天才たちの未来予測図(マガジンハウス新書) (マガジンハウス新書 008)
- マガジンハウス (2022年9月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838775095
感想・レビュー・書評
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本書に興味をもったきっかけである成田氏と斎藤氏に関しては、それぞれの著作やYoutube動画などを通して、研究内容と主張は理解していた。
本書ではその再確認といった感じだったため特に大きな発見はなく、
一方で自分が知らなかった小島氏と内田氏の研究などについては興味深く楽しく読めた。
日本で注目される天才たちの先端研究を、まとめてサクッと読める点には強いメリットがあるので、それぞれの著作を読んだことがない人にはとても良いだろう。
なんせ読みやすい。
成田氏から小島氏までの章を通して読んで特に気になった点は、
「重大な意思決定を行う人も、基本的に自分のそれまでの経験をもとに判断を下す」という事実。
これはもちろんそうだし、分かっていたことであるが、
例えば政策を決定するとき、専門家自身や、専門家団体が決定を下すわけではない。
あくまで専門家の意見を受けて、政治家などが決定する。
もちろん、諮問会議や政策会議があり、党から政策を提言し、採択を経て決定される。
しかし最終決定は、その意思決定の影響を受ける全体数から比べると極めて少ない人数が左右する。
その人物たちが、たとえ多くの幅広い本を読んで多面的な視点を持ち、多くの有権者や専門家の話に耳を傾けたとしても、
必ずなんらかのフィルターがかかってしまう。
成田氏の主張する、「アルゴリズムが決定する」という視点ではその大きな問題が解決される。
小島氏の主張では、最終決定は人間だが、アルゴリズムが、個人の経験だけに基づかない、データによる案を出す。
斎藤氏の主張ではコモンによって我々が属する各コミュニティ単位で自らに関わる政策に意思決定のチャンスが生まれるが、
ここには同様にやはり社会主義における大きなリスク、独裁者の発生や為政者の腐敗、内輪贔屓というものが避けられない。
ここでもまた、意思決定をする人のフィルターが邪魔をするため、アルゴリズムが活躍する余地がある。
意思決定の公平性を担保するために、アルゴリズムを頼るという選択肢は、今後よりその存在感を強めていくだろう。
本書では4人それぞれへ「天才の未来予測図」が見えてくる○○の問い」という質問が十数個ずつ用意されているが、
斎藤氏の主張の中で僕が気になっていた点に関しての質問はなく、やや残念だった。
「コモン単位における独裁や腐敗へのリスクにはどのように対処するか」
「地域に大勢の外部の人が流入することによって地域自体が外部の人に乗っ取られる危険性はないか」
「各国各地域によって得られる生産物は異なるが、その生産物や資源をどのようにして効果的に他地域に再分配するか」
これは氏の今後の発信や他の情報源などから解決策を見つけ出していきたい。
内田氏の章に関しては、僕自身のメンタルが全然揺らがない気質であるからかいまいち自分事に捉えにくかった。
ただ、子育てしやすい社会にしていくべきだとか、科学的エビデンスをメディアがより尊重する必要があるという主張に関しては共感する。
以上。成田氏面白いな~詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・進学校に入ると頭がよくなるのではなく、頭のいい人が進学校に入っているだけ。入った人と入れなかった人のその後の学力に違いはほとんどない。
・突き詰めると「人間は何の意味もない遊びを永遠とやる動物」
・無限の成長を有限な地球上で求める資本主義は解決できない。
・こどものことを大人の世界で理解しようとせず、好奇心を持って接する。 -
こういう方々に政治を行って欲しい
理論的で損得のない方 -
これからの日本社会はどう変調していくのか。
4人の天才たちが最先端の知性で未来予想する。
これからの自分の在り方にも参考になる本。 -
イチバン実践的で社会的な改革のインパクトがありそうなのが、マッチング理論。これは研究が進んで実用化されていく事に期待したい。成田氏と斎藤氏は政治思想的内容だが、両者の描く未来が共存できるのかというのが1つの課題になってくるように思える。
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意外と成田さん以外の方が参考になった。
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4人の「天才」のインタビューで構成されている1冊。まず、タイトルと内容に乖離があり、未来予測図というより、各人の仕事内容と未来への展望・希望を語る、みたいな本でした。得るところはありますが、購入して再読する本か?というとそうでもないかと感じます。つまり図書館や立ち読みがおすすめ、ということです。
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日本の未来を良い方向に向かうためにはどうしたらいいのかを高学歴の方々に語っていただく内容でした。
マガジンハウスらしく、わかりやすくするために短い文面でまとめてあり、深いところの話しがあまりなく、ザックリした感じです。
斎藤幸平さんの本はいくつか読んで理解していたので、他の3人の書籍や文庫を読んで、もっと知りたいと思います。
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知の最先端にいる4人の方とのオフィスアワーというコンセプトで構成された1冊。それぞれの方の研究内容が詳しく紹介されているわけではなく、気軽に雑談をしているようなトーンなので読みやすい。具体的に何かを学ぶという目的ではなく、ああ、こういうことがアジェンダになっているのだな、ということを知るには適した1冊だと思う。