- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784828418704
作品紹介・あらすじ
中国ショック、北朝鮮「水爆」、原油安、サウジ、イラン断交、新・露土戦争、トランプ現象、欧州難民・テロ危機。世界を読み解くキーワードは「戦争」と「市場」。洗脳を解き大動乱を生き抜け!
感想・レビュー・書評
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馬渕先生と宮崎正弘先生の対論に期待してます。
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「xxの正体」というタイトルの本は、どんな本でも気になってしまいます。今まで、この様なタイトルの本を何冊となく読んできて、著者が言うところの「正体」について学んできました。
今回のテーマは「市場」です。私が社会人になった平成元年から今まで、市場は、グローバリズムによって制御されていたような気がしますが、これもあと3週間後に迫った、トランプ氏の米国大統領就任によって方向転換がなされるかもしれませんね。
この本では、戦争は、市場の一部であるという見方をしていて、いままでは戦争を解説する人と、市場を解説する人が異なっていたのに対して、この本では、宮崎氏と馬渕氏の対談により、その両者をカバーしている点に特徴があります。
以下は気になったポイントです。
・戦争は決して偶然に起こるものではない、戦争は綿密に計画された結果起こる(p3)
・シリアの化学兵器問題の解決にリーダシップを発揮したのは、ロシアのプーチン大統領、なぜ2013年の末からウクライナで新ロシア派のヤヌコビッチ大統領に反対するデモが発生したのかがわかる、ウクライナ新政権の露骨なロシア人迫害政策に対抗して自衛する必要があった、2042年まで租借していたセバストポリ軍港を新政権は追い出そうとした(p6)
・軍事分野も国家の独占が失われた、ブラックアカデミーなど、民間軍事会社がすでに戦闘に従事している。テロ戦争とは、民営化された戦争である(p9)
・シリアは、人口の2割に満たないシーア派の政権が、大多数のスンニ派の国民をまとめている変形な国(p24)
・中国は、人民元を中央銀行が買い支えているので、外貨準備高が減少している。ロシアはほぼ変動していない(p34)
・トルコ(エルドリアン大統領)がEUから距離をおき、ロシアに近づくのは無理はなくて、冷戦終了後に、欧州から冷たくあしらわれてユーロに加えてもらえなかった、そしてアジアへ目を向けだした(p41)
・911の疑問として、1)飛行機をハイジャックするには、飛行機のセキュリティ会社を買収する必要がある、19人だけでそこまで準備できない、2)第7ビルは飛行機が突入したわけでないのに、崩壊している(p53)
・サウジアラビアが原油減産に応じないのは、シェールオイル・ガスのアメリカ潰しだろう、サウジとロシアの利害関係が一致する(p67)
・1973年に、アメリカはサウジを防衛すると約束した条件として、1)石油販売はすべてドル建て、2)貿易黒字で米国財務証券を購入すること(p70)
・2015.7.14にオーストリア・ウィーンで、米英仏ロ中独の6ヵ国とイランとの間で、イラン核開発問題の解決に関する合意文書が締結された、これにより、イスラエルとサウジアラビアから離れた。アメリカが中東におけるパートナーを、サウジアラビアからイランに変更ようとしていると考えた、ドル体制から離れているイランを取り込もうとした(p71、73)
・イランは、石油決済を、中国とは武器、ロシアとは自国製品とのバーター取引、インドやトルコは金塊・自国通貨、韓国も自国通貨(p72)
・石油生産埋蔵量は、ロシア・サウジ・イランであり、この三者を組ませないことが、ドル基軸体制のミソ(p74)
・イランは、ペルシャ王国の再建、エジプトは、エジプト王国、シリアは、大アッシリア帝国、イラクは古代バビロニア帝国であった(p76)
・第二次世界大戦のときに日本を攻めてきたのはロシアではなく、ソ連、我々はソ連=ロシアになっていて、なかなか区別できないが、ナチスドイツといまのドイツが違うように、ソ連とロシアも全く別の存在。スラブ主義のロシア人と共産主義はあわない(p102)
・カソリックもプロテスタントも、原罪説を信じているが、正教は原罪説をとらない、人は善なるものとして神に創られたのが正教の教義、性善説だから日本の神道とも親和性がある(p102)
・中国が世界で買いまくっていた不動産は、いずれ安値で全部買い戻されると想像できる、日本のバブル(=日本潰し)と同じ(p116)
・旧ユーゴスラビアのうち、ボスニア・セルビア・モンテネグロは、ユーロは使えない(p149)
・中国がSDR入りするには、為替取引の自由化、資本の自由化を達成しなければならない、それをやると中国共産党による人民元支配ができなくなることが大きい(p177)
・香港上海銀行は、本店はシンガポール、上場もシンガポール、次にイギリスのミッドランド銀行を買収してイギリス籍になったので、いつでも撤退できる態勢である(p179)
・全世界における自動車販売の中国依存度は、トヨタ12%、ホンダ7%程度、日産は25%なので、中国がこけるとカバーが難しい。VWも40%依存しているので難しい(p183)
・韓国経済は、ウォン高・中国経済の失速で大打撃、FRBの0.25%利上げでも相当韓国企業に響いている(p185)
・全体主義国がオリンピックをすると、9年後につぶれる、2017年に中国共産党は終わりを迎えるかも(p186)
・日本のGDPに占める対中輸出の割合は7-8%程度なので、対中輸出がなくなっても影響は大したことはない(p193)
2017年1月2日作成