いしになった かりゅうど モンゴル民話 (日本傑作絵本シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834000764

作品紹介・あらすじ

心のやさしい狩人ハイリブは、助けた白へびから恩返しとして、鳥やけもののことばがわかる玉をもらい受けます。ある日、鳥たちが「明日、大雨で山が崩れる」と話しているのを聞いたハイリブは、村人たちに逃げるように伝えますが、信じてもらえません。でも、鳥のことばがわかることを他の人に話してしまうと、ハイリブは石になってしまうのです。ハイリブは悩んだ末、ある決断をしました・・・・・・。心を打つモンゴルの昔話。

感想・レビュー・書評

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  • 素話のテキストにと借りた一冊。
    本気で覚えるなら、原話である「モンゴルの民話」からになるだろうが、まずは絵本で筋を掴もうと読むことに。
    骨太の民話に、赤羽末吉さんが描く挿絵が生き生きと雄大で素晴らしい。
    白ヘビを助けてあげた心優しい狩人のハイリブ。
    お礼にとやってきた白ヘビは、実は竜王の娘。
    山奥の竜王の館に行き、父王から宝の玉をもらったハイリブだったが、
    それは動物たちの言葉を理解する力を持っていると同時に、
    それを誰かに話すと自分が石になってしまうというものでもあった。
    ある日その動物たちの会話から、もうじきこの地に大災害がやってくることを知ったハイリブは・・・

    やらせの「自己犠牲」ではないことは、ハイリブが言おうかどうしようか悩むあたりでよく分かる。
    ここに「間」を持たせることで、素話も力強いものになるだろう。
    でもこれは高学年向けの話。低学年にはちょっと・・・である。
    東日本大震災でも、こういうひとたちは大勢いた。
    誰もが、犠牲になろうとしてなったわけではない。
    ただ、少しでも多くの人を助けたい、その一心だったに違いない。
    そんな時ひとは、思いがけないほどの力が出るものなのだ。
    必死になって村人を説得した、ハイリブの気持ちも分かるなぁ。
    災害の場面の描写が怖いくらいの大迫力だ。
    さすがの赤羽末吉さんである。
    約11分。中学年くらいから。

  • この絵本は何を伝えたいんだろう?
    獲物をみんなに分け与える心やさしい狩人が、その優しさゆえに授かった能力で自然災害を知り、民に避難を呼びかけるが聞き入れてもらえず、自分の身を呈して皆を救った。そして祀られた。
    これを子供に読みながら、狩人はいい人だね、って言えばいいのか?
    多くの民を救うには心優しい狩人のような善人が死ななければならないのだろうか。
    狩人は、どんな思いでみんなに災害が来ることを伝えたのだろう。いつもみんなに優しくしていたのに、自分の言うことを自分の死で証明しながらじゃないと信じてもらえないなんて、切ない。

  • 【あらすじ】
    狩人のハイリブは真鶴に捕らえられた白蛇を助ける。竜王の娘である白蛇はお礼としてお父さんの口の中にある宝の玉をあげると言う。玉を口の中に入れると、鳥や獣の言葉が何でも分かるが、他言すると石になってしまうということだった。
    玉を手に入れたハイリブは鳥たちが山が崩れると騒いでいるのを聞いた。ハイリブは自分を犠牲にしてでも、村人を助けるためにそのことを伝えると、石になってしまった。
    村人はハイリブの忠告で逃げたため、無事に助かった。村人は石になったハイリブを探して、山の上に祀った。

  • ☆ 5年生 読み聞かせ 2019秋 ☆
    モンゴルの民話。
    元気のよいこどもたちが、話がはじまるとすぐに真剣なまなざしを向けてくれる。タイトルから悲劇的な展開が予想されるからかやや心配そうにしている子もいる。実際、この秋台風による大雨の被害が報道され、繊細な子にはお話が真に迫りすぎるかな・・と事前に少し悩んだほどだ。
    ただ、このお話の核は、心やさしい主人公の自己犠牲の精神性にあるとおもうし、昔話らしいドラマチックな展開も楽しめるだろうと考えた。結果的に、絵もストーリーも、いっしょにじっくり味わえた実感があった。高学年のお兄さんお姉さんらしく、ともに充実した時間が過ごせて嬉しくなった。

  • 最初から死亡フラグビンビンですね。
    嫌な予感しかしないとはこのことか。

    結局のところ、彼の行動はなんだったのだろう。

    宝をもらわなければ、洪水のことを知らずに、一緒に流されていただろう。
    宝をもらったからこそ、それを知らせることができた。
    彼が助かるには、誰にも告げずに自分だけ逃げることだけど、彼はそんなことができる人間ではないし、それをやったりしたら、彼は死ぬより辛い思いをすることになるだけだろう。

    宝の力で知ったといわずに、なんだかんだと適当な理由をつけてごまかせばよかったのだろうか。
    それなら、宝の力で聞いたことを口外しなかったことになったのだろうか。

    しかしそんなことは言っても仕方ないこと。
    そしてなにより、あの結果で、彼は満足だったのだろう。

  • 6歳

    長女が通算2回借りてる
    こういう渋いタッチも好きらしい
    (せかいでいちばんうつくしいうまみたいな)

    自らが犠牲になり村を救った
    勇気のある若者の話
    これ系の昔話ってなんで人外のお礼が
    命と引き換えに特殊能力授けるパターンなんだろ
    可哀想じゃん

  • ※図書館で借りた本

  • モンゴルの昔話。
    人の良い狩人が白蛇を助けると、実は竜王の娘で、お礼に宝物をくれるという。
    狩人は白蛇の言う通りにして、動物の言葉がわかるようになる珠をもらうが、動物から聞いた言葉を人に話すと石になって死んでしまうという。

    多くを見捨てて自分だけ助かるくらいなら、自分が犠牲になろうという高潔な物語。
    竜王は珠を渡す時に何を思ったのでしょう。

  • 3年生

  • モンゴル民話
    ヘビを助けた狩人のハイリブ
    なんとヘビは竜王の娘だったのです
    竜王はお礼に宝をくれるといいますが、娘からの助言で、ハイリブは竜王の口の中にある動物の言葉が分かる玉を欲しいとお願いします
    しかし、この玉の事を他の人に話すと石になってしまうという
    ある日、ハイリブは鳥たちが山が崩れ大水がくると話しているのを聞きます
    ハイリブは皆に逃げるように言いますが、信じてもらえません
    とうとうハイリブは理由を話ます

    読み聞かせ時間は10分弱です

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著者プロフィール

大塚勇三 1921年、中国東北地方生まれ。出版社勤務を経て、外国の児童文学作品の翻訳に多く携わる。主な訳書に『長くつ下のピッピ』(岩波書店)、『小さなスプーンおばさん』(学研プラス)、『グリムの昔話1~3』『アンデルセンの童話1~4』(以上、福音館書店)など、絵本の再話・翻訳に『スーホの白い馬』『たんじょうび』『プンク マインチャ』(以上、福音館書店)などがある。2018年没。

「2020年 『あかずきん グリム童話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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