ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822250515

感想・レビュー・書評

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  • 角川ドワンゴ会長の川上量生氏のニコニコ動画についてや生き方や働き方の哲学についてかかれた本。

    氏自身論理物理学者になりたいという意向もあって非常に深い心理や論理の話がありました。
    常人とは違う考えだと感じることは多々ありましたが、ニコニコ動画という他社には真似できない独自性の強いサービスはこの哲学から生まれたのだということを強く感じました。

    本書のなかで印象に残ったのは、ニコニコ動画はクレームを問題としない組織を作ることや思想を持たない場を設けることを念頭に置いて運営されているということや
    クリエイターとプラットフォームの関係をよくするためのブランド構築はなるほどと感じました。

    また、今後のネット社会を担う上で国家とネットの関係についてグーグルやフェイスブックが支配する世の中になると社会福祉やインフラ整備がなく腐敗していくのでローカルな政府が統治すること、インターネットに国境をつくる規制を国家がすることがのぞましいと考えていること

    直感と論理の関係や結論から論理を構築していき、理系では真理を探求し、文系は論理を使えるものにしていくとの考えは深いと感じました。

    またドワンゴ時代に起きたクリエイターの大量退職の件や入社試験の受験料の件にも言及されており、非常に氏の考えがつまった一冊だと感じました。

    巻末のニコニコ宣言を読んで、テクノロジーと人間についての共存について真剣に考えてると思わせておいて、寝たい欲望と夢との間で作られたことを知ると、滅びゆく人類の歴史のなかで氏なら最期まで抵抗できるだろうと感じました。
    凄く深い方だと感じるとともに経営哲学だけでなく、人類や未来まで考えさせられる一冊でした。

  • p200
    オタクって敵に回すと恐ろしいが、味方にすると頼りない
    p213
    直感を説明しようとすると論理が複雑に発達する。
    p221
    逆に間違っている前提でも論理を増やして複雑にしていけば世界はせつめいできるんですよ。
    それがイデオロギーの正体なんじゃないかと。

    つまり真理に近い論理はよりシンプルになる。

    p244人から頼られて相談を受けた時に、うれしいと思うか、いや、待ってと慌てるかが経営者の資質の分かれ目だと思います。

  • 去年たまたま12万5000人が参加したニコニコ超会議3に行ってみて、夜の部のニコニコ超パーティーで、MCの煽りに合わせて「ラブ!スマイル!カオス!ニコニコ超会議!」のコールが幕張メッセイベントホールに響き渡った時に感じた興奮と感動の源泉に触れることが出来た読書でした。いまさらですがニッポンでは現在凄い革命が進行しています。ニコニコ宣言は、21世紀の船中八策だと思いました。いや、フランス人権宣言か?すいません、旧世代の比喩で。まあ、本書にあるようにこじつけこそが、ストーリーということでお許しを。しゃべれるおたくバンザイ!

  • 自分と全く違う考え方に出会うのは、世界が広がって素敵。その発想はなかった、と思うのに、解説されればとてもシンプルで、あっさり納得できるところがすごかった。

  • 「人間は、追い込まれないと、自分で考えない」ということは、私の直観に反するものでしたが、考え直すと、そうかもしれない。

    川上さんは、「はじめはこう(世間と違い風に)思っていたけど、一周回って、世間が言ってることは正しいと思った」というが、これは、正しい思考回路だと思う。

    「新卒一括採用を否定するのは、バカである。」

    私は、川上さんのように細かく詰めて考えることができていませんが、この本を読んで、自分がオタクなのだということが分かった。

  • 大変刺激的。読んでいるうちに様々な考えが浮かぶ触媒のような本。特にコンテンツ←→搾取するインフラという対立軸に関する考察、人間の「無駄」な営為の受け皿としてのニコニコ動画というくだり等。ドワンゴが将棋電王戦を主催する理由も判った気がする。

  • 個人的には、ニコニコはあまり好きではない。でも
    経営者の川上氏は割と嫌いではない。その川上さんと
    Cakesの加藤氏との対談本。
    川上氏は、すごく頭が切れて本質的な内容まで
    頭で考える。具体と抽象を往復できる非常に
    頭がいい人だと思いました。いろいろなマスメディア
    にての発言は以前から面白いと思っていましたが。
    ただ、惜しむべくところは、やはりご本人も言われ
    ているように、根本が”オタク”なので、教養というか
    物事を考える際のINPUTみたいなものが足らない
    気がしました。
    ただ、コンテンツのクリエーターとしての考え方
    については非常に高邁な部分があると思います。
    愚にもつかない議論を繰り返している人
    他者を攻撃して何ものも生み出していない人
    何も考えていない人、自分が一番考えている
    と勘違いしている人が多い中。。。。
    もっと彼らのアウトプット(こういう本であったり
    彼らが生み出すコンテンツ・文化)をもっと見るべき
    だと思います。

  • 川上さんという人間の思考が分かった気になれる本。
    角川×ドワンゴの話を題材に、「よくわからない存在」や組合せのほうが、ビジネスとして成功しやすいという話は、目からうろこ。まさしくそうだなあと頷かされた。
    その奇抜さ、天真爛漫さは、非論理的なところから来ているわけでは決してなく、むしろ論理を突き詰めたところから来ていることが分かった。

  • ニコニコ動画が好きでない。UIがどうにもがさつで趣味が合わないので見る気がしなかったのだが、経営者の川上量生さんには興味があった。会長職にありながらスタジオジブリの鈴木プロデューサーに押しかけ弟子入りしたり、就活のあり方に異議を唱えてエントリーを有料化したりと、その行動には驚かされ、その背景を知ると非常に理詰めで納得させられてきた。本書を読むと、その思考法、論理の立て方がよくわかる。やはりとても頭のいい人なので、説明されるとそれしかないと思えてしまうくらいに簡単な話になってしまうのだが、常人に思いつけるものではないと思う。本人は運がいいだけというが、やはりその直感力と直感を実行するための綿密な検証と論理立ては凄まじい。天才のすることはいともたやすく見えてしまうという好例といえる。本人は否定するだろうけど。

  • 自分の思っていることに正直に生きられている感じが伝わります。

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著者プロフィール

かわかみ・のぶお 1968年愛媛県生まれ。91年京都大学工学部卒業。97年8月ドワンゴを設立。株式会社KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長を経て、現在はKADOKAWA取締役、ドワンゴ顧問、学校法人角川ドワンゴ学園理事などを務める。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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