びっくり まつぼっくり (幼児絵本ふしぎなたねシリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (24ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834025811

作品紹介・あらすじ

まつぼっくりみつけた。ここにもころん。あっちにもころん。くるくるまわりながらおちているタネのダンス、晴れの日、雨の日で、開いたり閉じたり、大変身。まつぼっくりには、ふしぎがいっぱい。

感想・レビュー・書評

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  •  時季外れなのは、重々承知なのですが、母の友(2023年12月号~2024年1月号)での、お二人の対談を読んで、どうしても読みたくなってしまい、いつもの図書館で借りてきました。

     本書は、『幼児絵本ふしぎなたねシリーズ』で、その3才~5才向きの内容は、まつぼっくりの魅力を、ポイントを絞って分かりやすく伝えることで、子どもたちに興味を持ってもらいながら、絵本としての作りも丁寧に感じられたのが印象深い。

     まずは、文章を書かれた多田多恵子さんについて、彼女は、植物生態学が専門の理学博士とのことで、多くの著書がありながらも、本書に於いては、全ての文章に漢字を無くした上に、「ぼく ひろっちゃう。 まつぼっくり ひろっちゃう」や、「すっかり はりきり まつぼっくり」といった、その韻を踏ませた言葉遊びを思わせる文体には、読み聞かせも考慮した、絵本の世界に自然と入り込んでしまう親しみやすさがあるようで、それはタイトルの「びっくり まつぼっくり」も同様で、その思わず、子どもが声に出したくなるような、惹き付けられる楽しさには、上手さを感じられる。

     次に、絵を描かれた堀川理万子さんは、上記の対談で仰っていた『矛盾がでない程度にデフォルメして描いている』の意図が何となく分かったような気がして、それは表紙のまつぼっくりからも感じられた、写真とはまた異なる、想像の余地も若干残した上でのまつぼっくりの魅力を、なんだか面白そうと直感的に捉えられるような描き方だと思い、それは本編の見開きで、左ページは真上から見たもので、右ページは真下から見たものの絵にも、明確な違いを強調した描き方をすることによって、こちらも文章同様に、まずは興味を持ってもらうような楽しさを感じられた上に、左ページは左手で、右ページは右手で持っている描き方には、男の子が両手にそれぞれを持って比較しているような、一枚絵としての主観的視点の面白さもあって、思わず実際に再現したくなるような臨場感。

     また、堀川さんの『海のアトリエ』同様の、絵が語っている要素として、松の種がひらひら飛んでいく絵の中で吹いている風の存在を、男の子の前方になびいている髪の毛から実感出来たり、寝る前は、濡れて小さくなっていたまつぼっくりが、朝になったら元通り開いていた絵では、男の子の寝癖のついた髪の毛が、まるで、まつぼっくりのその変化を表しているように見えた、そんな点に絵本作家としての拘りを感じられた、細かいところにも妥協しない素晴らしさである。

     それから、最後に掲載された「まつぼっくり てじな」は、上記の濡れた状態を応用した面白さがありながら、その瓶を逆さにしても落ちない、まつぼっくり自身の生命力を感じさせる力強さには、改めて植物も生きていることを教えてくれて、更に巻末の本当の大きさで描かれた薄い羽のような松の種の絵には、実際にそれを拾ってきて合わせたくなる魅力があり、それは洋題の『PINECORN MAGIC』にも表れた、魔法のようでありながら現実の世界に存在する、植物の神秘的な一面も教えてくれたのである。


     ちなみに、何故濡れると閉じたように小さくなり、乾くとまた開くのか調べてみたら、雨の日は閉じて種を守り、晴れの日に風の力を借りて、出来るだけ遠くへ飛ばすためだそうで、子どもたちのためだったのですね。

  • 2歳11ヶ月

    瓶詰松ぼっくり作製中。欲張って瓶に松ぼっくりを入れすぎて松ぼっくりが乾きにくくなり乾燥に時間がかかり苦戦中。完全に母の趣味の実験。

    絵本の中の松ぼっくりの数を数えたり、雨に濡れた松ぼっくりと乾いた松ぼっくりを前のページと見比べたり。内容を理解出来なくても季節のものなんだなーと感じられるだけで充分かな。

  • UniLeaf では、この絵本に透明点字シートを挟み込んで製本した、ユニバーサル絵本を貸し出ししています。
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  • 良かった

  • 松ぼっくりが水分によって変わるとは知らなかったわー

  • 【2018秋 2年生に読み聞かせ】
    まつぼっくりのひみつ、意外に知られていないと思う。短めで絵もいいし集中して聞ける。

    ズボン両側のポケットに、まつぼっくりのふくらんだのとしぼんだのを一つずつしのばせておいて、読み終わった後見せたら「わー!」と喜んでくれた。自分でも実際にさわってみよう!やってみよう!!という興味や体験につながってくれたらいいなと思う。

    【2021秋 3年生に読み聞かせ】
    昔話絵本と組み合わせて2冊目として読む。さらっと読んでも興味津々なのが伝わってくる。
    近隣には立派なまつぼっくりがおちているところがないので、読んだ後本物を見せると歓声があがった。またどこかでひろってこなくては・・^^

  • 3歳4ヶ月の娘のために2012年11月に図書館で借りた本。
    この本を借りている間に雨の日にまつぼっくりを見つけ、しょんぼりまつぼっくりになっているね!と母娘で会話がはずみました。
    何日か後にそのまつぼっくりを見てみると見事に開いていたので、娘は感動していました。実際に自分で体験してみて楽しかったようです。また次回借りたいと思います。

  • 説明しよう!「ぼく」とまつ「ぼっく」りが係っているのだ!
    なんてやると台無しか。
    まつぼっくり。食べられない。
    まつぼっくりは実なのかな?
    それともあくまで種のカラ?
    ついつい持ち帰りたくなるまつぼっくり。

  • 3y
    語呂も良くて読みやすい。
    松ぼっくりが好きな息子に。
    最後に自分でも試せる工作?が載っているのでやってみようと思います^^

  • 2歳8ヶ月、拾ってきた松ぼっくりと見比べて、とても興味津々。
    ことばのリズムが楽しくて、絵はかわいらしく、科学絵本、というかんじの難しい雰囲気はなく、でも自然の発見がかかれてて、とてもたのしい本でした。

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著者プロフィール

東京都生まれ。東京大学大学院博士課程修了、理学博士。現在、立教大学、国際基督教大学、東京農工大学、早稲田大学非常勤講師。植物の繁殖戦略、虫や動物との相互関係などをフィールドでワクワク調べ、自然観察会やNHKラジオ「子ども科学電話相談」、本や図鑑、絵本の出版など広く啓蒙活動にも力を注いでいる。科学的な植物の知識の普及に貢献した功績により、第29回(2021年)松下幸之助花の万博記念賞松下正治記念賞を受賞。著書に『したたかな植物たち』(春夏篇・秋冬篇、ちくま文庫)、『美しき小さな雑草の花図鑑』(山と溪谷社)、『種子たちの知恵』(NHK出版)、『図鑑NEO 花』(小学館)など多数ある。

「2021年 『野に咲く花の生態図鑑【秋冬篇】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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