NO CALL NO LIFE

著者 :
  • メディアワークス
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本棚登録 : 674
感想 : 121
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840235648

感想・レビュー・書評

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  • 後先考えてない感じというか、未来なんて見えてない感じが
    切羽詰まった高校生らしくてのめり込む様に読んだ。

    出て来るシーンを現実と当て嵌めながら読むと
    凄く現実的な世界観の本なんだろうと思う。

    過去の自分・春川と電話が出来る部分を除いてしまえば
    現実でも、有り得そうっていうか
    もう起こってても違和感ないお話だなって感じた。

    ラストは、軽かったかなあ・・・。
    あっさり死んじゃったあ・・・くらいにしか感じなくって。
    ハハオヤが刺して殺したっていうくだりも、やっぱりって思って。

    でも、強烈なぐらいに
    春川と有海が惹かれあって、必要として
    死んでしまう手前なのに、有海の電話を取ろうとした所とか
    3ヶ月後に有海が春川と電話してる所とか
    凄く切なくて泣いてしまった。

    本文中にもあるけど本当に二人は「コドモのまま」だったなあ。
    高飛び?の事の二人も会話も、旅行みたいな話し方だったし。

    あと、個人的に日野ちゃんが大っ嫌いです。
    あの無神経さが私の大嫌いな人に似てる・・・。

  • 心が擦り切れそうな、刹那的で拙い恋の物語

    読了日:2008.05.05
    分 類:長編
    ページ:293P
    価 格:1400円
    発行日:2006年8月発行
    出版社:メディアワークス
    評 定:★★★


    ●作品データ●
    ----------------------------
    主人公 : 佐倉 有海
    語り口 : 3人称
    ジャンル : 恋愛小説
    対 象 : ヤングアダルト~一般向け
    雰囲気 : 刹那的な青春もの
    結 末 : Happy ENDではない
    イラスト : 鈴木 次郎
    ---------------------------

    ---【100字紹介】------------------
    時間を越えて電話が繋がる…?
    携帯電話に残された、奇妙な間違い電話に
    引き寄せられて出会った有海と春川。
    17歳と19歳、オトナとコドモの間で
    押し潰されて行き場を失った2人の、
    あまりにも刹那的で拙い恋の物語
    -------------------------------------

    オトナとコドモの間を描く…というか、コドモ時代をよりよく過ごせなかったがゆえに、オトナになりきれないコドモを描くことが多い作家、壁井氏登場。「キーリ」しかり、「カスタム・チャイルド」しかり。本作もまあ、同系統。ラストの方の「あと少し、あと少しだけ…」というのもやっぱり同系統。きっと好きなんでしょうね。菜の花も嫌いじゃありません。退廃的な中に希望が…という風景を描くラノベ作家さん、という印象です。

    今回は、形式上はラノベではないですね。内容も…、多分普通の小説というくくりでいいのかな。

    17歳の、過去がちょっと複雑そうな少女、有海。友人に囲まれているし、恋もするし、嫉妬もしていて現状、ごく普通の女子高生。でも、奇妙な間違い電話により、携帯に留守電メッセージが入っていたことから、いつの間にか非日常の世界を垣間見ていて…。そして出会ったのが春川というちょっと不思議な青年。頭の上に、ひまわりとチューリップが一緒に咲いているんじゃないか?というちょっと浮世離れした雰囲気を見せながら、過去に何だか不気味なエピソードもあるようで…。


    奇妙さ、不気味さの中にも比較的ゆったりと語られる前半と、怒涛のように突き進んでいく後半。こういう流れも、この著者の他の作品と同系統。

    前半の不気味さの演出は、謎の留守電メッセージと、本人も思い出せずにいる有海の幼少時代のことなど。しかし、留守電メッセージ、最初はもっと物語に食い込んでくるかと思ったのですが、思ったよりは「小道具」扱いで、ちょっと残念。面白い演出だと思ったのですが、「どうして?」という理由付けも特になく、その辺りが少々消化不良な感じです。


    全体のキーワードはひたすら「刹那的な生き方」かな。そして、とてもコドモらしい、稚拙な生き方でもあります。オトナに反発する彼ら。でもどんなコドモもいつか、何事もなかったかのようにオトナになる。多分、有海や春川以外の登場人物たち…航兄やチサコ、日野ちゃんやマッキーたちは、そうしてオトナになっていく。でも航兄が作中で言うように「同じところが欠けた、似たもの同士」の有海と春川は、その欠けた何かを置き去りにしたまま、オトナにはなれなかったのだろうなと。だから、菜の花は彼らのようには生きられないから、その姿を息を詰めて見ているだけなのです。まあ…そのように生きたいとそもそも思わないわけですが。読んでいるとき思わず、もうやめようよ、もっとオトナになろうよ、と言いたくなってしまう菜の花は、もうコドモじゃないんでしょう。(ちょっと淋しい。)

    何だかイマドキな感じの青春もの(?)でした。ただしラストはハッピーエンドとは言えないので、積極的に人には勧められないですね。だって菜の花はハッピーエンド好き。全体的に、読んでいて切ない…というか、悲しいというか…うん、そう、まさに心が擦り切れそうな感じの作品です。


    ---------------------------------
    文章・描写 :★★★+
    展開・結末 :★★★+
    キャラクタ :★★★
    独 自 性 :★★★
    読 後 感 :★★
    ---------------------------------


    菜の花の一押しキャラ…チサコ

    「…思いださないほうがよかったことを、思いだしてしまった」
    「だったらまた忘れればいいんじゃん?」
             (佐倉 有海 & 春川 真洋)

  • 友達から借りて読みました。
    読み始めはなんだか不思議な感じがして、気になって読み進めました。
    切な過ぎる。擦り切れてます。完全に。
    途中で「え~~」と思いました。もっと甘い話を想像していたので。
    だけど読んだ後の、切ないけどなんだかスッキリしたような、炭酸水を飲んだときのような爽やかさがとてもよかったです。

  • こんな学生時代有り得ないけどすごく悲しい。ほろりと苦い。

  • 擦り切れた、切ない恋愛。
    擦り切れそうな、と帯には書いてありますが、完璧に擦り切れてます。
    ふわふわしているなぁ、と最初に思いましたが、最後はぼろっぼろに泣きました。これは本当に泣いた。

  •  幼い頃、ある事件をきっかけに伯父である佐倉に引き取られ、従兄航佑(こうすけ)と暮らすことになった有海(うみ)。両親と暮らした記憶は殆どないものの、愛情あふれる家庭で育った有海は、何不自由のない高校生活を送っていた。

     ある日、有海のケータイに、「サンタさんにお願いがあります…」と幼い少年の、メッセージが。間違い電話かと、ほほえましく思っていた有海だが、留守電はその後も入り、内容は徐々に、聞き流せない内容になっていく。誰が?何のために?彼女を心配する航佑は、真相を探るべく、電話の主を探そうとするが、たどり着いたアパートに人が住んでいる様子はなく…。
     
     そんな彼女の前に現れた春川という少年。航佑と同級でありながら、出席日数が足りず、2度目の高3を送っている春川には、よくない噂がつきまとっていた。彼の中に自分と同じ何かを感じた有海は、兄や友人達の忠告も聞かず、春川に惹かれていく…。

     気になっていた「壁井ユカコさん」、やっと読めました。不幸な生い立ちの少年と少女の恋の物語というのは、ありがちな設定なんだろうけど、美しくて、痛々しくて…中高生が読んだら、さぞかし切ないんだろうなぁと思いました。大人はただツラくて、ツラくて…。大人の都合で子どもにされたり、大人にされたりしたら、本当にたまらないよね。親が我が子を守らなくて、誰が守るんだ!って…。

  • 【内容】

    何かが大きく欠けてる者同士の有海と春川は、いつの間にか馴染み……破滅へと向かってゆく。
    不思議な電話は、二人を繋ぐ黒い糸。

    【感想】

    サスペンスでホラーな部分もあるけど、これはやっぱり恋愛小説だ!と言いたい。核になるエピソードが重すぎて、ちょっと間を置いてしまいましたが。

    現実的ではないにしても、高校生ぐらいの頃、心の中は、この話ぐらい滅茶苦茶でボロボロで無鉄砲だったかも、と思ったり。

    『きみにしか聞こえない』+『親指の恋人』って感じがした。つまり切ないことは、間違いなし。

  • 切ない。生々しい描写と美しい描写が調和して何ともいえない雰囲気をかもしだしていると想います。登場人物がみんな一癖あるのに好感がめちゃくちゃ持てる。

  • ライトノベル~って感じ。
    ただ、こういう状況とか心情は小説ならでは。
    切実な高校生の叫びってこういうものなのかは不明。

  • 痛々しくて儚くて遠くて幼い。

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著者プロフィール

第9回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞し、2003年『キーリ 死者たちは荒野に眠る』でデビュー。その他の著書に、『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち』(電撃文庫)、『エンドロールまであと、』(小学館)など多数。

「2009年 『NO CALL NO LIFE』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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