狼と香辛料 (2) (電撃文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2006年6月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840234511
作品紹介・あらすじ
狼神ホロとの二人旅を続けることを決めた行商人ロレンス。港町パッツィオでの銀貨騒動で儲けた上等な胡椒を武器に交換し、異教徒の地への玄関口、北の教会都市リュビンハイゲンで大きな商売を仕掛けた。しかし思いもかけない謀略に嵌ってしまう。賢狼を自称するホロでも解決策はすぐには見つからず、時と運にも見放されたロレンスは、商人生命を絶たれてしまうほどの窮地に。何とか秘策を思いついた二人は、リュビンハイゲンへ向かう途上で出会った羊飼いの少女にある任務を託すのだが…。第12回電撃小説大賞銀賞受賞作第2弾。
感想・レビュー・書評
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この小説を読んで一つ気づいたこと。自分は恋愛・ラブコメ自体が苦手なのではなく、特に好印象の持たないキャラや人物の恋愛描写が苦手なのだなあ、ということ。じゃなきゃ、この巻でのホロとロレンスのやり取りなんて読んでられねえわ(笑)
ロレンスを子どものようにいじりからかい、そしてどこか老獪な面を持ちつつも、時に寂しがったり、弱気な面や気遣いを見せたり、すべてひっくるめてただただ可愛いホロ。
一方でロレンス。基本的にはホロにいいようにやられつつも、時折うまいようにやり返すのが、またニヤニヤできる。二人のやり取りってとにかく迂遠なのだけど、会話の妙があるのと、関係性の描き方が抜群に上手いから、その迂遠さが気にならない。別に事件が起こらなくてもずっと二人の会話を読んでいるだけで、普通に一冊分読み終えられるのではないかなあ、とまで思います。
世界観も相変わらず良く出来てます。商人同士の心理戦や腹の探り合い。このあたりをファンタジーの世界観に落とし込んで、物語に組み込む手腕はさすが。二人が訪れる都市や、世話になったりあるいは窮地に陥れられる商会、そして出会う人々、いずれの息づかいも聞こえてくるようです。
その理由にあるのが、人々の文化と生活をしっかり描いていることだと思います。優秀な能力を持ちつつも、現状に不満を抱く羊飼いの少女。宗教都市として、異教徒の討伐に力を入れ、武器がよく取引されている街などなど。
こうした設定たちが完璧に生かされ世界が作られ、そして生まれる物語。それはファンタジーの世界の話でありながら、なぜか絵空事に思われません。たぶんこういう世界があったら、絶対にこんな事件もあるんだろうな、と。そんなふうに納得させられるのです。
ただちょっとだけ不満点をあげるとすると、今回はホロの活躍がちょっとチートだったかなあ。もちろんロレンスもだいぶ頑張ってはいましたが……。次巻ではロレンスがホロを助けるくらいの活躍も、期待したいなあ。そして次の街にも期待大です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再アニメ化前に再読した。
ビールを安いエールと区別している(:p. 261)けれど、
ラガーを指しているのだろうか。
ホロとノーラの何方の名を呼んだかを誤魔化した方法は、
アニメ(2008)の方が好きだけど、小説の方が腑に落ちる。 -
ラストの名前の下りが良い
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105円文庫としては、非常にアリだと思う。
悪くない。 -
リュビンハイゲンの町をめざすロレンスとホロは、狼が出るという道を安全に通行するため、ノーラ・アレントという羊飼いの少女に道案内を依頼します。彼女のおかげで無事にリュビンハイゲンにたどり着いた彼らでしたが、思いもかけないことに彼らの買い入れた武具が暴落し、ロレンスは多額の負債を抱えることになります。このままでは破滅するという危機に追い込まれたロレンスは、一発逆転の商売を思いつき、実行に移そうとします。
今回は、ロレンスが身の危険に追い込まれて、ホロに救出される展開となっていますが、すこし彼女の特殊能力に頼ってしまっているような印象を受けました。もっとも、ホロというキャラクターの紹介を兼ねた巻という位置づけで、おそらく続巻では多用されることはないだろうと思うので、大きな欠陥というわけではないと考えます。 -
胡椒を売るためポロソンを訪れたロレンスとホロは、主人の弱みにつけ込んで武具の信用買いをする。その武具を売りにリュビンハイゲンに向かう道すがら、ロレンスは羊飼いの少女ノーラから護衛として雇ってほしいと持ちかけられる。どうやら彼女には事情があるらしい。
ノーラを雇いリュビンハイゲンに着いたロレンスは、早速レメリオ商会に武具を売りに行く。しかし、商会の様子は明らかにおかしくて……?
相変わらずロレンスとホロのやりとりが可愛いのと、続きが気になって仕方ない展開の数々にページをめくる手が止まらない。 -
ホロとのやりとりから、ロレンスの人の良さがうかがえます。商人たちの駆け引きもハラハラしながら読めました。
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引き続き面白かったのだけど、ちょっと印籠便利に使いすぎてる気もするなあ。
今後に若干の不安が。 -
印籠を見せると平伏するのに将軍だと諦めない
それが力というものの面白さ -
前作に続いて2冊目も読み終わった。
途中途中で新たな商売についての仕組みで考え込んだりはするが、非常に読みやすかった。
1冊目でロレンスとホロがどのような人物であるかは書いたから、2冊目では商人達の世界観を書いたのだろうか。商会の存在する意味や破産が深刻である事がよく理解できた。
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1冊目と比較して、遥かに崖っぷちまで追い詰められたロレンスがホロの為にと路銀を残す辺りには本当に人の良さを感じる。それに対するホロの思いも良かった。
文書の所々で登場する聖人や教会の存在はロレンス達のいる場所が宗教が強い影響力を持っている事が伺えて、中世ヨーロッパはこんな感じだったのかなと思え楽しめた。