- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784813804239
作品紹介・あらすじ
■内容の紹介■
ぼくはぜったいに忘れないだろう。夏の日に出会ったヒロシマの少女のことを。
1945年8月6日のあの朝と現在とをつなぐ、一人の少女と「ぼく」の物語。
国語教科書(小5、光村図書)に掲載の「たずねびと」も収録。
巻末に、原爆や平和について深く知ることのできる<ヒロシマへの道しるべ>を掲載。
■児童文学作家・あまんきみこさん推薦■
この本は、あなたの前の扉です。
扉をあけて、「澄ちゃん」に出会ってくださいね。
わたしたちひとりひとりの「命」について、考えを深めるきっかけになりますように。
■もくじ■
かげふみ
たずねびと
■コメント■
国立広島原爆死没者追悼平和祈念館では、犠牲者の画像や記録を絶え間なくスクリーンに映し出しています。
八月六日のあの朝まで廣島で生きていた人々、一人一人を悼むためです。
物語にも同じことができるかもしれません。
「失われた声」に耳をすませ、かけがえのない「時間」を共に生きることによって。
この物語の少女たちの姿が、どうかあなたの心にいつまでも残りますように。
――朽木祥
感想・レビュー・書評
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小学高学年用の夏休みおすすめ図書にもなっていた本。
小学5年の拓海は、夏休みに東京から広島のおばあちゃんの家に来た。
妹が水ぼうそうになった為に家族より一足先に来たのだが、広島に着いてから雨でおばあちゃんが児童館には図書室もあるからと一緒に連れてきてくれた。
同じ年のリョウくんも紹介してくれて、本の好みがあっていたので喋っていても楽しかった。
1人静かに座って本を読んでいた女の子が気になってはいたけれど…。
晴れた日には、リョウくんの誘いもあってドッジボールや石けりをして遊んだり…
石けりで歌うのは不思議な歌詞で、
おはぎが およめに いくときは
あんこと きなこで おけしょして
まあるい おぼんに のせられて
あすは いよいよ およめいり
これは「ごんべさんのあかちゃんが かぜひいた」のメロディだと気づいたのだが、この歌詞は広島だけなのかと…。
ある日は、川へ行っていろんな石を探したりして。
そのことをおばあちゃんに話していると原爆で落とされたときのものや大やけどで川に飛び込んで犠牲になった人の持ち物が、沈んでいたり…というのを聞き、リョウを誘って原爆死没者追悼平和記念館に行く。
石段で亡くなった人の影がそのまま残されてることなどを知り、気になっていた女の子が影の本を探していたのは…と。
そう、あれから雨の日だけに限って会い、知らない間にいなくなる女の子。
その子は…。
広島の原爆の威力は凄まじいものであったと想像でしかなく、本や「はだしのゲン」などの漫画での少ない記憶だけで、石段に残された人影はこの本を読むまで知らなかった。
実際に広島に住み戦争を知っている人たちから伝えられてきたものには比べることすらできないと思っている。
だが知らないことを知り、二度と同じことを繰り返さないよう真剣に向き合うのは必要だと感じた。
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戦争をテーマとした児童書です。
シンとした空気の中を響くような文体の朽木さんの作品が好きです。
光村図書5年生の国語の教科書に掲載されている「たずねびと」も収録されており、めちゃめちゃ狙って作られてるなーと、考えてしまいますが、どちらもとても素敵な作品です。 -
広島の祖母の家に遊びに来た少年と、
児童館の図書室にあらわれる、三つ編みの少女。
少年は少女の探す「かげ」について書かれた本を
探すのだが・・・
というお話。
東京の少年が、広島原爆について知ることで、
仲間達が、それぞれに原爆を受け止めようとしていることも知る。
原爆のあれこれをただ書くのではなく、
友人に対するまなざしがいい。
悲惨だと言うことは、わかっている。
それをどう受け止め、どう伝えていくか、
これからは、そこに問題が移っていくのだろう。
8月が、まためぐってくる・・・ -
朽木さんの、原爆を後世に伝えたい、あるいは伝えなければ、という気持ちがひしひしと伝わってきました。
「ごんべさんのあかちゃん」の歌は懐かしく、替え歌も聞いたことがありますが、今の子はどうかな?
戦争、原爆について考えるきっかけになる本の一冊としておすすめ。 -
一発の爆弾で消えた命たち。名前でしかない人々、名前でさえない人々、数でしかない人々、数でさえない人々。過去にあったことを知ること、忘れないことをみんながしたら世界は平和になる、かもしれない。名前があって人生があった人々が、ただの数になるなんておかしいよ。それが戦争だというのなら戦争は絶対してはいけないものだと強く思う。
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#かげふみ
#朽木祥
#光村図書
#児童書
#読了
前半はゆっくり丁寧にお話が進みます。半分を過ぎたあたりから現在と過去がつながっていきます。被爆され亡くなった方、家族を失った方々の思いが語られています。人々の思いは語り継がれるべきです。戦争、核兵器をなくすには。考え続けたいです。 -
夏休みを広島のおばあちゃんの家ですごすことになった5年生の拓海
児童館の図書室でふしぎな少女と出会う
その少女“澄ちゃん”は“影の話”をさがしているという
拓海が見つけた“影の話”の本を渡すと……
《1945年8月6日のあの朝と現在とをつなぐ、一人の少女と「ぼく」の物語。》──帯の紹介文
ヒロシマをライフワークとする朽木祥が紡いだストーリーは切なく、はかなく、美しい
「でも、これじゃあ、かげふみはできんねえ……」
〈八月の光のなかに消えていった少女の姿が、子どもたちの心に残りますようにと祈っています。〉──「あとがき」より
銀行の石段に残された“影”が目に焼きついて離れない
カバー・挿画は網中いづる
裏表紙の子どもたちにある“影”が表紙の“澄ちゃん”には……
光村版「国語教科書」(小5、2020・2024年版)掲載の「たずねびと」も収録
ヒロシマを、戦争を知らない小中学生に、この夏ぜひ手渡したい一冊、2023年5月刊
本文中に紹介されている作家や小説をたどる自由研究も一興 -
夏休みに他の家族より先に、広島のおばあちゃん家へ行くことになった拓海。知り合いのいない場所で退屈していると、児童館にある図書室にいってみたらとおばあちゃんに言われ、しぶしぶ行くことにしました。思った以上に居心地のよさそうな図書室のいちばん奥の机に、女の子が一人、本を読んでいるのが目に入ります。話しかけられないうちに、いつのまにかいなくなっていたその女の子と再度会える機会をうかがいますが…。「影の話」を探す、雨の日にしか会えない少女の正体とは。
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川遊びの場面が、広島ではこのように…と切なく読んだ。