない?」とか「命令文の時にpleaseを乱発しすぎていないか?」等々気になっていたので、手に取ってみました。

    固有名詞を大文字にするのはふさわしくないとか、日本人向けのサインに使われている「STOP!」とか「Information」といった英単語で外国の方が混乱するなど新たな知識が増えました。英文に適したフォントやデザインなど、様々な角度から述べられているので、英文サインを作るときは参考にしたい物です。
    それにしても、JRといった大手企業や行政機関ですら、まだまだ英文サインに課題があるのは大問題では?

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1335512

  • 街中にある英文サインが、日本を初めて訪れた外国人からどのように見えてしまうのかを検討し、その改善案を検討するもの。著者は書体デザイナーと実務翻訳家の2人。英語自体が不自然なものを取り上げているだけでなく、英語を含めた、フォントや改行、ピクトグラムなどを検討する。「日本で見る英文表記の間違った例を挙げていますが、決して重箱の隅をつついて笑うことが目的ではありません。日本に来たお客様によい思い出を持ち帰っていただきたい、何度も来ていただきたいと言う気持ちは皆さんと同じです。そのために、日本の公共施設にあるサインの現状をまず知り、それが国際的に通用するのか、違和感なく読めるのかを見極めるところから始めましょう、というのがこの本の趣旨です。」(p.35)ということで、「違和感を取り除くこともサービスの一部」(p.3)というコンセプトで書かれている。
    この本は雑誌「英語教育」の新刊書案内で、文字指導の手島先生が勧めていたので知った。これまで英語に関する本はたくさん読んだし、文字に関する本もあったし、それこそデイビッド・セイン的な「ネイティブは笑っています」的なおかしなサインを指摘する本も読んだけど、純粋に「おもてなし」という視点で、しかも英語そのもの以外のデザイン、見え方といったものを中心にして検討した本、というのはなかなかないのではないかと思い、それだけでも貴重な本である気がする。さらに「観光・公共・行政の英文表示担当者必読」と帯には書かれているが、全くその通りというか、お客さん、を相手にする仕事の人にはぜひ読んでほしいと思う本。そして英語教員としては、こういう内容がもっと英語科で教育されないといけないのではないかと思う内容だった。
     ちょうどこの夏のオリンピックの開会式では「ピクトグラム」のパフォーマンスがあり、あれはとても面白かったけれど、「『ピクトグラム=誰にでも伝わるための魔法』のように過大な期待をされているのかもしれません。世界中そこでしか機能しない特殊な名称やピクトグラムがユニバーサルに理解できるものであるかどうか、そこから考える必要があるのではないでしょうか。」(p.32)というのは、全くその通りで、安易なピクトグラム作りというのは、かえって不親切になるということを知らされる。あと、「大文字と小文字が不規則に入り混じった表記も、サインやガイドの文章でひんぱんに見かけます。」(p.55)という部分は、ちょうど今中1を教えていて、ここは大文字、これは小文字と大騒ぎしながら指導しているせいもあって、すごく納得してしまった。とにかく固有名詞は、オリジナルがどうであれ最初の文字だけ大文字、というシンプルな指針で統一してしまうことの「親切さ」が必要、ということが分かる。あとは「日本の公共サインを見ていて特に印象的なのが、省略の多用」(p.66)の部分。この指摘があって、あらためて街中を見回すと、確かに省略が溢れている。例えば関西空港の電車の駅から空港ビルに向かう途中、”Int’l North Departure”とあるけど、Int’lの横には十分すぎるスペースがあって、一体なんでInt’lとかするんだろう、と思った記憶がある。あとは、これは自分が不勉強だったのだけど、ハイフンとダッシュ(ダーシ、って言うらしい)の使い分け、さらに全角ダーシ(em dash)と半角ダーシ(en dash)の使い分け、というのはあんまり意識していなかった。今自分はMacを使っているが、-, –, — の3種類の入力の仕方というのをこの本で初めて知った(3種類打ってみたけど、これはこのbooklogの感想に反映されるのかな?)。p.81の「8号車から16号車」にしたい時に “Car Nos. 8–16”とする(半角ダーシで)というのは、英語教育のどの場面でも正式には教育されない気がするけど、こういう英文表記は商売にかかわる人なら結構やる機会もあると思うので、これは重要なことなんじゃないだろうか。あとは引用符の使い方、というのは高校のライティングでも必要な知識だと思うが、これも適当にしか教えられていない気がする。その結果、日本語の鉤括弧の感覚で使ってしまうが、それが落とし穴、という例。強調表記したいならコロンを置いて後ろに持ってくる(p.93)という改善案は、すごいと思った。あと自分はArielというフォントを好んで使ったが、これよりはNeue Frutigerらしい。大文字アイと小文字エルの区別のしやすさ、CやSが「巻き込まれていない」ことによる視認性の向上、という点で。そうか、そんな「巻き込み」なんていう概念(p.126)すら知らなかった。そう思って街中を眺めてみると、わりとNeue Frutigerで書かれているような印象を受けたので、自分の教材もこれにしようかなあと思う。
     あとはこの本のどこかにも書いてあったが、実例の写真がとても豊富で、ヨーロッパの空港や街中のサインもたくさんあるので、ちょっとした旅行気分が味わえるのも良かった。(21/08/07)

  • 文章の見た目で、情報へのアクセスが遮断されてしまう事があるとしたらすごくもったいないことだと感じました。日本語フォントについてもさらに興味が湧きました。

  • 仕事関係で機会があり読んだ。フォントって奥深い。
    World teahouseとSakai Muscle Lineには思わず笑った。

  • 2020年9月新着図書

  • ものづくりとは少し異なるかもしれませんが、フォントや翻訳の仕方などを中心に、伝わるデザインについて、事例や写真を用いて書かれています。

    [NDC] 727
    [情報入手先]
    [テーマ] 令和元年度第3回美作支部司書部会/ものづくりの本

  • 【新着図書ピックアップ!】ん?.....ん~ん!!
    いいかも、この組み合わせ!

    著者「書体デザイナー」と「実務翻訳家」の二人。
    で、内容は、タイトルどおりに「英文」の「サイン(駅など公共の場所にあるアレ)」。
    しかもこの著者、こんな風に言い切ってます!

      文字情報の信頼感を左右するのは、第一印象、
      つまり「見た目」です。

    いや~爽快!
    今まで文字間隔や行間、1行の単語数なんて、気にしなかったもんな~。

    東京オリンピックを迎え、何かと英文サインも増えるこの時期、にわかサイン評論家になれるチャンスですよ~!
    おススメっ!!

  • 日本のあらゆる場所にあるサインを見なおしてみたくなりました。

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著者プロフィール

ドイツ・モノタイプ社タイプディレクター。欧文書体の国際コンペティションで2度のグランプリを獲得して2001年よりドイツ在住。有名な書体デザイナーであるヘルマン・ツァップ氏やアドリアン・フルティガー氏と共同で欧文書体開発を手がけたほか、日本語書体「たづがね角ゴシック」のディレクションを担当。欧米、アジアを中心に講演やワークショップを行い、世界的なコンテストの審査員も務めている。著書に『欧文書体』『欧文書体2 』『フォントのふしぎ』(美術出版社)、『まちモジ』(グラフィック社)、共著に『英文サインのデザイン』(BNN新社)がある。

「2020年 『欧文書体のつくり方 美しいカーブと心地よい字並びのために(3,000円+税、Book&Design)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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