作品紹介・あらすじ
『京劇』(中公叢書)で、サントリー学芸賞を受賞。NHKテレビ「世直しバラエティカンゴロンゴ」等でも大人気加藤徹教授が、満を持して書き下ろす快作!日本軍の「支那通」が、どうしても宣伝活動に利用したかった、京劇の女形の波瀾の生涯。
感想・レビュー・書評
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京劇にも女形があったのか。恥ずかしながら、梅蘭芳は女優だと長らく思い込んでいた。言い訳:だって、梅に蘭。
京劇の欧米進出に際し、どの演目を選ぶべきか、梅蘭芳とそのブレーンは悩む。以下引用……
「英雄豪傑の『かっこよさ』は民族文化によって差異が大きく、意外と普遍性が少ない。逆に女性美は世界共通の要素が大きく、かえって普遍性がある。」
なるほど。征服民族アーリア人は被征服民族ドラヴィダ人を夜叉として伝説化「男の夜叉は醜いが、女の夜叉は美しい」とした。それに類する心理作用があるようだ。
なお、予期せぬところで中岡俊哉の名が出てくるのも嬉しい。
著者プロフィール
1963年生まれ。明治大学法学部教授。専攻は中国文学。主な著書に『京劇――「政治の国」の俳優群像』(中央公論新社)、『西太后――大清帝国最後の光芒』(中公新書)、『貝と羊の中国人』(新潮新書)、『漢文力』(中公文庫)など。
「2023年 『西太后に侍して 紫禁城の二年間』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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