サイバーグレートゲーム:政治・経済・技術とデータをめぐる地政学

著者 :
  • 千倉書房
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本棚登録 : 91
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805112236

作品紹介・あらすじ

各国の経済活動、民主主義に対するサイバー攻撃は常態化しつつあるが、そこには地政学的リスクが色濃く現れている。安全保障、選挙干渉、サプライチェーン、外交、各分野に迫る危機の実情を分析する。

感想・レビュー・書評

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  • SDGs|目標10 人や国の不平等をなくそう|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/766661

  • 人類とウィルスの第二次世界戦争
    ワクチンをめぐるサイバー攻撃
    大規模なサイバー攻撃被害
    ほとんどのサイバー攻撃は武力攻撃ではない
    サイバー攻撃は地政学的リスクを反映する
    サイバーグレートゲーム
    サイバーセキュリティにおける予期と特定:
    第五の作戦領域
    サイバースペースのグローバル・ガバナンス
    統合される作戦領域:
    クロスドメイン(領域横断)攻撃
    ハイブリッド戦争の到来
    リアルと融合した「ハイブリッド戦争」への対応
    宇宙で進むサイバー防衛
    サイバーセキュリティにAIを使う期待と不安
    サイバー攻撃にミサイルで対抗
    選挙介入とフェイク・ニュース:
    虚実入り混じる暴露の時代
    ロシアでサイバーセキュリティが議論されない理由
    プーチンが語る「デジタル・フリーダム」
    阻止されたロシアによる選挙介入
    サイバー介入は国家を動かすか
    サプライチェーン・リスク:
    ハックされた世界秩序
    ファーウェイ問題の深淵
    狙い撃ちされる中国の地政学的台頭
    サイバーインテリジェンス:
    機密情報の扱いに信用を
    インテリジェンス機関をもてあましたトランプ大統領
    ファイブ・アイズのサイバーインテリジェンス
    サイバー外交:
    インド工科大学で開いたインドでAIの呪いは起きるのか
    ルーマニアに見るサイバーセキュリティの地政学と地経学
    サイバー防衛:
    サイバー攻撃への抑止理論はまだ見つからない
    サイバー攻撃能力の研究を
    狙われる日本

  • サイバー安保の大家である土屋教授が、サバティカルを活用してサイバー安全保障に関する最新動向をまとめたもの。

    カバレッジとしては、アトリビューションからアンティシペーション、フェイクニュース、サプライチェーンリスク、AI、インテリジェンス、外交、防衛、日本へのインプリケーションと幅広い。

    その一方で、展開している議論がややまとまりに欠け、次から次へと議論が飛んでいくきらいがあり、幅広い一方で、底が浅い感じもあった。

    とはいえ、日進月歩のサイバー分野なので、新しい動向を1日2日の分量で大掴みに理解できる程度にまとめているという点で、良い読書であった。

  • 『#サイバーグレートゲーム』

    ほぼ日書評 Day389

    良書。

    サイバー攻撃…といってイメージするものは何だろう? コンピュータ上にあるデータ漏洩を狙ったもの、あるいはそのデータを人質に取った(使えなくさせる)ランサムウェア、米国選挙戦で話題になったデマやフェイクニュースの流布。
    その形式は実にさまざまであり、かつ、コンピュータ上で行われる攻撃は物理的な空間とは無縁になるため、いつ、どこでも行い得る印象を受けるが、実際には旧来の地政学的な対立軸に沿って、かつ実態的(あるいはポリティカル)な攻撃と組み合わせて行われることが多いという。

    対策としてまず考えるべきは、Anticipation(予期)とAttribution(特定)。
    予期については、アクティブディフェンス、予め攻撃者のネットワークやシステムに潜入し、サイバー攻撃を予期した段階で防御的攻撃に出る。前方防衛(defend forward)という表現が用いられることもある。
    特定については、サイバー攻撃を仕掛ける側のサーバーの設置場所や、デマ等を書き込んだ人物を洗い出すが、中国、北朝鮮、ロシアといった、よく名の上がる国々は当然、その事実を認めることはない一方、米国はISに対する攻撃を公言するケースも出ている。

    欧米では、サイバー攻撃により、GPS航行が不能になることも想定し、天体による航法教育も15年ぶりに復活させた。

    トランプ前大統領がTwitterでメッセージを流していたのは有名だが、androidトランプとiPhoneトランプは別人だったというのは初めて知った。androidが「本物」らしい。

    嬉しいことに、サイバーによる日本(の選挙)への介入は、さほど行われていないらしい。
    それはそうだろう。サイバーを使うまでもなく、TVのワイドショーが、十分その役を担っている。

    後半はAIによる世界の変革予測。インドでは、あまりに人工単価が低く、自動運転が実用化されてもROIに見合わない上、交通ルールを全く無視した行き当たりばったりの運転がなされるため、これに対応するアルゴリズムの開発は至難の業といったエピソードも語られる。

    https://amzn.to/3gdpIjo

  • 著者よりご恵投いただく。

  • 東2法経図・6F開架:007.3A/Ts32s//K

  • 【サイバースペースの問題は、現実の地理と政治の影響を受けるようになっている。どこかに浮かぶバーチャルな存在をイメージするとサイバーセキュリティの本質を見失うことになりかねない】(文中より引用)

    ボーダーレスなはずのサイバー世界に、国際政治や地政学がいかなる影響を与えているかを調査・考察した作品。著者は、慶應大学大学院政策・メディア研究科兼総合政策学部教授を務める土屋大洋。

    サイバーと国際政治の関係性の変遷を描いており、マクロな視点からサイバーセキュリティなどについて学ぶことができます。テクノロジー系のニュースを目にする際に参考となる補助線を引いてくれるような一冊かと。

    平易な言葉で書かれている点も☆5つ

  •  典型的なサイバー攻撃と防衛、選挙など内政へのネットを使った介入(BLMにも(一部だろうが)露やイランの関与の指摘があるとは)、ハイブリッド戦争、バックドアとサプライ・チェーンのリスク、シギントなど幅広いが、実際の事象を多く取り上げ、読みやすい。「サイバースペースはボーダレスだが、サイバーセキュリティ自体はローカルな地政学的・地経学的な状況の影響を強く受けている」との記述に納得。
     警戒対象として多く登場するのは中露。露は直接的な攻撃や介入元として言及されるのに対し、中はサイバー攻撃のやり方が巧妙化して表面上見えなくなったとし、また華為やZTE、海底ケーブルなどより大きな技術覇権という文脈での米中対立が指摘されている。
     スノーデン文書で明かされた日米のサイバー分野での協力。スノーデン自身や日本の報道はこれを日米共謀によるプライバシー侵害と批判したが、著者は日米協力の進展と肯定的に捉えているのが目新しかった。

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著者プロフィール

土屋大洋(つちや・もとひろ)編者
 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授(兼総合政策学部教授)
 慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、慶應義塾大学大学院法学研究科で修士号、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科で博士号取得。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主任研究員などを経て現職。2008年3月から1年間、米マサチューセッツ工科大学で客員研究員。2014年2月から1年間、米イースト・ウエスト・センターで客員研究員。2019年4月から日本経済新聞客員論説委員。2019年10月から2021年7月まで慶應義塾大学総合政策学部長。2021年8月から慶應義塾常任理事。第15回中曽根康弘賞優秀賞、第17回情報セキュリティ文化賞を受賞。主著に『サイバーセキュリティと国際政治』(千倉書房、2015年)、『暴露の世紀』(角川新書、2016年)、『サイバーグレートゲーム』(千倉書房、2020年)など。

「2022年 『ハックされる民主主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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