小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838730131

作品紹介・あらすじ

週刊文春「阿川佐和子のこの人に会いたい」(9月20日号)
毎日新聞「特集ワイド」(9月3日付)
に登場、話題沸騰!

小児科医36年間の経験に基づく、
納得の子育て論ついに登場!


持って生まれた才能は、
いつか必ず花開く。

どの子どもも、親から受け継いだ
素晴らしい素質を持っています。
親がすべきことは、その才能が花開くのを
温かく見守ることだけです。


子どもの個性は顔立ちと同じ。
親から受け継いでいます。

・「トンビがタカを生む」はありえません。
・男の子はママ似、女の子はパパ似。と言われますが、
医学的な根拠はありません。
・背の高さは親に似ます。男の子の場合、
父親の身長+母親の身長に13cmを足して2で割った数字が目安。
プラスマイナス9cmのゆとりもあります。
・お酒に強い弱い、は、親の体質がそのまま伝わります。
・運動が苦手、体育ぎらい。
親の特性がこんなところにも出ます。

子育ての悩み、全部解消!
ぼくがいつもおかあさんたちに伝えていること
・母乳が出なければミルクでOK。
・育児に疲れたらまわりにSOSを。
・習い事は長続きしなくてもいい。
・子育てに手遅れはない。
・点滅する才能のシグナルを見逃さない。
・食べ物で頭がよくなることはない。
・不登校の子どもに必要なのは休息。

■自身がロールモデル■

4歳のときに父を脳腫瘍で亡くし、母子家庭で育つ。
脳腫瘍の原因は勉強のしすぎと思い込んでいた母から
「勉強はするな」と言われつつ医学部に進学。
体育が苦手だったが、50歳でマラソンをはじめ、58歳で3時間7分を記録。
努力の賜物ではなく、遅咲き遺伝子のおかげと思っている。
別名”日本一足の速い小児科教授”。


もくじ

第1章 子どもの個性、能力は親から受け継いでいる。
子どもの個性、能力や才能は、おとうさんとおかあさんから受け継いだ遺伝子によって
約束され守られています。ほかの子や標準値と比べて一喜一憂せず、
お子さんの未来を信じて成長を見守りましょう。

「トンビがタカを産む」は、
遺伝的にはありえません。

男の子はママ似、女の子はパパ似。
医学的な根拠はありません。

遺伝子は変わらないけれど、
進化のための「余白」はあります。 

背の高さは親に似ますが、
±8〜9センチのゆとりがあります。

お酒に強い弱い、まったくの下戸。
親の特性がシンプルに伝わります。 

運動が苦手、体育ぎらいも親に似ます。
環境の影響はほとんどありません。 

遺伝で決められた「苦手なこと」も、
努力で克服できる余地はあります。 

トップアスリートであっても、
極上の遺伝子の持ち主とは限りません。 

体重300グラムで生まれた赤ちゃんも、
遺伝子に守られ、力強く生き抜きます。 

生まれてきてくれただけで、
遺伝子は十分に仕事をしたのです。 


第2章 悩める子育て、いったいどうすればいい?

子どもの人生をよりよくするには、持って生まれた才能や個性を
そのまま花開かせてあげればいいだけ。情報に振り回されるのは無意味です。

いちばんの胎教は、
お腹の子どもに話しかけること。 

母乳が出なければミルクでOK。
おかあさんがラクな方法を選びましょう。 

「理想の母」を追い求めないで。
子どもが好きなのは、いまのおかあさん。

孤独な育児に疲れてきたら、
SOSを発してください。 

保育園に預けて、働くおかあさん。
短くても濃い時間があれば大丈夫です。 

「早くしなさい」と言いすぎない。
子どもから考える力を奪います。 

人よりちょっと早くできるようになるだけ。
早期教育はほとんど意味がありません。

お受験で気をつけてほしいこと。
面接する側は、正直さや個性を見ています。 

小学一年生は、家庭からの脱皮。
先生を尊敬し、任せてください。 

発達に不安があるなら、
なおさら意識してほめましょう。

習い事は、長続きしなくてもいい。
むしろいろいろなものに挑戦させるべき。 

勉強しなさい、は逆効果。
伸びるタイミングは自分でつかませる。 

英会話の勉強は誰のため?
親の自分が始めてみてもいいんですよ。 

理想が高すぎる「あとで後悔したくない症候群」。
子育てに、目標到達点はありません。 

遺伝子スイッチが激しく点滅する思春期。
手出しも口出しもせず、見守りましょう。

日本の義務教育の質は高いです。
余計なお金はいりません。 

どんな子どもでも、みんな、
才能のシグナルを発信しています。 

遺伝子の描くシナリオには余白があります。
才能はいつ花開くかわかりません。

食べ物で頭がよくなることはありません。
楽しく食べることが、なによりも大事です。 

不登校の子どもには、休息が必要。
「行かなくていいよ」と伝えます。 

全部、自分でやらなくていいんです。
ヒラリー・クリントン流の子育て。 


第3章 親が心がけたい、子育てにいちばん大切なこと

勉強ができる、運動ができる。それも立派なことでしょう。
でも、何よりも大事なのは、「共感力」「意思決定力」「自己肯定感」、この3つです。
これを身につけられるようにするのが親の務めです。

「共感力」「意思決定力」「自己肯定感」
3つのチカラが子どもをしあわせに導きます。 

子どもはみな自己肯定感を持っています。
どうかそれを壊さないでください。 

他人と比べない、こまめにほめる。
それが、自己肯定感を伸ばす基本です。 

親の育児不安やストレスが、
自己肯定感を下げる原因になることも。 

意思決定の始まりは2歳から。
どんなことでも尊重してあげましょう。 

意思決定を自分でできることが、
しあわせな人生を歩む秘訣です。 

上手な言葉がけをすることで、
子どもの共感力は育ちます。 

親だけでなく、育児をする人みんなが
健康でいることが大事です。 

男と女は平等ですが、特性は違います。
子育てには、それぞれ出番があります。 

子どもの心が開きやすくなる、
ちょっとしたコツをお教えしましょう。 


第4章 病児とのかけがえのない出会いが教えてくれたこと

小児科医として、多くの病児と巡りあってきました。
子ども自身が本来持つ力と環境の力を思い知らされたこともたびたびです。
子育てに悩むおかあさん、おとうさんにも知ってほしいことです。

母親の愛情から遮断された少年。
それでも生き続けた”親思いの遺伝子”。 

小児白血病を克服し、母となった女の子。
母として絶対に失いたくないものとは。 

死期が迫り、天使となった少年。
最期に手にした父性の輝き。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。上の子出産後も読んでいたようですがすっかり忘れ…本を開いてから以前読んでいたことに気付きました。アウトプットしないと本当にすぐ忘れてしまう。

    さて、上の子が2歳、下の子出産後の今のタイミングで再読できたことは非常に良かったです。
    前回読んだときよりも納得感が高かったように思います。

    子育てって、「子どもにとって最良のものを」と思うとどうしても先回りして何かをさせようとしたり、色々調べて悩んでしまったり、ということが尽きないけれど、本書では ”生まれてきてくれたわが子の底力を信じて、成長していく姿を楽しみに見守ること。たったそれだけでいいのです。"と言い、初心に返らせてくれる。

    小児科医としての経験から、遺伝子の持つ力がいかに大きいかを繰り返し伝えています。
    子どもの運動神経などを見ていても納得。それに対して早くから体操を!などと苦手なものを無理にさせても身に付かず、劣等感を味わわせてしまうこともあるので、それよりも本人がやりたいというならやらせてあげたり、それよりもからだを動かす楽しみを感じられる”なにか”を一緒に見つけてあげたいもの、というのは胸に留めておきたい。

    そして好奇心のかたまりである子ども。なかなかこちらのスケジュール通りに動いてくれず「はやく!」という気持ちになることもあるけれど、これはお母さん自身の段取り不足という耳に痛い言葉は、本当そう。頭ごなしに急かすことなく、時間の余裕を持ちたいもの。

    人よりちょっと早くできるようになるだけ。早期教育はほとんど意味はありません、というのも刺さる。わかっていてもやらせたくなるのが親の性。
    それから日常的に叱り続けると、子どもは耳をふさぐか聞き流すので「叱る」のではなく「教える」ことが基本。いざというときにひとつ叱るために、9回褒めておくというのは夫婦で共有しておきたい。

    しあわせに生きる上で大切な3つ「共感力」「意思決定力」「自己肯定感」というのは、すごくよくわかる。そして親の立場から、それらを子どもが身につけられるような声掛け、行動が大事なんだなと。
    それにしても本書にもあるけれど、「この子がいてよかった、この子を産んだのはわたし」という気持ちは、本当に私自身の自己肯定感を大きく膨らませてくれた。子どもの存在はすごい。
    2歳頃には2つの選択肢から1つを、4歳頃には4つの選択肢から選び取ることができるとのことで、意思決定力を鍛えるためにも意識して選ぶ機会を設けていきたい。

    意思決定力は、よりよい人生を歩むための心の杖でもあります。という言葉を大事に覚えておきたい。

  • ★きっかけ
    育児本読んでみようと思って。ネットの評価で繰り返し読み返したい、とコメント見かけて。

    ★感想
    優しい小児科の先生が終始語りかけてくれる本だった。
    子どものために!!とやってること(やろうとしてること)って、親がやりたかったけどできなかったことじゃない?それなら今から親がやりましょう!とか、ウワー、そうかもと思った。

    子どものために!力いっぱいやらなくていいよ、けど、無関心にはならないで。と子育ての軸を教えてくれた一冊。

    共感力、意思決定力、自己肯定感。
    これ一番大事。納得。

    時々読み返そう。
    そばに置いておこう。

  • (2023/07/17)
    んむむむ…この手のソース書かない本苦手かなぁ

  • 早期教育や英会話、学校の成績を重視している方には目から鱗の内容なのではないでしょうか。

    モンテッソーリ教育を中心として、子供を尊重する子育てをしようと考えている自分にとっては、子育て論は当たり前のことが多かったです。

    とは言え、小児科医ならではの実例は、ためになりました。

    ・ディスレクシアでも、人に読み上げて貰えば問題ない。弱点に目を奪われずに、優れたところ、得意なことを見つけて。
    ・得意なことを一緒に見つけようとする姿勢で子育てすることが大事。

    ・早くしなさいと言い過ぎると、子供から考える時間を奪う。
    ・せっかちな自分に嫌気がさしたら、たまにはゆっくり着替えてみよう。などと提案する。

    ・保育園、幼稚園は優劣がない=家庭の延長。小学校就学は、家庭からの脱皮。

    ・学校の成績が良いか悪いかは、おしっこが濃いか薄いからくらいの差。本当に大事な事はお子さんが何を考え、何を夢見て、何のために勉強しているのか。

    ・思春期は、遺伝子スイッチが激しく点滅する時期。見守って。

  • 子供の健全な成長には親の愛情だけあればよい。

    ・早期教育
    ・オーガニックフード
    ・習い事(これについては、子供の興味を探すために色々挑戦してみるのもいいとは書いてあるけど)

    これらのことで他人と比較したり、「取り組まないとダメだ!!」と追い込まれているパパママいませんか?

    私の母がそうでした・・
    偏差値はもちろん、他の子がやっているピアノの曲の難しさなどまぁ、比較の連続でした。

    この本では、そんな「親がやりたかったことを子供にやらせない」、「トンビが鷹を産む」を期待しない、「比較しない」 など
    子供に熱心になるあまり間違いがちな愛情の方向について語られています。

    短くても子供と向き合う時間を楽しむ大切さについて、病院でのたくさんの子供たちを30年以上見てきた経験から語られており、もっと楽にしていいんだなって思わされます。

    ●読んだきっかけ
    「がんばらない子育て」
    ↑これもおすすめ 
    に参考文献として紹介されていたので

    ・・・子育て本ってどうしてもママが読む本のイメージ。それは、子育てするがママの割合が多くてママが悩んでるからだよなって感じています。
    ぜひ、パパや子供がいなくても読んでみて、みんなで子供を育てる機運が起こってほしいなって思います。
    「ポテトサラダがどーとか言っちゃだめですよ!」

  • 小児科医である著者が書いた育児本です。遺伝子や医学の観点に基づいて語られている部分が多いので、彼の言葉で「大丈夫ですよ」と書かれていると妙に安心した気持ちになれます。遺伝子の持つ絶対的で神秘的なはたらきも、ポジティブに信じられる。

    こどもの幸せに必要なのは「自己肯定感」「自己決定力」「共感力」の3つ。親が心がけたいのは早期教育でもオーガニック野菜を食べさせることでもない。
    ほめること。他人とくらべないこと。認めること。小さな成功体験を重ねること。子供に自分で決めさせること。
    私はせっかちで何でも急かしてしまうし、子育てに余白や余裕がなく自分の秩序のために子供を言いなりにさせようとする性格なので本当に良くないなと思った。
    自己肯定感はもともと遺伝子に組み込まれている感情であって、後から身につける「力」ではない。
    徐々にすり減っていってしまうものなのだから、親がそうさせない努力をしなければならないと骨身に刻んだ。
    また、「叱る」のではなく「教える」。いざというときにひとつ叱るためには、9回はほめておく。忍耐強くほめ続けることで、子供はひとの話に耳を傾けたいと思うようになる。共感力を養ううえではこれが重要になる。9回はほめておく。忘れない。

  • 今まで読んだ子育て本、絶対にいいとか賢くなるとか強い言葉で不安を煽って読ませるものばかりで99%読む意味なかったけどこれはよかった。特に最後の章とあとがき。

  • 子供がいない人にもおすすめの良書。

    子供が親に求めるのは「愛情」最大の悪は「無関心」

    これは、大人になっても同じこと。

  • 育児に対して、母親は○○しなきゃ、○○すべきと思っていたことを優しく解きほぐしてくれる本でした。
    理想の母を追い求めないで。子どもが好きなのはいまのお母さん。

  • 子供が自分で判断するようになるのは、2歳くらいから‼︎
    2歳から、自己判断能力を付けるのは子供が豊かな人生を送る上で大切なこと。また、育児の無関心はしてはいけない。育児をする人は、心身ともに健康でなければ、育児はできない。遺伝子は受け継がれる。遺伝子はいつ覚醒するかわからない。
    高橋先生は58歳で東京マラソンを3時間7分で走り、この時にマラソンの遺伝子⁉︎に気づいた。

    育児について、参考になることがたくさんあった。

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著者プロフィール

慶應義塾大学医学部小児科教授。医学博士。専門は小児科一般と小児神経。日本小児科学会会長。1957年、8月生まれ。1982年慶応義塾大学医学部卒業。1988年から米国マサチューセッツ総合病院小児神経科に勤務、ハーバード大学医学部の神経学講師も勤める。1984年帰国し、慶應義塾大学小児科で、医師、教授として活躍している。趣味はランニング。マラソンのベスト記録は2016年の東京マラソンで3時間7分。別名“日本一足の速い小児科教授”。著書に、『子どものチカラを信じましょう』(小社)などがある。

「2023年 『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て (マガジンハウス新書)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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