遊びが学びに欠かせないわけ―自立した学び手を育てる

  • 築地書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806715559

作品紹介・あらすじ

異年齢の子どもたちの集団での遊びが、飛躍的に学習能力を高めるのはなぜか。
狩猟採集の時代の、サバイバルのための生活技術の学習から解き明かし、著者自らのこどもの、教室外での学びから、学びの場としての学校のあり方までを高名な心理学者が明快に解き明かした。
生涯にわたって、良き学び手であるための知恵が詰まった本。

感想・レビュー・書評

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  • ここ最近で教育について読んだ本の中で、1番良かったと思う。刺さる言葉や、ワクワクする発見が多く、たくさんメモを取りました。出会えてよかった。

    「日本の学校」「教育」「学び」「遊び」について見直すことのできた。
    特に「遊ぶ」の本当の姿を改めて考え直すことができ、可能性に満ち溢れていると感じた。

    狩猟採集民時代の「寛容と信頼であふれた子育て」って言葉はかなり私の中で刺さったけど、なかなかに大人の関わり方って本当に難しいと感じた。
    知識だけでなく取るべきアクションも示してくれているから、わかりやすいし、実践しやすい。

  • 面白かった!いわゆる教育本ではなく、人類史や発達論みたいな切り口から、アカデミックなアプローチを取っているので納得感あり。インドのスラムで自由パソコンを壁に埋め込んで用意したら、子供たちはパソコンを見て、すぐタッチパッドでポインターが動くことに気付いたエピソードなんかは、大人による阻害効果を痛感する。

    いくつか面白い話を備忘録的にメモしておく。

    1.危険があっても子供に大人の道具を使うこと、大人の活動へ参加することを許可する、ただし工夫しながら(例.刃物は小さく)。
    2.あげることの喜びは全ての乳幼児に本能として備わっている。
    3.おもちゃを渡すとき、遊び方を教えたグループの方が、遊びの幅が狭かった(教育の阻害効果)。
    4.あなたのこどもはあなたでない。こどもが成功しようが失敗しようが、それはこどもに起因するものであって、あなたのせいではない。
    5.不確実な時代に生き延びる為には、親や教師に駆り立てられるのではなく、『自主的に行った体験を通じて身に着ける資質』が重要。
    6.不確実な時代には、個人の責任・考えの自立性・主体性・自己主張・柔軟性・創造性・進んでリスクを引き受ける姿勢、がキーワード。
    7.信頼にあふれる親とは、①自分の価値を明確にする、②こどもの未来への介入を減らす、③監視しない、④自由に遊べる安全な場所と機会を提供する、⑤従来の学校に代わる別の可能性を模索する

  • 実際に我が子を「フツーの」学校から
    「サドベリー・バレー・スクール」に転校させた、
    発達心理学者による、子供に関する教育関連の本。

    子供が本来持つ、自ら学ぶ能力(自己教育力)を信じよう。
    それは狩猟民族として遺伝子レベルに組み込まれているのだから。
    その能力を活かすには「遊び」を必要とするものであり、
    画一的な教育の場に閉じ込めるのは間違っている。
    ということを、具体的な事例やインタビューを交えて紹介。
    特に「異年齢混合の場」が重要と説く。

    子供の幸せを願う親として、
    このような選択肢があることを知っておくのは大事だと思う。
    子供(というか人)の好奇心や学習能力を信じているし、
    オトナの言うこと、センセーの言うことを聞きなさい、
    という方向の教えはおかしい、というのは私も同意する。
    著者の子をはじめ、
    サドベリーが最高の学び場になる子がいることは事実だろう。

    ただ、「フツーの」学校でも主体的に学ぶことはできると思うけど。

    また、個人的には、自分で考え学ぶことよりも、
    「強制的に教えられる」ことを望む子も少なくないと思う。
    実はこれも人が持つ先天的な本能ではないだろうか?
    自然淘汰によって「省エネ思考」は遺伝子レベルに組み込まれており、
    自分の行動判断を「他人」に委ねることもまた、
    決して不自然ではないように感じる。
    同時に「似たような経験や知識を持っている」という前提は、
    初対面の人との信頼関係構築に大きく役立つのではないだろうか?
    例えば、世界中であらゆる宗教が生まれ信仰されているように。

    要するに、本書の内容は間違ってはいないし、多くの部分で共感する。
    著者は親として最適な選択をしたのも事実だと思う。
    ただし、本書では現行教育を強く批判しているが、
    それも間違っているとは一概には言い切れない。

  • 子どもの遊びの大切さを、様々な視点から考察し書かれた本です。現代の子ども達に本当に必要なことは何か?子どもを信頼して育てるということはどういうことか?心理的不安が広がる社会の中で、私達大人は子どもとどうかかわっていけばいいのかを考えさせてくれる素晴らしい本です。

  • 外で遊ぼう。異年齢の子と遊ぼう。
    昔やってたことですよね。

  • 娘がもう少し小さい頃にこの本と出会っていればよかった。

  • 私たちが子どもたちに渡したいのは「知識」なのか。
    それとも「学び方」なのか。

    これからの学校の在り方を考える上で、大切なことに気づかせてくれる。

  • 今の学校教育をかなり真っ向から否定する内容。
    全部が全部正しくて今すぐに取り入れるべきだ、とは思わないけれど、子どもたちがもっと自由に、好きなことができる環境が生まれればいいなと思う。
    テストで点を取る力じゃなくて、生きる力をつけるために教育があるので、それぞれにあったやり方が認められて然るべきだ。全員が同じ学校に通い、同じことをしているのはある種異様なことなのかもしれない。
    今のやり方の良いところと、柔軟なやり方の良いところを組み合わせて、実現できそうなラインを探っていきたいなと考えた。

  • タイトル好きです。

    子供の本能に任せて、親はあれこれ言わず
    いくつになってもたくさん遊ばせようと思う

  • 【異年齢混合活動の価値】
    年少者は年長者からスキルや考え方を学び、年長者は年少者を育みリードすることを通じて成熟したコミュニケーションを学ぶことができる。
    ボドゲ会やスポーツイベントなどの機会を作りたい。

    【遊びである必要性】
    遊びはソーシャルスキルを獲得する最も効果的な体験であるが「ソーシャルスキルを獲得する自発的練習」等と意識すると気軽さが失われ練習効果は薄れる。遊びは遊びであることに価値がある

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著者プロフィール

ピーター・グレイ(Peter Gray)
ボストン・カレッジ心理学部で1972年~2002年の間教鞭をとる。現在は研究教授。
テキスト用の本『Psychology(心理学)第7版』の執筆者。
『Psychology Today(一般読者にも分かり易い心理学専門誌)のネット版に、
「Freedom to Learn(学ぶ自由)」というタイトルのブログも執筆中。
現在の主な研究分野は、子どもの遊び、自立的な学習、人間の生物学的・文化的進化に果たしている遊びの役割等。
米国マサチューセッツ州ノーフォーク在住。

「2018年 『遊びが学びに欠かせないわけ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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