波よ鎮まれ (尖閣への視座)

制作 : 沖縄タイムス「尖閣」取材班 
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845113484

感想・レビュー・書評

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  • 【203冊目】1つ前に読んだ本が右寄りだったので、左のものも読んでみようと思い購入。日台漁業協定についての理解は深まったかな。
    それと、「国益」とは一線を画す、個人としての思いに光を当てようとする試み自体は良いと思うのだけど……いくつか違和感が。

    まぁ、時期もあるのだろうけど、1つは、石原慎太郎都知事(当時)による尖閣購入動向が尖閣問題を悪化させたという記述がそこかしこに見られるのだけど。まず、尖閣問題は、1960年代から始まっているものであり、石原さんの動向はそうした長い流れの中での1ポイントであるという視点に欠けているような気がする。次に、これはこの本の存在意義にもかかわるが、石原さんの動向が問題だったとする引用文が1つもなく、この趣旨のことは全て地の文で書かれていること。これは、筆者らの意見なのでは?

    もう1つは、intervieweesの選定にもう少し工夫があっても良いのではないかということ。いわゆる役職のない人についても、漁民か、あるいは先の戦争に強い意識を持つ高齢者だったりして、「政治一般にあまり関心のない若者」とかの記事があっても良いのではないかと思ったな。あと、いわゆる「ハト派」っぽい声ばかりが集まっているような感じが強い。もう少し極端な意見の方に話を聞く度量が筆者にあっても良かったかな。その意味で、黄錫麟さんや黄天麟さんの記事は(両者の意見は相容れないだろうけど)読んでいておもしろかった。

    最後に、あとがきの内容にいくつか反論。
    ・1880年に明治政府が清国に対して通商上の特権と引き換えに先島諸島を割譲する「分島・改約」案を提案したことが、尖閣が日本の「固有の領土」であるということの論拠を揺るがすと書いてあるけど、「固有の領土」だからこそ分島する権利を保持していると主張できたのでは?

    ・「隣国の人々をひと括りにして口汚くののしったり、国どうしの対立をあおったりする方向に偏るのは健全とは思えない」とあるけど、沖縄県とそれ以外の日本、基地移設反対派と容認派などの対立をあおってるのはタイムスでは?国どうしの対立をあおるのは駄目だけど、国内の対立をあおるのは良いのか?

    ・「『目の前の危機』である尖閣問題に正面から向き合い、紛争回避を訴える沖縄発の記事が少ないことに違和感を覚えた」とあるが、本書の発刊から3年の今でも少ない。残念ながら筆者らの思いは、タイムス社には届かなかったとみえる。

  • 軍事的な対応能力を見せつけたうえで、その先に外交交渉で協調関係に持ち込む手だてが今の日本政府にあるのだろうか。中国を敵視して圧力をかけつつ、米軍との協調関係をアピールする。
    身近な生活スタイルを磨けば、ある普遍性に至る。
    台湾ではおきんわは兄弟島。

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著者プロフィール

渡辺豪(わたなべ・ごう)
遊廓家・カストリ出版代表
戦後の売春史が主テーマ。遊廓跡・赤線跡を全国およそ500箇所にわたって撮影。2015年、遊廓専門の出版社「カストリ出版」を創業、主に遊廓関連の復刻を行う。翌16年、吉原遊廓跡に遊廓専門の書店「カストリ書房」を開店。著書に『戦後のあだ花 カストリ雑誌』(三才ブックス)、『遊廓』(新潮社)などがある。

「2020年 『赤線本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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