人騒がせな名画たち

著者 :
  • マガジンハウス
3.50
  • (10)
  • (28)
  • (39)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 380
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838730193

作品紹介・あらすじ

名画の謎解き本の決定版!
やさしい。面白い。そして解説が深い!

本書は「人騒がせな」西洋の名画のご紹介を通じて、
名画を深く楽しむ鑑賞方法を
知っていただくものです。

たとえばどんな作品をご紹介しているか、
いくつかをご紹介してみましょう。

●画家が受注拒否! 「ぶらんこ」の意味とは!?
●ナポレオンが乗っていたのは白馬でなくラバ!?
●農民を描いたのは成功のための単なる「ジャンル変え」!
●バレエ鑑賞は愛人の品定め会場!

どれも展覧会では決して知ることのできない
エピソードを揃えました。

日本では絵画を印象で感じることや、
個人の勝手な感想ばかりが主流になりがちですが、
西洋絵画を本当の意味で「楽しむ」ためには、
絵画の裏に秘められたさまざまな
「真実」を知らなければ始まりません。

当時の風俗、社会情勢、人間関係……。
つまり「絵画を読む」ための知識です。
本書では、それを丁寧にご紹介してゆきます。

登場する画家はボッティチェリ、ルーベンス、
フェルメール、ルノワール、ゴッホなど、
ルネサンス以降、近代までの美術史界のV.I.P.ばかり。
そしてご紹介する作品のほとんどは、
誰もが知る「超有名作」を選びました。

ほかにどんな作品を掲載しているか、
一部をご紹介しましょう。

ヨハネス・フェルメール「牛乳を注ぐ女」
ピーテル・ブリューゲル(父)「農民の踊り」
サンドロ・ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」
ピーテル・パウル・ルーベンス「セネカの死」
フランシスコ・デ・ゴヤ 「裸のマハ」
エドゥアール・マネ「草上の昼食」
エドガー・ドガ「エトワール」
フィンセント・ファン・ゴッホ「花咲くアーモンドの木の枝」
ポール・セザンヌ「温室のセザンヌ夫人」
ディエゴ・ベラスケス「化粧室のヴィーナス」
ポール・ゴーギャン「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」
ほか多数。

掲載作品は大半がカラー印刷
(一部サブカット等はモノクロ印刷)で、
作品の迫力、美麗さがリアルに迫ってきます。

巻末には
「MAP 画家と作品ゆかりの地」
「年表 画家たちの生きた時代」
「画家名50音順 掲載作品一覧」
も掲載してあり、理解を深めるにあたって便利です。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 絵を「読み解く」という視点に興味津々。
    絵画を楽しむためには、
    絵の裏に秘められた真実を知るべきと。

    例えば、表紙にあるフラゴナールという画家の絵。
    無邪気にブランコに乗る女性の絵なのだけど、
    当時、ブランコに乗ることは性行為を暗示していたのだとか。
    えええっ~~~!!!
    そして、片方の靴が脱げているのは貞節の喪失を意味すると。

    また、フェルメールの室内画に描かれる部屋の入り口。
    脱がれた靴は、性的に奔放であることを示すのだそうです。
    この部屋に住むのはどんな女性なのか、仄めかされます。
    たしかに絵を観る目が違ってきちゃいます。

    ナポレオンが乗っていた白馬はラバだった。
    アルプスの峠を越えるのに馬はありえないし、
    実際、山道に強いラバで北イタリアへ進軍したそう。
    要するに、盛っちゃった わけですね。

    ドガのバレリーナの絵は有名ですが
    そこにも、思いもかけない背景がありました。
    なかなかの黒歴史。う~~ん!

    最後に、ルノワール。
    「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」
    優雅で可愛くて素敵な少女の肖像画。
    はるか昔、中学の時に模写しました。
    かいつまんで語られるこの少女の一生。
    知りたくなかったかな…。

    絵の背景の意味や脚色や歴史。
    知ると、絵を観る興味が倍増です。

    • yyさん
      1Qさん

      そうなの。びっくりですよね~。
      歴史文献なんかでいうと、
      政権を取った方が都合の良いように書き換えるって話。
      あります...
      1Qさん

      そうなの。びっくりですよね~。
      歴史文献なんかでいうと、
      政権を取った方が都合の良いように書き換えるって話。
      ありますよね。
      でも、考えてみれば絵だって権力者に捧げるわけだから、ね。
      盛り過ぎ、媚び売り過ぎ。
      でも、ちょっと面白い。


      2023/04/23
    • 1Q84O1さん
      実は、あの名画この名画の裏には暗い闇がたくさんってこともあるんですね…
      怖ろしい〜Σ(゚Д゚)

      一度、白馬でなしにラバに乗ったドヤ顔のナポ...
      実は、あの名画この名画の裏には暗い闇がたくさんってこともあるんですね…
      怖ろしい〜Σ(゚Д゚)

      一度、白馬でなしにラバに乗ったドヤ顔のナポレオンを見てみたいですw
      2023/04/23
    • yyさん
      1Qさん

      そうなの。
      この本、けっこう闇だらけですよ~。
      美術館ですました顔して絵を観ながら
      ひとり「うふふっ」と思う自分…。
      ...
      1Qさん

      そうなの。
      この本、けっこう闇だらけですよ~。
      美術館ですました顔して絵を観ながら
      ひとり「うふふっ」と思う自分…。
      それも、こわ~い!
      2023/04/23
  •  コンパクトに画家の人生を旅するような本。
     
     絵画の奥にあるものを知ることで、作品自体により興味がわく。

     しかし、数奇な運命に生きた人がなんと多いことか。

     ゴッホ以外の画家の生涯はあまり識らなかっから、読めて良かったと思う。

     ミレー「タネを撒く人」もドガの「エトワール」もタヒチを描いたゴーギャンに対する見方も変わるかもしれないね。

  • なるほど、絵を見るにしても、その背景とか絵の中に隠れた意味を知った上で鑑賞するのでは、きっと記憶も違うと思った。
    本の表紙を飾るのはフラゴナールの「ぶらんこ」。
    制作された1767年当時、ぶらんこに乗ることは性行為を意味したそうで、片方の靴が脱げているのは、貞節の喪失を意味している。暗くて判りにくいがスカートの中を覗いているのが愛人。腕を立てているのは性的興奮を表している。ぶらんこの後ろで綱を引く初老の男性が彼女の夫。左上で口に指を立てているキューピットは「内緒」と囁き、娘の背後の童子は、事の成り行きを見守っていると、、、
    そこまでは読みきれないな。
    また知りすぎると逆に興ざめしてしまうところも出てくるかな。

  • 名画のトリビア集
    奥深さと前提知識の多さがお茶道ぽい。上流の遊び。

    「美術は見るものではなく読むもの」という視点。

    “西洋絵画は伝統的に、感性に訴えるよりも理性に訴えることを重視。

    ・その絵が描かれたのはどんな時代だったのか
    ・社会では何が善で何が悪だったのか
    ・美術界の勢力図はどのようなものだったのか

  • 美術が万年3の私でも楽しく読めました!

    教養として絵画を学びたくて手に取ったのですが、美術館などに行きたいと思うきっかけになりました!
    絵画をまだ何も知らない人、あまり興味ない人にオススメです

  • 『絵画に絵は見るものではなく読むもの』との考えを基に絵画に込められた意味を読み解く本。
    描かれた人物や物が表す意味を解説し、その絵が訴えていることを分かりやすく説明しています。
    歴史画を頂点としたヒエラルキーや笑顔は愚かさを、楽器は性的な意味を持つ等々と知ることでこれから絵画を見るときに参考になることが沢山ありました。

  • 中野京子さんの美術エッセイばかり読んでいるので、たまには他の著者の目線を取り入れたい。
    セザンヌは内向的で極端な潔癖症、妻ができても子供ができてもそれを父に言い出せず、バレちゃったあとは父からの仕送りを半額に減らされて…と、なんだか急に身近に感じてしまった。なんなら愛しさすら感じる。

  • 歴史や時代背景を丁寧に書いてくれているので、
    名画が人騒がせかとかよりも本の内容がおもしろかった。 

  • タイトルの『人騒がせ』か
    どうかは分からなかったですが、
    絵画の裏に隠された画家の意図を知るのが
    好きな方にはおすすめ!

    知名度が絶妙な絵画ばかりで良かったです!

  • いま、興味があるので一気に読めました。
    時代順にしてくれたらいいのに、
    と思いましたが、
    巻末に画家の年表があります。
    そして地図もついていました。
    おかげで色々考えを深める事ができました。

全38件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1966年生まれ。カリフォルニア大学バークレー校卒業。専攻は西洋美術史。ロンドン・サザビーズ美術教養講座にてWorks of Art修了。講演、セミナーなど開催多数。著書に、『名画の言い分』(ちくま文庫)、『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』(ダイヤモンド社)、『名画は?をつく』シリーズ(ビジュアルだいわ文庫)などがある。

「2019年 『カラー新書 ゴッホとゴーギャン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

木村泰司の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
塩田 武士
ピエール ルメー...
原田 マハ
辻村 深月
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×