- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822246044
感想・レビュー・書評
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【書誌情報】
IQってホントは何なんだ?
知能をめぐる神話と真実
価格 1,650円(税込)
ISBN 9784822246044
発行日 2007年08月13日
著者名 村上宣寛 著
発行元 日経BP
ページ数 232ページ
判型 4-6
日本にはなぜかまともな一般向けの知能、知能指数をめぐる本が存在しない。触らぬ神にたたりなし。半ばタブーであり、半ば崇拝視されている。この奇妙な状況に“知能”をめぐる問題の不幸と現在が表れている。『「心理テスト」はウソでした。』の著者が、ユーモアと皮肉を込めて知能の真実に軽やかに挑む。日本の多くの心理学事典の知能指数表記は間違っている(まるで発展がフォローされていない)ことを皮切りに、頭の良さとは何か、知能テストの今、現在知能は何種類あると考えられているのか、世界的な知能指数上昇(フリン効果)が報告されているがその意味は?、遺伝と知能の関係の研究の最前線、男女差はあるのか、等々をエピソードを交えて語り下ろす一冊。
[https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/07/P46040/]
【簡易目次】
第1章 知能とは何か
第2章 知能を測る
第3章 知能は幾つあるのか
第4章 新しい知能理論
第5章 知能テストはどのようなものか
第6章 頭の大きさと回転の速さ
第7章 年をとると知能は衰えるのか
第8章 遺伝で知能が決まるか
第9章 知能の人種差と男女差
第10章 知能テストと勤務成績詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(現代の)知能概念史のスッキリとしたガイド.IQがどうの,知能がどうのと適当な事を言わないように勉強する手始めによい本じゃないだろうか.もうそこそこ古いとは思うが.
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要するに知能については、まだよくわかっていないということか?IQについて知りたかったのだが、余計にわからなくなった。
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IQとはなんだ? と思い手に取った本。
ハッキリ言えることは自分はIQ***と語る人はよくわかってないってことだけだ(笑)
IQとはなにか? という問いの前に、知能とはなにか? それを図る方法はあるのか? と様々な問題がそびえている。
知能とは何か」を定義しようにもすぐに「何を知能と呼ぶか」という問題にぶち当たってしまうし、「それをどう測るか」という方法論によっても「知能」は異なる姿を見せる。
IQテスト自体も進歩しているし知識の総量・レベルは右肩上がりに発展しているので20年前、10年前のIQテストをいま実施するとIQは10~15ほど高く出るという。
この本は知能とはなにか? という問題を真剣に考える学者による学説を総論として書かれたものだろう。
そういう意味では真摯で読み応えがあるけれど、掲題のような疑問を抱いた人には煙に巻かれたような印象も覚えるのではないか。 -
知能について歴史からここまで書かれた本は(著者いわく)ないらしい。確かに知能検査というのは、みんながちょっと胡散臭くおもいつつ、けれども有難がってしまうものかもしれない。
本書はそんな知能検査について、バッサバッサと切り込んでいく。エビデンスが豊富で統計的に正しい知能検査、というのは実はとても少ない。一般的なスタンダードであるWAISも、現在専門家が知能と考えているものの一部しか測定できず、一般人と専門家が抱く頭のいい人のイメージにもずれがある。 -
ボーリング氏の「知能とは知能テストで測ったもの」という定義に妙に納得する。
日本では知能検査がタブー視されがちなのか出回る情報は多くない。本書はIQに関する数々の検査や最新研究が掲載されている。
IQは何と相関するのか、学術的な検証の歴史は興味深い。19~20世紀はゴルトンに代表されるような優生論や遺伝説が有力だったが、測定法の問題を指摘し、相関係数から必ずしもそうとも言えない点を論述している。
本書自体に主義主張があるわけではなく「こんな見解もあるがこんな見解もあるよ」的な紹介ではあるものの、最新動向(2007年)を日本語で読めるのは貴重だ。 -
心理学、知らなったその世界!、
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ためになった。
IQが高いから自分がすごいんだと勘違いすると悲惨なことになることはよく知っているので、面白く読めた
心理学の分野はエビデンスが不十分な本が多い中、この人はとても重視しているようなのでほかの本も読みたいと思った -
141.3
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『「心理テスト」はウソでした。』の著者つながりで。こんどは「知能は測定できるか」という、なんつーか「触らぬ神に……」と言いたくなるような分野で、言いたい放題。刺激的なだけでなく、きちんと「研究」という地に足がついている記述になっているので、安心して読める。たとえば「IQってなんなの?」(はい、知能検査で測れるもの、デス!)とか、「IQ180の天才少年!」というあたりのどこらへんにウソがあるのか、みたいなこともわかる。(いまはそんな点数出るわけないです。それ、テストが古すぎるに決まってますから!、みたいな)
オレは受けたことないけれど、SPIつーのがあるよね。リクルートがやってる適性検査。あれも結局は知能テストの一種なんだが、その「予測力」は「低い」と断じているのが興味深かった。その原因として、問題作りが「因子分析的だから」と考察。因子分析的というのは、最初に「知能とはこーいうものだ」というモデルがあって、そっからおろして問題をつくるやり方。そうではなく、実際に問題をつくってみてやらせてみて「頭のいい人、悪い人」を分別するといったやり方で、問題の妥当性を経験によって検証しなければ、使える知能テストはできないのだと。
もひとつ、これは知能テストに限ったことではないが、「相関関係」と「因果関係」の混同というのが、この分野にも色濃くあるという話。いわゆる「ベルカーブ」をはじめとする「人種や性別によって知能には差がある」という主張は、だいたいこの混同をやらかしていると。
結局、知能は測定できるのか。知能の本質そのものが定義されてないし、まだまだ「完全に測定できる」かどうかはあやしいが、この本を読む限り、妥当なテストを妥当な方法で使えば、かなり「測定できる」といっていいような。でも、日本人ってば「知能はそんなに単純じゃない」「頭のよさというものは、測れない」という考え方が人気あるんだよね、と。こーいう研究を推し進めていくと、幼い頃から「選別」されるようになっちゃうんじゃないのとか、いろいろとよくないイメージも浮かぶ。けれど、だからといって検証しないんじゃ、学問にもなんにもなりゃしないじゃん、という著者のいらだちがところどころに伺える。そこらへんも含めて、なまなましく、おもしろい本。