3.11 クライシス!

著者 :
  • マガジンハウス
3.15
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838722631

感想・レビュー・書評

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  • 「エリートはなぜひよわなのか?」の説明は外交官として活躍し、且つ500日以上の獄中生活に耐えた筆者ならではの説得力だ。なら、エリートのセーフティーネットが必要って事になるが、これはエリート自ら、己の欠点を認める事になるので、中々難しいような。そういう危うさを抱えたシステムによって、国が運営されいる危機感は常に持っておく必要はある。しかも、そのシステムの内部には完全ではない人間が存在している事を忘れてはならない。

  • 著者の311への見解が書かれていて、国家のありようがわかる書
    ただし、時系列での内容で冗長な部分も多い

  • 【要約】


    【ノート】

  • 3.11直後の3週間に書かれたもの。
    当時の緊迫感が伝わる。

  • 東日本大震災発生から約1か月間において著者が各媒体に寄稿した論考集。危機を乗り切るための指導者の技法などを提言している。進言を受ける立場の者は、受け入れる度量がなければならないと感じた。果たして当時の首相はどうだったのか。3月21日のJヴィレッジ視察を中止した点は評価できる。チェコスロバキア、マサダの砦、巨匠とマルガリータの話がよかった。

  • 佐藤さんの本は通常非常に面白いが、今回は震災後にスピード重視で出されたようで、震災後約1か月間で佐藤さんが色々なところで発表された文章を単に寄せ集めたものだったため、かなりの割合で同じことの繰り返しが何度も出てきて面白くありませんでした。

  • 「知の怪物」の異名をとる「外務省のラスプーチン」こと佐藤優氏がネットや活字メディアを通じて発信し続けた「3.11」に関する論考です。過激な言葉の中に彼の持つインテリジェンスの感覚が窺がえます。

    この記事を書いている現在、原発事故の事故は第一段階が終了したとのことらしいのですが、まだまだ予断を許せる状態ではありません。この本は僕の好きな論客で『知の巨人』の異名をとる佐藤優さんが3.11の日からインターネットや活字媒体を通して自らの思いを発信し続けてきたものをまとめたものです。その中では結構刺激的な言葉、たとえば『国家翼賛体制』ですとか『大和魂』など、普段の理知的な論理を展開する筆者が日頃使わないようなフレーズがかなり繰り返し使われていて、改めて今回の震災、及び原発事故が『有事』なのだなということを身に沁みて実感しました。

    この本の中にも何度か出てくる明治天皇の御製(和歌)に
    『しきしまの 大和心の ををしさは ことある時ぞ あらはれにける』
    というものがあって、これは僕も始めて今回これを読んで知ったのですが、これは今も原子力発電所の事故現場で収束に当たって全力を尽くしている原発作業員たちや、水素爆発が起こった際に現場で消火作業に当たった消防員。そして、現在でも被災地で復興作業に当たっている自衛隊員の
    ためにあるような歌だなと感じ入ってしまいました。

    もうひとつ、この本で何度も繰り返されている『無限責任』という言葉について。筆者いわく、戦後民主主義は生命至上主義と個人主義によって構築された日本のシステムで職業と生命を秤にかけた場合、生命のほうが普段は重くなるが、例外として自衛隊員、警察官、消防士、海上保安官、そして外交官は自らの生命を犠牲にしてでも職務を遂行しなければならない場合がある。という一節を読んで、身震いがいたしました。そこまでしてやらなければならない仕事や職種があるのだと。

    前に、僕はブログで自衛官になりたいと書いたことがありますが、それは生活を安定させて三度三度のメシを腹いっぱい食いたいからだということことと、両親から
    「お前のようなどうしようもないのは自衛隊に行け」
    といわれたからという、誠にもって安直な理由からで、そういう理由でやってはいけない仕事だったんだなぁということをいまさらながらに痛感しました。

    そして許せないのがこうして震災や原発事故で弱っている日本を挑発するようにロシアが領空圏を侵している(らしい)という筆者の文章を読むと、改めて世界が新帝国主義というモロに弱肉強食の状態になっているんだなということに、衝撃を隠せませんでした。収束に向かっているという政府の発表が眉唾であることは個人的な見解ですが、人類がいまだかつて経験したことのない震災、及び原発事故を経験している今だからこそ、読んでおきたい文献のひとつであると思います。

  • 3.11の大震災後の1ヶ月に渡って著者が様々な出版社に寄稿した文章のまとめ。

    要約すれば、政治手法、政治理念、いろいろな意味で違いを感じる内閣総理大臣「菅直人」は、固有名詞ではなく、職責として、超法規的な立場で大震災に当たるべきであるし、日本国民は翼賛会的にそれを支えるべきだという主張である。

    もちろん、大将はどっしり構えろという原則を破っている菅に対しては手厳しいが、それは批判と言うよりも助言に近い。

    国家が崩壊することで一番迷惑がかかるのは、著者の経験から一般国民であるという信念から、外交も含めて、いろいろと示唆に富んでいる量であった。

    佐藤優講演会の推薦図書としてあげられたので読了。

  • 大将は動いてはいけないという大原則に従う
    明治天皇
    しきしまの 大和心の ををしさは ことある時ぞ あらはれにける
    日本人の勇気は、日本に一大事が起きるときにこそ発揮される

  • 外務省にいただけあって、”世界の中の日本”という視点でこの震災を見ている。また、日本という国家のためにどうするか、という視点も印象的。
    この人物の評価は世間では分かれると思うが、文章を読む限りでは誠実な印象を受ける。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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