- Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784811320670
作品紹介・あらすじ
2012年、ブラジルのリオデジャネイロで国際会議が開かれました。環境が悪化した地球の未来について、話し合うためでした。世界中から集まった各国の代表者は、順番に意見をのべていきました。しかし、これといった名案は出ません。そんな会議も終わりに近づき、南米の国ウルグアイの番がやってきました。演説の壇上に立ったムヒカ大統領。質素な背広にネクタイなしのシャツすがたです。そう、かれは世界でいちばん貧しい大統領なのです。給料の大半を貧しい人のために寄付し、大統領の公邸には住まず、町からはなれた農場で奥さんとくらしています。花や野菜を作り、運転手つきの立派な車に乗るかわりに古びた愛車を自分で運転して、大統領の仕事に向かいます。身なりをかまうことなく働くムヒカ大統領を、ウルグアイの人びとは親しみをこめて「ペペ」とよんでいます。さて、ムヒカ大統領の演説が始まりました。会場の人たちは、小国の話にそれほど関心をいだいてはいないようでした。しかし演説が終わったとき、大きな拍手がわきおこったのです。
感想・レビュー・書評
-
大統領なのに丘陵の大半を貧しい人々に寄付し、公邸には住まずに妻と農場で暮らしているウルグアイのムヒカ大統領。2012年にリオの国際会議で行った有名なスピーチをもとにした絵本。言いたいことは分かるんだけどね、ある意味哲学的な内容だなあ。具体的にどう実践していくかが問題か。いや、大統領の生き方がそのお手本かな。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2012年リオデジャネイロで開催された、国連持続可能な開発会議(リオ+20)。
そこにおける、ウルグアイのムヒカ大統領のスピーチを紹介した絵本。
結局は、開発と大量消費ありきの考え方ではないのか。
本当に見直すべきポイントは、何なのか。
端的でありながら、するどい指摘に、はっとさせられる。
こういう会議ではありそうでなかった視点。 -
「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」
物的な貧しさも、
精神的な貧しさも、
この通りなのかもしれない…と、強く感じました。 -
ブクログの「あなたへのおすすめ」で出てきた本。
2012年のリオデジャネイロでの国際会議でウルグアイの大統領が行ったスピーチの意訳版。
貪欲を戒める言葉は、十戒だったり、ムヒカ大統領自身が引用・意訳している古代ギリシャの言葉(貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ)だったり、大昔から繰り返し問われているにも関わらず、達成されないのは、脳がそのようにプログラムされているから、と考えるひとには、残念ながら響かないかもしれない。
ウルグアイには人は300万人しかいないけど、牛は1300万頭いることを大統領は誇るわけだが、2022年の価値基準だと環境負荷の高い牛をこんなに抱えることはおそらくいいことではない。(食べてるのは輸出先のひとだとしても)
と、いろいろ素直に読めない点はあっても、これを国際会議で一国の大統領が信念を持って語った、ということが何より素晴らしいことだと思う。例えば、同じことを岸田総理が先日の米国議会での演説で語ることは1ミリも想像出来ない。
-
小学生には難しいことも、絵本になると伝わる。幸せってものは、たくさん持つことではなくて、気持ちとか、見えないものをもたらしたり、もたらされたりすることにしっかりと感謝を示すことなんだと思う。どんなに貧しい国だとしても、幸福なのだ。考えさせられる一冊だ。
-
資本主義がグローバル化して地球上のすみずみまで物質的な豊かさを行き渡らせている。土地を開発してビルを建て、電車や車を走らせる。そのために必要な資源をどんどん掘り出している。必要な電気は石炭をどんどん掘り出してどんどん燃やして作っている。石油の埋蔵量が心配になると、オイルサンドからオイルを取り出す方法を考えた。よし、当分大丈夫だ。
最近になって、なんか間違ってる、こんな事がいつまでも続く訳がない、と考えたり、言ったりする人が増えてきたように思う。
この本は、2012年の国連持続可能な開発会議で行われたウルグアイのムヒカ大統領の演説を絵本に書き起こしたもの。「持続可能な開発」のために我々はどうすればよいのか?に対するムヒカ大統領の考えが語られている。
「わたしたちは発展するためにこの世に生まれてきたのではありません。この惑星に、幸せになろうと思って生まれてきたのです。」
「水不足や環境の悪化が、いまある危機の原因ではないのです。ほんとうの原因は、わたしたちがめざしてきた幸せの中身にあるのです。見直さなくてはならないのは、わたしたち自身の生き方なのです。」
成熟した状態になるには、やんちゃな「爆買い」状態を通過・経験する必要があるようにも思う。先進国だけがいい思い(物質的に豊かな社会)を経験して、その他は「幸せを見直せ」と言われても、万人から納得を得るのは難しいよな、たぶん。
でも、「もの」を追い求める事は幸せにはつながらないよ、というムヒカ大統領の言葉はシンプルに心に響く。 -
リオデジャネイロで開かれた国際会議。
南米ウルグアイの、ムヒカ大統領のスピーチの番です。
彼は、世界でいちばん貧しい大統領と言われています。彼は、確かに大統領らしい暮らしをしているわけではありません。日本に住む私たちのような、
一般的な、いわゆる普通の暮らしをしています。
各国の大統領たちも、小国の話に興味を抱いている訳ではありません。それなのに、スピーチが終わったあと、とても大きな拍手が起きたのです。
彼は、世界でいちばん貧しい大統領です。
そして、大統領として、質素な暮らしをしているものの、今の世界情勢や、これからの世界など、
さまざまなことを考えている、大統領も憧れるような大統領です。 -
ムヒカ大統領がこのスピーチをしてから10年以上経つのに、なんら変わっていない。恥ずかしながら、もちろん自分も。
最近読んだ「人新世の資本論」を思い出さずにはいられなかった。
「水不足や環境の悪化が、いまある危機の原因ではないのです。ほんとうの原因は、わたしたちがめざしてきた幸せの中身にあるのです。見直さなくてはならないのは、わたしたち自身の生き方なのです。」 -
キレイごとだけじゃない感動。