もう一つの「幕末史」: “裏側”にこそ「本当の歴史」がある! (単行本)

著者 :
  • 三笠書房
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837925835

作品紹介・あらすじ

「尊皇攘夷」は、
幕府を倒す“口実”だった――。

日本のすべてが変わった大転換期、
本当は何が起きていたのか?

“独自の歴史観”を織り交ぜながら、
塗り替えられた
「歴史のターニングポイント」を解き明かす。

 ◎「短刀一本で“けり”がつくことでごわす」(西郷隆盛)
 ◎「桜田門外の変」と「二・二六事件」の共通点とは?
 ◎“いかさまの御旗”が鳥羽・伏見に翻る
 ◎「みんな敵がいい。そのほうが大事ができる」(勝海舟)
 ◎“政略家”桂と“戦略家”高杉
 ◎なぜ龍馬はみなに愛され、そして殺されたのか?

隠されたエピソードから、
幕末の「実像」が明らかになる!

感想・レビュー・書評

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  • やさしい口語調、各章ごとに同じ時期の話をいくつかの視点から描いているため読みやすい

    (これは単に自分の読書力の低さゆえの欠点であるが)勢いよく時代が進んでいくと時々読者としてついていけなくなることがあり、あのおいてきぼり感が繰り返されると読む気が減退してしまう…

    この本はページを遡らなくても(良い意味で)いちいち復習させていただけ、とてもわかりやすかった

    こういった本の構造は知識を太くするのにとても適しており、短時間で得をした気分に(個人的には)なる

    また「人物」にフォーカスを当てている点も有難い

    興味と好奇心がとてもUPする




    反薩長史観の姿勢の半藤氏であるが、

    戦争をしたくない坂本龍馬を殺害したのは…

    武力で幕府を倒したいという○○によって暗殺されたと大胆な予測をされていたり

    (理屈から考える予測としては有だなぁ)、

    「尊皇攘夷は討幕の口実」としており

    教科書的な歴史書ではない視点からの作品となっているため生々しさが興味深い




    関ヶ原から引きずった復讐的執念からの

    結局「一所懸命」の武士的な考えが残った権力争い

    確かに「尊皇攘夷」なんて綺麗事だなぁと納得

    中には本当に日本をなんとかグローバルにしないとまずいという立派な開国派も居て

    いつの時代もそうですよね~的な感じで違和感なく親しみをもって読める

    (しかし本当に日本の将来を思って悪戦苦闘して走り回った人々にはいつも感動する

    今の日本の政治家にもきっとこういう人物が多く居ると信じたい

    また微力な自分にできることも日本人として考えていきたい)




    男らしくてかっこいい勝海舟びいきで嬉しい!

    なぜ福沢諭吉は勝海舟が嫌いなのか…


    坂本龍馬はやはり愛されキャラなのだろうか…

    西郷隆盛の真の姿が未だに自分には理解できず…




    歴史の本はやはりいいですなぁ


    節々にその作者の歴史観、思想、愛国心がうかがえる

    なるほど!と思うものから、そうくるか!という驚きまで

    自分が歴史学者でもなんでもないので多くの作者の歴史本を読むことで背景を知り、その中から自分の考えを構築できる面白さがある

    また歴史の本の大方の作者の愛国心がとても心地よい

    日本を誇りに想い、慈しんでいるのが伝わる

    この歴史の流れを後世に残せるといいのだが…(偉そうにすみません)

    反面、歴史は政治が絡むので表も裏も有り、真実を知るのは多くの弊害もあるのだとも実感


    いやぁ歴史っていいですね



    第1章 維新には「知られざる真実」があるー権力闘争による非情の「改革」

    第2章 幕末「心理」戦争ー江戸城無血開城までの「西郷×勝」攻防三カ月

    第3章 自らを「アヒルの水かき」と揶揄した男ー私が勝海舟に惹かれる理由

    第4章 圧倒的薩長軍に抗した“ラストサムライ”-河井継之助の「不合理を超える」生き方

    第5章 なぜ龍馬はみなに愛され、そして殺されたのか?-「独創性のない」偉大なコーディネーターの素顔に迫る

    第6章 「薩長同盟」は“馬関”から始まったー桂小五郎、高杉晋作と坂本龍馬の「理屈抜きの友情」

  • 近代の日本史は「薩長史観」で綺麗につくられ正当化されてきた。「明治維新」というのは、明治10年代から使われ出した胡散臭い言葉であること、鳥羽伏見の戦いの勝敗を分けた「錦の御旗」は、朝廷から拝受したものではなく、岩倉具視が勝手に作った代物であったこと、など〝官軍〟と〝賊軍〟を使い分けた史観であることに、幕末史の真相を解き明かす「半藤史観」が披露されており、著者お気に入り「勝海舟」と「河井継之助」や「坂本龍馬」と「薩長同盟」ことなど、念入りに解説された歴史の裏側への招待状です。

  • 歴史には常に表と裏があるというか、視点をかえればいくらでも見方があるということにもなります。歴史は言ってみれば「勝者のもの」と言えるでしょう。そういう意味で、勝者が作り出した歴史からは見ないという感じですね。
    幕末の本はいろいろ読んでますが、人によって「誰を推すか」が大変面白いです。この方は幕臣のある方を推していましたが、それも1つの視点として興味深く読めました。

  • 半藤さんの幕府側にたった歴史観は大好き。歴史は勝った人の側から語られるので、都合の悪いことは隠されるのですよね。負けた側から語る歴史は、おもしろい。そしてやっぱり、勝海舟さんはかっこいい。

  • 幕末ものは、急に読みたくなるときがやってきます。
    著者の作品は歴史関係でこれまで何冊か読んできましたが、幕末は始めてです。
    歴史は勝者が作るものなので、定説が必ずしも真実とは限りません。新潟県長岡市に親族のいる著者にとっては、一般に語られている幕末史とは異なる意見を持っていて当然と感じます。
    同じ事実でも、見方が変われば解釈が変わるもの。改めてそれを感じました。



    <目次>
    第1章 維新には「知られざる真実」がある―権力闘争による非情の「改革」
    第2章 幕末「心理」戦争―江戸城無血開城までの「西郷×勝」攻防三カ月
    第3章 自らを「アヒルの水かき」と揶揄した男―私が勝海舟に惹かれる理由
    第4章 圧倒的薩長軍に抗した“ラストサムライ”―河井継之助の「不合理を超える」生き方
    第5章 なぜ龍馬はみなに愛され、そして殺されたのか?―「独創性のない」偉大なコーディネーターの素顔に迫る
    第6章 「薩長同盟」は“馬関”から始まった―桂小五郎、高杉晋作と坂本龍馬の「理屈抜きの友情」

  • やっぱり、ホントに薩長キライだわ( ̄^ ̄)

  • 半藤氏の幕末関連の本。半藤氏の歴史本は、何冊か
    読んだとおもいますがそのなかでは一番読みやすい本だと
    思います。
    内容的にはあまり新しいことはなく既知の内容でしたが
    最後のあとがきの現代の日本に関しての憂いは
    共感する部分があります。また、歴史を真摯に正直に
    受け止める大事さについては、そのとおりではないかと
    思います。

  • 速読トレーニング10分x10回 アウトプットまとめ

    著者は薩長史観が気に入らない。「尊王攘夷は口実よ」。尊王攘夷の攘夷は言っているだけで、そのうち統幕に変わり、倒幕の後は外国と取引するつもりだった。幕府は意外と開明的だったから目指すものは同じなのに倒幕が必要だった。

    竜馬は人間的に魅力があったらしい。多くの同時代人が竜馬についてなんと言っていたかが紹介されている。脱藩と一口に言うが生半可なことではない。人と人を結びつけるプロジェクトに大きな才能あり。

    河井継之助という人は知らなかったが、かなり詳しくかかれていた。信念に従って自分に従わないものは左遷しまくったり厳しかったので嫌われた。

    徳川慶喜にもっと根性があったらと筆者は思っている。言うことがコロコロ変わってリーダーとして頼りない。慶喜は戦う気がなく朝敵になりたくなかった。勝海舟が好きでなかったのに、最後はおまえしか頼るものがないと言っている。勝海舟は海の守りについて書いた論文(?)が他より圧倒的に優れていた。

    江戸城の無血開城が後の日本にとってどれほどゆうえきだったか。西郷は武闘派だった。勝は最後まで西郷を大切にした。

    それにしても幕末は人材がそろっていた。今は人材が足りない。

  • 幕末史が語り口調で書かれているので非常に読みやすいし、入って来ます。

  • 歴史を丹念に研究してきた著者が、歴史上あまり取り上げられていない真実を掘り起こした著作。

    歴史は、戦争の勝者によって作られる。敗者は、煮え湯を呑み込むしかない。

    明治維新に関して言えば、今の歴史として教育されてるのは、史実かもしれないが、勝者から見た歴史、所謂「薩長史観」である。

    薩摩藩と長州藩が幕府側を敵とみなし、官軍と名乗り、旧幕府側を賊軍として滅ぼしたその視点から書き起こされたのが、幕末から明治維新の歴史の真実となってしまっている。

    著者は東京生まれだが、親族が長岡の出身であり、奥羽越列藩同盟の視点も持ち合わせていた。その両方の視点から見た、幕末~明治の歴史。

    こぼれ落ちた真実を丹念に拾いながら自らの考察も交えつつ、歴史の裏側にある心理的側面と、幕末の英雄達の人間的側面を説きほぐしている。

    史実だけでは読み取れない、人間の機微や奥深さが生き生きと描かれていて、非常に面白い。

    時代が必要とした時に、必要とされた人が現れる。それが幕末に起こった、英雄の誕生なのかもしれない。教科書だけでは学べないエピソードがたくさん入っている。歴史に興味ない人にも、是非読んでほしい一冊である。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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