ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822250515

感想・レビュー・書評

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  • ・ 任天堂のような自分でコンテンツを作っているプラットフォームは、コンテンツの値段を下げません。むしろゲーム機本体を安く売って、ソフトの売上で回収しようとする。
    ・ 多くの人は少ない理屈でビジネスをしようとするから、競争相手がたくさん現れてうまく行かないんじゃないでしょうか。
    ・ どんなコンテンツ市場も、成熟していくと、コンテンツそのものではなくてブランドが評価されるようになるんです。
    ・ プラットフォーマーにとって一番いいのは、突出したクリエイターがいなくて、取り替えられる消耗品としてのクリエイターがたくさんいるという状態です。
    ・ プライドや自尊心がなくなったら、人は起きて飯を食って寝るだけの生き物になってします。
    ・ リスクについて考えるなら、その起こる確率とリターンがどのくらいかということも併せて考えないと行けない。リスクがあるかないかしか考えていなくて、期待値の計算をしていない。
    ・ レアなところが共通していると、似ていると思いやすい
    ・ 論理って突き詰めると、自分じゃなくてもいいものなんです。つまり、非論理的な部分にしか、最終的な個性は残らないわけです。

  • 「原理的にどこまで出来るかを考える。」という章で、ソケットのレベルまで、チューニングするという話だが、プラットフォームとしての、コンテンツプロバイダーの凄味とニコニコの開発文化を感じました。「文系は論理を手段にし、理系は論理で真理を探究する」という章も、論理を扱う際のスタンスについて、考えさせられました。元の出典はケイクスというメディアに連載していたものを本にまとめたようですが、川上量生さんの考えが伝わってくる本です。

  • あとがきが秀逸

  • ちきりん著『マーケット感覚を身につけよう』参考文献

  • ニコニコ動画の視聴者層が平均年齢21歳、視聴している中でもコメントを投稿している人の平均年齢が14歳と聞いて、ニコ動の根本を知りたくて読んだ。

    ニコ動に関しては自分も黎明期からのユーザーとういこともあり、詳しいつもりでいたが、あの意味不明な改悪と揶揄されたアップデートや、ドワンゴ内で行われていたユニークな施策に関しての認知は甘かったと感じた。

    川上さんの考え方は非常に理系的でありながらも、オタクが持つ闇の部分を押さえているため、妙に人間味があると思う。世間ではオヤジキラーと称されるなど、出世上手な人間なのかと思いきや、変に取り繕わないところからも、尋常じゃないオタク臭が放たれている。

    人材育成など、自分の現状と合わない話も何故か見入ってしまう一冊でした。

  • ニコニコ動画の会社(ドワンゴ)創業者で取締役である、川上量生氏の思考法・働き方などについてインタビュー形式で書かれたビジネス・自己啓発本。
    彼は、ニコニコ動画の社長でありながら、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーに無給で弟子入り(丁稚奉公)したり、KADOKAWA(角川書店)の角川歴彦会長に気に入られて経営統合して後継者になったりと、天才だけど変人なんだろうなと、以前から興味を持っていたので、この本を読んでみた。

    読んでみると、発想が斜め上過ぎて、ちょっと常人では参考になりそうもない話が多いけど、共感できるところもいくつかあった。印象に残ったのは、以下のようなこと。

    ニコニコ動画の会社経営
    ・出勤や食事が不規則な社員(主にプログラマ)のために体操服の女性が朝弁当を無料で手渡し(ラジオ体操も)する「女子マネ弁当」
    ・あえて、ニコニコ動画のユーザインターフェースを使いづらくする(ユーザの共通敵となることで話題を提供)

    インターネットメディアのあり方
    ・ニコニコはメディアとしては思想を持たず「何もわからない」というスタンスで(バカなフリをして)右も左もあらゆる情報を平等に垂れ流す。
    ・誰でも作品を発表できる場ができクリエイターになりやすくなれば(オープンになれば)なる程、作品の多様性は減っていく(競争が激しくなり最大公約数にウケるものが氾濫するようになるため)。

    働き方
    ・日本の賢い人は、あまり働かず楽して儲かる仕事(省庁・商社・金融業界)をしてる。頭悪い人は夢を追いかけて「やりたいこと」をやろうとする。川上氏は、それがバカなことだと分かっていて、バカを一生懸命にやる『愉快犯』でありたい。
    ・バカな馬ほど良く走る。賢い馬は肉になる。
    ・新入社員試験に受験料制度を設け、今の就活状況(1人が何十社も気軽にノミネートして受験するせいで、ほとんど不採用)に一石を投じる。

    論理思考
    ・川上氏の語る「理系と文系の違い」が面白かった。
     「理系は論理を使って、世の中の真理を探す。文系は先に自分なりの結論があって、世の中を動かすための手段として論理を使う。」
     理系と文系それぞれに論理的で賢い人は存在するが、お互いに話がかみ合わないことが多いのはそのため。


    感じたこと
    ・川上氏は、とにかく論理的で理系でヲタクで人と違う発想をする人なのだけど、基本的には怠けたい・競争をしたくないという性格らしい。何故そんな人がここまで成功できたのかというと、やはりニコニコ動画に参加し、それを面白がる日本人のヲタク文化・ポップカルチャーという風土があればこそなんだと思う。
    ・ニコニコ動画(ドワンゴ)は、無機質で人を孤独にしがちなコンピュータ・ネットを、人と人・人と社会をつなげるプラットフォームとして提供し、今よりも面白おかしい社会へ変えてくれるかもしれない、貴重な会社なのだと感じた。今は若者・ヲタクの中だけの閉じた世界かもしれないけど、KADOKAWAとの統合で今後どのようになっていくのか。注目したい。

  • 川上さんってすんげ頭いいなって思ってた。論理を突き詰めるし、話面白いし、自分が本当に信じていることしかしゃべらない人だよな。

  • ドワンゴ会長の川上さんのインタビュー集。
    この人を見ていて思うことは、技術や知識に明るいこともそうだが、洞察力、思考力、表現力が抜群に高いということ。また、理系出身らしく自説を論理的に伝えるのが得意である。書籍の内容自体も秀逸で興味深かったし刺激的ではあったが、それ以上に、1つのテーマに対する着眼点、分析の仕方、そして表現の仕方などに唸らされることが多かった。私などは普段多くの情報に接しても、それらの情報を大して考えもせず鵜呑みにしてしまい、疑いを持たず、そのまま取り入れてしまうようなところがある。しかし、彼はそのように一筋縄で納得する人間ではない。常識とされているようなこと、世間で言われているようなこと、当たり前すぎて誰も目を向けない所にスポットを当て、分析を加え、確固とした自説を組み立てていく。
    ホリエモンにも似たような所があるが、共通点としては「自分の頭で発想し、思考し、行動する」ということに対して不安を感じていないように見えるという点ではないだろうか。その説が正しいか、違っているかなどは問題ではなく、自分なりのスタイルを確立しているところである。川上さんがいる限り、今後もドワンゴは若者にフィットしたサービスや企画を提供し続けていくだろう。

  • ビジネス雑誌にある経営者と違って、面白かったです。

  • cakesでの連載をまとめた本。

    まえがきとあとがき以外は読んだことがある内容なのだけれど、まとめて読んだらそれはそれで面白かったです。

    川上さんが現在、正直に言えることを言ってる内容だと思います。また、ちゃんと先のことを考えられているのだなあという部分もありました。(後付のことも多いみたいですけど。)

    漠然としたことしか書けませんが、そういうことが大事なんだなあと、感じ取りました。

    (以上、ブログ全文です。)

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4837480.html

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著者プロフィール

かわかみ・のぶお 1968年愛媛県生まれ。91年京都大学工学部卒業。97年8月ドワンゴを設立。株式会社KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長を経て、現在はKADOKAWA取締役、ドワンゴ顧問、学校法人角川ドワンゴ学園理事などを務める。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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