AI支配でヒトは死ぬ。 ―システムから外れ、自分の身体で考える―

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  • ビジネス社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828423258

作品紹介・あらすじ

仮想通貨、グローバリズム、同一化圧力……。
「令和の常識」はおかしなことだらけ。流行に背を向け、地に足をつけモノを考える自足のススメ。

感想・レビュー・書評

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  • 題名が少し内容と乖離してるかな?と感じるが、養老さんの考え方は非常に興味深いものだった。実際、コロナでグローバリズムの考え方が変化した時期もあった。しかし、教育の考え方は変わらずグローバルの視点を重視している。
    わたしは、この本を読むまでグローバルな人になりたいと思っていた。それがいいと、私たちZ世代は義務教育によって洗脳されていたのかも知れない。

  • 「現代社会は都会化、システム化、グローバル化、科学主義が進んでいる。これは物事を全て《概念化》して一括りにしようとする世界観。本来の自然は差異に満ちている(あるがまま)。その違った感覚を「身体」で受け止めているのがヒト。「脳」ばかりを肥大化して脳と身体のバランスが崩れると、自然の中の本来のヒトとしての調子が狂ってくる。AIは全てを「脳」で解決しようとする恐るべきもの。」

    養老孟司のバランス感覚は、解剖で、死体という《あるがままの現実》と向き合ってきたからか。

  • 養老先生と浜崎さんという若手文学批評家のインタビューもの。養老先生の深い言葉が光っています

  •  通読しましたが、この本は実に難しかったです。私には。養老孟司「AI支配でヒトは死ぬ。」、2021.10発行。かろうじて理解した気持ちになったのは: ①OECD35ヶ国に対して「自分は健康ですか」のQに、9割がはいと答えた国、3割しかはいと答えなかった国。(1位の米国、35位の日本)②自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断するという「バカの壁」③居心地の悪いとこにはいないっていう猫の生き方 ④「修身」のもともとの意味は「自立して生きていく」。

  • 養老先生と西部邁は同世代であり、表現者クライテリオンと親和性があるのだろうと感じた。やはり戦前を経験して、そこから劇的に変化してきた戦後の世界を見てきたからだろうか。どちらにも、社会を外側から落ち着いて俯瞰するそんな姿や言動が見られる気がする。
    現代社会では本来定まったものではない、自然や経済活動を何でもシステム化、理論化しようとする。グローバリズムや現在のコロナ渦においては、脳化社会が進み、自然を排除して型にはまったものを推進しようした結果、身体との不具合が生じている。そして生きにくさに直面し、それをまた脳で解決しようとする。そこから抜け出すには、自分で考え、動くことを放棄しないこと。都合の悪いものが出てきたら、それに少しずつ手入れをし、バランスを取っていく。そのように自足して生活する。それでも都合が悪ければネコのようにそこから立ち去って居心地のいい場所を見つける。それでもいいのだろう。

  • 対談形式の本は苦手で、、、

  • 自足〜が足りないと養老さんはいう。

    今、科学は実験室の中で再現可能なものが真実だと言わんばかり。だが果たしてそうであろうか?
    養老さんが専門の「解剖学」
    学生の頃、解剖すると神経の走り方が本とは違うので、先生に質問すると、「そういうものだ」といわれたそうだ。
    画一的に全て同じ結果、全て教科書通りは違う。
    データばかりで頭の中でわかった気になる昨今だが、
    体を通して、自然を通して実感し、腑に落ちる感覚こそ今一番大事なことなのであろう。

  • 抽象的な観念ではなく、具体的な現実に立脚すべきという話。私自身、観念的な傾向が強く、現実と乖離して上滑りしてしまう自覚があるので、本書で語られる問題意識には共感できた。

    「バカの壁」は昔読んだが内容はほとんど覚えておらず、タイトルから上から目線な印象だけが残っていた。だが、本書を読んで、養老孟司自身が全共闘との関係や大学勤務などで苦労する中で色々考えてきたということや、観念的なことを全否定しているわけではなく現実とのバランスが大事だと行っていることが分かり、印象は良くなった。

    以下、面白いと思ったこと。

    - 抽象的な観念/決め事と具体的な現実、人間にはどちらも必要でその間でバランスを取っていくしかないが、現代は前者に偏りすぎている。

    - 「実感信仰」という言葉で小林秀雄を批判したのは丸山眞男。だが、それを承知で養老孟司は「実感信仰」しかないと言う。

    - 無限の自己反省を止めるのが「実感」

    - 日本語の特性は情動的なところ。語幹より語尾。客観より主観。英語や西洋の考え方からすると違和感があるが、日本語で考えるしかない日本人にとってそれは仕方ないこと。

    - 虫に対しては自由に好き嫌いが言える。日本語では得体が知れない無意識的なものを「虫」で表現する。「虫が好かない」「虫の居所が悪い」。

    - 中村哲の「内発性」。

    - 東大は長男で京大は次男。研究者という点では京大の方が面白い。東大は「通説」でないと講義できない。東大は「自分は優秀だ」と思っている人が多いので師弟関係が成立しない。だが、東大はそういう役割なので仕方ない。

    - 徹底的に真似しようとして真似できない部分だけが個性。これだけ学問、文化の積み重ねがある世界で簡単に個性など出てくるはずがない。

    - 「修身」は「自立」。人さまに余計なことをするなということ。古来の人は自立した人で作る社会を理想としていた。

    - 人の評価と関係ないところで「自足」することが大事。その正反対がSNS。

    - 仕事と生活のダブルスタンダードに耐えられなかった。アメリカ人は自分の研究を平気でThis Gameと言うが。

    - 大学を辞めた日は空の青さを感じた。大学勤めの時期は顔が暗かったと妻から言われた。

    - 挫折のない人間は複眼的な視点を持てない。

    - 複雑系。初期値で非常に小さい小数点以下の端数を丸めると、天気図予測のコンピュータの計算結果が大きく変わってしまう。正確に予測するには超詳細な初期値を設定する必要があるが、それは論理的に不可能。即ち、物事の正確な予測は不可能。

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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