億男

著者 :
  • マガジンハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838727148

感想・レビュー・書評

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  • 意思ではコントロール
    できないことが三つ。

    死ぬこと、恋すること、
    そしてお金。

    お金に翻弄される人々
    の姿に哀愁を感じつつ、

    他人事ではないのよね
    と。

    人間は自分の死を予知
    できず、

    人生を尽きせぬ泉だと
    思いこんでいます。

    しかし実態は明日をも
    知れぬ命運。

    お金さえあれば幸せ?

    私たちは知っています、

    そうではないってこと
    を。

  • なかなか深い。人間には自分たちの意思ではコントロールできないことが3つある。
    「①死ぬこと、②恋すること、③お金」とな。この作品で、お金持ちの考え方を少し垣間見れたような気がした。
    お金持ちにも、お金持ちなりの悩みがあるんたと。

    ただ、お金持ちになりたい(泣)

  • お金があればなんでも手に入る。いや、目に見えないものはお金では手に入らない。

    こんなありふれた言葉を題材にした物語だった。
    その言葉を綺麗事と思う人も、そうだなぁと感心する人も様々だ。だからこそお金という存在、「信用」は扱いが難しい。

    お金は人を変えてしまう。人生を狂わせる。
    そんなことを考えている時点でお金に囚われているのではないか?

    考えさせられる一冊だった。

  • 読みやすい。『予想もしなかった結末が待っていた…!』っていうのを求める人には向かないだろうな。全体として、まとまりがあるってこと。無駄なものが少ない。結論、きれい。

  • TVで映画がやっていたので原作も読んでみたけど、原作の方が面白い。

  • ※ちょーネタばれ注意

    ちょっと雰囲気(といえばいいのか?)が、ガネーシャに似ている。
    『人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ』映画『ライムライト』でのチャップリンの言葉。
    勇気と想像力があっても、お金がないと、例えば起業はできないと思うのだけれど、そこを想像力で賄うってことなのかしらね?
    自分の中では、お金があればほとんどの物はどうにかなると思う。だって人間はお金のために=生活のために働いているのではないか?
    三億円が当たらないとわからないかも。


    一男の世界
    弟の借金三千万円を返すために、昼は図書館の司書として、その後はパン製造をしながら地道に借金を返済している一男。奥さんと子供は家を出て行ったので、パン製造工場の寮に住んでいる。
    そこの押入れに三億円が収納されていた。
    一男は宝くじに当たったのだが、どうしていいか分からず、大学時代の親友の大富豪、九十九に連絡した。

    九十九の金
    九十九のお金に関する考えに驚いた。
    一万円札は縦76ミリ、横160ミリ、重さは1g
    五千円札は縦76ミリ、横156ミリ
    千円札は縦76ミリ、横150ミリ、
    五百円玉は7g、百円玉は4.8g、五十円玉4g、十円玉4.5g、五円玉3.75g。
    このくらいお金のことをしらないと、やはりお金にはすかれないのだろうと思った。
    さて、
    九十九に三億円を持って相談に行った一男だったが、飲めや歌えの乱痴気騒ぎの上、気づくと九十九と三億円が消えていた。
    そこから『お金と幸せの答え』の回答を聞くためと、お金を取り戻すためのに九十九を探す旅に出る一男だった。

    十和子の愛
    九十九の会社の広報担当で、九十九と付き合っていた十和子。『金持ちが、そのお金をどのように使うか分かるまで、その人間をほめてはいけない』ソクラテス
    彼女はお金は汚いものと躾けられていた。でもその反面お金を愛しすぎていた。
    父親からの養育費の2億円と九十九の通信会社を売った10億円を押し入れの中へ隠し、彼女の夫にも隠して生活をしている。
    彼女から、九十九の元会社の2人の電話番号を聞く。
    そして彼らに会いに行く。

    百瀬の賭
    呼び出されたのは競馬場の馬主席のもっと奥にある、VIPルーム。百瀬にお金を借りて一男も賭けをする。最初は勝ったのだが、次のレースですべてを失う。ショックを受ける一男だったが、百瀬は大笑いする。「金なんて掛けてない」と。一男の頭の中で1億円が儲かって、また失う。金はあくまでキミの頭の中で動いていただけや。何も変わっていないと。
    『富は海の水に似ている。それを飲めば飲むほど、のどが渇いて行く』ショーペンハウアー
    そして次の千住のところへと行くのだった。

    千住の罪
    九十九と一男の卒業旅行から始まるこのパラグラフ。
    モロッコへ旅する夫婦の映画を見て、二人の旅行が来まる。
    舞台は千住が主宰するミリオネア・ニューワールドというお金が儲かるセミナーを開催している。そこへ一男は4万円を払ってセミナーを受けに行く。その後、40万円を払って個別に会う。その場所は寄席の会場で、演目は『死神』千住は九十九を裏切ってしまったという後悔から、お金を使えなくなり、自分は質素な生活をしていたのだった。『九十九は何ら変わっていない。あなたの傍にいます』

    万佐子の欲
    万佐子と一男の出会いの話。
    娘のまどかのバレエの発表会で、久々に対面する。
    一男は3億円を取り戻して、借金を返済し、また再び家族とよりを戻そうとするが、万佐子に断られる。
    『あなたがお金によって奪われたもの。それは欲よ。(中略)私とまどかの生きるための欲を捨てさせようとしたのよ』

    億男の未来
    モロッコで九十九が芝浜の演目をする場面から始まる。
    バレエの発表会からの帰りの電車の中、隣にドンという音で目が覚める。隣には九十九が居た。
    『お金と幸せの答はみつかったかい?』
    『それはひとつではない。人間すべてにひとりひとり解がある。もし、人間を疑うか、信じるかのY字路があったとしたら、信じる道を行こうとふたたび思えるようになった。』
    そして一男は再び億男になった。

    最後は娘のまどかと、自転車とかけっこの競争をしていた。結局3億円を最初に使ったのはまどかの自転車だった。
    結局、借金を返したのかとか、これからどうするのとか書いてなかったけど、まぁ、楽しい終わり方だったのではないでしょうか?

  • 宝くじで3億円が当たった、図書館司書の物語。
    弟の借金を肩代わりして昼も夜も働き続けた人物が、一夜にして大金を手にする。
    果たして彼はその大金と、今後の人生とどう向き合うのか―。

    もしも、3億円当たったら。
    すごく嬉しい!あれも買える、これも買える!と、思った後で、私もきっとすごく怖くなる。
    それはやっぱり分不相応なお金と感じてしまうから。
    普段私たちが生きている社会ではお金の存在はすごく大きくて、富める人でも貧しい人でもお金に振り回されずに生きることはすごく難しいように感じています。
    だからこそ、この本のテーマである「お金と幸せの答え」について、とても興味深く読ませてもらいました。

    お金が私たちの多くにとってすごく大きい存在でありながら、お金について真剣に学び、向き合っている人がどれだけいるでしょうか。
    お金のことをよく考えながらも、それに囚われることなく、自由でいる。そんな生き方が理想です。
    本書でも繰り返し出てきますが、チャップリンの残した「人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ」という言葉が本書を読み終えた後はより心に残ります。

    お金を貯めること、使うこと、増やすことについては日々考えますが、
    お金が人にもたらしてくれるもの。
    お金が人から奪うもの。
    そんなことに目を向けさせて、考える時間をくれる本書は今の私にとっては貴重なものでした。
    それに、誰かと共有することで手に入る幸せ、生きる原動力となる欲、については改めて感じ入るものがありました。

    お金は人を試しますが、信用をきちんと築ける人でありたいと思いました。

  • 個人的にはかなり面白かった。図書館での出会いもユーモアがあったし、何よりお金と幸せは切っても切れない関係性があり、人間の命題といえるので、ついつい没入してしまった。多くの教訓を得た。

  • 不思議な話で、あっさり読めたが、なんとも不思議な読後感。

  • #読書好きと繋がりたい
    お金について考えるいい機会になる本です。
    投資の勉強しているこのタイミングで読めて良かった。弟が借金して逃げてその肩代わりをして、そのせいで家族と別居からの宝くじで3億円を当てて、頭が真っ白になって救いを求め、今や億万長者の親友に相談からの持ち逃げされる!というあらすじだけ書いたら酷い人生の主人公だが、最後まで読んだら、読んでよかったと思えるし、最後は爽やかな気持ちになる。
    是非、この気持ちを体感して欲しい。

著者プロフィール

かわむら・げんき
1979年、横浜生まれ。
上智大学新聞学科卒業後、『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『君の名は。』などの映画を製作。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、’11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。’12年に初の小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞にノミネートされ、佐藤健主演で映画化、小野大輔主演でオーディオブック化された。2作目の小説にあたる本作品『億男』も本屋対象にノミネートされ、佐藤健、高橋一生出演で映画化、’18年10月公開予定。他の作品にアートディレクター・佐野研二郎との共著の絵本『ティニー ふうせんいぬものがたり』、イラストレーター・益子悠紀と共著の絵本『ムーム』、イラストレーター・サカモトリョウと共著の絵本『パティシエのモンスター』、対談集『仕事。』『理系に学ぶ。』『超企画会議』。最新小説は『四月になれば彼女は』。


「2018年 『億男 オーディオブック付き スペシャル・エディション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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