夢十夜 (立東舎 乙女の本棚)

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  • / ISBN・EAN: 9784845632954

感想・レビュー・書評

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  • 夢十夜は、最初に“こんな夢を見た”とされ、、多少の理不尽や非合理性は、許してね、ということになる。その絵を描くというのはあまりに許容範囲が広すぎて難しかったでしょうねと思います。

    第一夜
    死んだ女が百合の花に転生する夢。
    愛する女を失った男の夢。
    「もう死にます。百年 私の墓の傍で待っていてくださいね。」
    星の破片の墓石、その破片の丸み、苔むす様子などから、長い時を演出する。
    女の死から再生の百年は、男にとって幸か不幸か、読む人によるかなあ。
    百年経って百合となる。

    第二夜
    侍が悟りを得ようとする夢。
    入室参禅で無を追う。
    夏目漱石は鎌倉円覚寺で参禅していて、その経験は、小説「門」となる。本人の投影かな。
    時を打つ音に、時さえ意識する侍には悟りはこないと読んだ。

    第三夜
    自分は6歳の子供を背負い歩く。
    盲目の自分の子。
    子は、大人びた口調で風景さえも言い当てる。
    子は、自分が百年前に殺した盲目の人であった。
    背負った子供に追い詰められていく様子。罪を思い出し認めた時に、背中の子供は重くなる。
    背負う罪の重さ。

    第四夜
    酒を飲む一人の爺さん。
    家は臍の緒、歳は忘れた、手拭いを蛇にする。
    そう言いながら、河原に沈む。
    “神さん”あたりに意味があるのか?掴みどころがないですね。生から死。話かける女性を“カミさん”。蛇は、神の使い魔。

    第五夜
    神代の頃か、戦い敗れ、男は敵に囚われる。
    死ぬ前に愛する女と会いたい。
    朝、鶏が鳴くまでの猶予。
    天探女(あまのじゃく)が鳴き真似をして、合わせない。
    女は、かけおち、男はおそらく殺される。
    天邪鬼の原型らしい。真意を探るものという意味もあるようだけど。

    そして、六夜から、雰囲気が変わる。

    第六夜
    運慶(鎌倉)が護国寺(江戸)の山門で仁王を刻む。
    人々(明治)が集まり、適当なことを言い合う。
    運慶は、木から仁王を掘り出している。
    それならと、明治の木で掘ってみるが埋まっていない。
    鎌倉時代の力強い日本文化への回顧。

    第七夜
    自分は大きな舟に乗る。
    一人なく女(インド)、天文学を知る偉人(西洋)。
    ピアノを弾く女。唱う男。
    甲板から海へ 飛び込む自分。死ぬ前に命が惜しくなる。
    西に進む舟。西洋化への懸念。

    第八夜
    床屋。鏡に向かう。
    次々鏡に映り通り過ぎる西洋化していくものの象徴。

    第九夜
    世の中は戦いに向かっている。
    若い母親は、子を背負い、お百度を踏む。
    願い虚しく、夫は死んでいた。
    という話を夢の中で母から聞く。

    第十夜
    一人の男が水菓子屋から女に連れられていく。7日目に戻る。山で絶壁から飛び込めと言われ、死にたくないので、豚の群れに襲われる。
    うーむ?
    やみくもに進む西欧化への危惧をバレない様に、
    小説家らしく物語にした感じでしょうか。

    • おびのりさん
      夢だから理解しなくても良いんです。

      乙女の本棚は、一作づつなので、好きです。
      夢だから理解しなくても良いんです。

      乙女の本棚は、一作づつなので、好きです。
      2023/12/09
    • かなさん
      おびのりさん、おはようございます。
      乙女の本棚の「山月記」と「夢十夜」…
      どちらも独特な世界観がありますよね!
      おびのりさんの本棚で、...
      おびのりさん、おはようございます。
      乙女の本棚の「山月記」と「夢十夜」…
      どちらも独特な世界観がありますよね!
      おびのりさんの本棚で、乙女の本棚シリーズの
      レビューがこれからも読めること、楽しみにしていますね(*^^*)
      2023/12/11
    • おびのりさん
      かなさん。コメントありがとうございます。
      皆さんの後追いをして徐々に読んでいきます。
      気長にお待ちください。
      ^_^

      かなさん。コメントありがとうございます。
      皆さんの後追いをして徐々に読んでいきます。
      気長にお待ちください。
      ^_^

      2023/12/11
  • 夏目漱石 × しきみさんコラボ作品
    「夢十夜」読みました

    「こんな夢を見た」から始まる十夜の夢の物語。

    好きな順
    ○第一夜
    死ぬ間際の女から
    「百年待っていてください」と言われて
    待つ主人公ー

    凄くヘンテコで不思議な世界観だった。
    でも幻想的な感じで、いろいろと綺麗で
    主人公の永遠の愛が
    文章から零れ落ちて感じられるように
    じわじわ〰️っときた。

    ○第六夜
    運慶が仁王像を彫っているのを
    見物している主人公を含めた明治時代の人達。
    そこでの会話などをしている様子の夢。

    時代がメチャクチャで
    主人公がそこで、いろいろと思っていることが
    可笑しい…。
    でも考えさせられる部分もあって良い。

    ○第三夜
    自分の子をおぶって歩いていく
    主人公。
    起きるときは、うなされて起きそうだと感じた
    夏の夜にピッタリの怖ろしさ…!!悪夢


    この作品、夢を集めた短編集なので、
    どの話も辻褄が合わない、脈絡も微妙だったりなのが
    不思議で面白かった。
    でも暗めな話が多かったから
    全体としてはゾワゾワしてしまう読後感だった。

    夢には
    潜在意識、深層心理が表出してくる。
    私は夢をみて
    「あ~私…、こんな事、気にしてんたんだ…」
    などと、夢で
    自分の気持ちに気付かされることも
    時々あったりする……。

    夢ってほんと、不思議だ!

    • 土瓶さん
      な、なにがおぶっているんだろう?
      妄想するとかえって怖いんですが(´゚д゚`)
      闇とか、墓石とか……。
      な、なにがおぶっているんだろう?
      妄想するとかえって怖いんですが(´゚д゚`)
      闇とか、墓石とか……。
      2023/08/08
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      土瓶さん、
      残念…。ハズレです…。
      土瓶さん、
      残念…。ハズレです…。
      2023/08/08
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      土瓶さん、
      私が言葉で説明しても、気になると思うのですよね…

      実際にみて
      エッとか、なんで…⁉とか、
      言ってほしいんです…(笑)
      土瓶さん、
      私が言葉で説明しても、気になると思うのですよね…

      実際にみて
      エッとか、なんで…⁉とか、
      言ってほしいんです…(笑)
      2023/08/08
  • 国語のテストでよくある問に
    「この時の主人公の気持ちを答えなさい」というのがある

    いや、分かるわけないだろ!

    といつも思っていた

    要領のいい嫌なタイプの子どもだったので、難なく大人が喜びそうな「答え」を書いていた

    でも本当はそんなん本人に聞いてみな分からんだろ!と思っていた
    正解なんか分かるわけないだろ!と思っていた

    正しい「答え」なんてないと今でも思う

    だけど正しい「問い」ならある気がする

    「あなたがこの物語を読んでどんな気持ちになったか答えなさい」

    「答え」はひとつじゃないが、全てが正しい「答え」だ

    「あなたが『夢十夜』を読んでどんな気持ちになったか答えなさい」


    むむむ、やるな漱石!と感嘆する気持ちになりました(最終的になんだそりゃ!)

    • 1Q84O1さん
      仕方ないですね〜w (ㆀ˘・з・˘)
      仕方ないですね〜w (ㆀ˘・з・˘)
      2023/09/21
    • りりうさん
      めろんぱんさん、こんにちは。

      乙女の本棚シリーズ、最近よく読まれていますね(*'▽'*)みなさんがコメントで「オトメーロン」って読んでいる...
      めろんぱんさん、こんにちは。

      乙女の本棚シリーズ、最近よく読まれていますね(*'▽'*)みなさんがコメントで「オトメーロン」って読んでいるのをよく聞きます笑 めろんぱんさんの影響か、うちのクラスでも「心は乙女だから」が男子の口癖に…カリスマめろんぱん師匠の影響ですね(^O^)
      2023/09/22
    • ひまわりめろんさん
      さわわさん
      こんばんは!

      そうでしょう、そうでしょう
      これがカリスマの影響力です
      「心は乙女」世界平和への第一歩です
      さわわさん
      こんばんは!

      そうでしょう、そうでしょう
      これがカリスマの影響力です
      「心は乙女」世界平和への第一歩です
      2023/09/23
  • 二十六乙女読了です♪

    「吾輩は猫である」「坊ちゃん」「三四郎」「こころ」などで超有名な夏目漱石です。
    そうです、みんなが知ってる漱石さんです。
    お札にもなりましたしね。

    初読みですがσ( ˙-˙ )

    「夢」10編、一説には漱石さんが実際に見た夢を...なんて話もありますが、「夢」ですよ!?

    皆さん見ますよね「夢」、覚えてます?

    起きた時に、あっなんか「夢」見てた...って思いながら思い出せなくなるのが「夢」じゃないですか?

    今朝も見ましたよ「夢」!
    見たことは何となく覚えてますよ、内容...??

    私が記憶喪失なだけσ(゚Д゚*)

    いやいや、漱石さんが天才だってことにしておこう(笑)

    う~ん、「夢」だからね。
    まっいいか^^;

    <あらすじ>
    夏目漱石が1908年に発表した連作短編小説。
    各話は「こんな夢を見た」という一文で始まり、作者の見たとされる10個の不思議な夢の内容を描いています。
    夢の中では、時代や空間を超えた出来事や登場人物が現れ、現実とは異なる感覚や感情を味わいます。
    夢のテーマは、愛や死、罪や恐怖、芸術や虚無などさまざまで、漱石の内面や思想が反映されていると考えられます。
    夢十夜は、幻想的な物語としてだけでなく、文明批評や哲学的な問いかけとしても読むことができる作品。



    乙女の本棚シリーズ最新作は夏目漱石×「刀剣乱舞」イラストレーターのコラボレーション!
    小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

    こんな夢を見た。
    10の夢によって構成される、超有名作家による幻想的な奇譚。

    本書は、有名小説と人気イラストレーターによる珠玉のコラボレーション・シリーズ「乙女の本棚」の1冊です。
    今作では、『刀剣乱舞』のキャラクターデザインなどで知られ、本シリーズでは萩原朔太郎『猫町』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』を担当するwebサイト「pixiv」でも大人気のイラストレーター・しきみが夏目漱石を描きます。
    自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。オールカラーで小説と描き下ろしイラストが楽しめます。

    内容(「BOOK」データベースより)

    夏目漱石の『夢十夜』が、『刀剣乱舞』のキャラクターデザインなどで知られる大人気のイラストレーターしきみによって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第8弾登場。

    著者について

    夏目漱石
    慶応3年(1867年)現在の東京都に生まれる。帝国大学英文科卒業後、教師を経てイギリスに留学。帰国後『吾輩は猫である』を発表。その後朝日新聞に入社し、職業作家となる。その他の代表作に『坊ちゃん』『三四郎』『それから』『明暗』など。

    しきみ
    イラストレーター。東京都在住。『刀剣乱舞』など、有名オンラインゲームのキャラクターデザインのほか、多くの書籍の装画やファッションブランドとのコラボレーションを手がけている。著書に『押絵と旅する男』(江戸川乱歩+しきみ)、『猫町』(萩原朔太郎+しきみ)、『獏の国』がある。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    夏目/漱石
    慶応3年(1867年)現在の東京都に生まれる。帝国大学英文科卒業後、教師を経てイギリスに留学。帰国後『吾輩は猫である』を発表。その後朝日新聞に入社し、職業作家となる

    しきみ
    イラストレーター。『刀剣乱舞』など、有名オンラインゲームのキャラクターデザインのほか、多くの書籍の装画やファッションブランドとのコラボレーションを手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  •  乙女の本棚シリーズから、夏目漱石さんとしきみさんのコラボ作品「夢十夜」です。なんとも、ステキな表紙とこのタイトルに期待は大きく読み始めました!

    こんな夢を見た…それが第一夜から第十夜までで、夢だからってこともあるけれどあまりにも現実離れしすぎてて、幻想的といえば幻想的なんだけれど、だからつかみにくいかなぁ~と感じてしまい、一度はスルーしてしまおうかと思ってしまったほど(^-^;)だけど、なんとか、読み切ることができました。

     印象に残ったのは第一夜と第九夜…、第一夜は臨終を迎える女性と100年後に再会する夢、第九夜は戦地での夫の無事を願い幼子を連れてお百度参りする妻の夢…。でもトータルして、混乱してしまいました…。まぁ、こんなこともあります!次、いきますよっ(^-^)

    • 1Q84O1さん
      aoiさん
      リクエスト!?
      おっさんがこのシリーズをリクエストしたら犯罪ではないですか?Σ(゚Д゚)
      いやいや、図書館で話題持ち切りですよ!...
      aoiさん
      リクエスト!?
      おっさんがこのシリーズをリクエストしたら犯罪ではないですか?Σ(゚Д゚)
      いやいや、図書館で話題持ち切りですよ!
      あっ、乙女の本棚シリーズのおっさんが来館したって…w
      2023/07/16
    • かなさん
      1Q84O1さん、「檸檬」よかったですよ(*^^)v
      おばさんが読んでもよかっです!
      「蜜柑」も、最近の乙女の本棚シリーズも
      少し待っ...
      1Q84O1さん、「檸檬」よかったですよ(*^^)v
      おばさんが読んでもよかっです!
      「蜜柑」も、最近の乙女の本棚シリーズも
      少し待ってみて、図書館で入れてくれなさそうなら
      リクエストできるかを聞いてみて
      無理なら、渋めの本で読んでみますが…どうかな(^-^;)

      私のよく利用する図書館でリクエストができるか、
      まだわからないんで…今度聞いてみます♪

      あと、おっさんでも
      リクエストできるのならしてしまうのもいいですよねぇ~
      図書館司書さんたちの熱い視線を浴びながら( *´艸`)
      私みたいに、乙女世代の娘に頼まれたみたいに
      勇気を出してしてみるのもいいかも~♪
      2023/07/17
    • かなさん
      aoi-soraさん、こんばんは!
      あら…日付変わっちゃった(^-^;)
      「夢十夜」きっと、乙女の本棚なら読めますよ!
      って、いっても...
      aoi-soraさん、こんばんは!
      あら…日付変わっちゃった(^-^;)
      「夢十夜」きっと、乙女の本棚なら読めますよ!
      って、いっても私は原作読んでないけど
      でも、乙女の本棚は、原作そのまんまのように思えます。
      そこにイラストがあると、不思議に読めちゃうんですよねぇ~!

      「外科室」も乙女の本棚なのに、この読みにくさは何??って…
      だけど、なんとなく読めちゃうのが不思議っ!!
      イラストの力は絶大です!
      乙女の本棚でぜひ読んでみてくださいね(*´▽`*)
      2023/07/17
  • ヨルシカの「第一夜」を聴いていたら、ふと読みたくなって手に取った。
    夏目漱石×しきみで、とってもイマドキな感じに仕上がっている。
    こんなイラストと組み合わせても、全く色褪せないのは、やっぱり文豪夏目漱石だからなんだろうな。
    夢の中の話というだけに、つかみどころがない感じがするけど、読み手によって様々な解釈ができるという気もする。
    10編の中ではやっぱり「第一夜」が好きだった。

  • 一度読んでその文章の魅惑に虜になった夢十夜を乙女の本棚シリーズで再読。
    いやぁ何度読んでも素晴らしい。「死んだら、埋めて下さい。」から続く女の一連の台詞は、日本で最も美しい言葉の並びだと思ってる。
    第一夜があまりにもお気に入りで、第二夜以降はほとんど記憶がなかったのでとても新鮮な気持ちで読めた。ほかだと第七夜が好きかな。身投げするべく大きな船に乗っている男に話しかける一人の異人。漱石と死と星は相性が良すぎる。

  • 「こんな夢を見た」から始まる、夢のお話。よく分からないところがあっても夢だから仕方がないんだと納得が行く。不思議で、幻想的な世界だった。挿絵も場面にピッタリで、素敵でした。

  • わかりにくいけど、余韻がある。じわじわ面白さがわかってきて長く記憶に残る感じ。

  • 幻想的・不思議・不穏・悲しいなど様々な十夜の夢

    それからどうなったのか気になる夢がいくつか

    私の好みは第一夜と第三夜

    この本のしきみさんの絵はわりと可愛らしいのでまとめられている印象でした

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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