パチンコ利権 - 瀕死の業界に未来はあるのか? -

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  • ワニブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784847097621

感想・レビュー・書評

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  • 〇「三店方式」とは、パチンコホールと景品交換所と景品卸問屋の「三店」が関わる換金方式である。
    〇警察は、
    ・現金または有価証券を商品として提供すること
    ・客に提供した商品を買い取ること  
    をホールの禁止行為としており、これに違反した場合は当然営業停止なり、刑罰なりの罰則が適用されることになる。
    〇この景品買取業務は、パチンコ景品の卸売販売を営む企業で構成する組合が実施している。これは県ごとに異なり、東京であれば東京商業流通組合の傘下の東京ユニオンサーキュレーション株式会社(略称「T.U.C」)が行っている。
    〇こうして買い取られた「特殊景品」は、景品の卸問屋を通して、同じ店に同じ景品が循環しないように再び流通させる。
    〇現代パチンコの父〟とも呼ばれる正村竹一氏がいわゆる「正村ゲージ」を開発し、パチンコの大ブームがおこった。
    〇「正村ゲージ」と言われるとわかりにくいと思うが、現代のパチンコ遊技機の釘の配置そのものを指していると思ってもらってもいい。
    〇「換金を禁じようとする警察」と「換金利権を求める暴力団」の間に挟まれて苦しんだパチンコホールは、警察OBと協力してなんとか「警察も認める換金方式」を確立しようという努力をするようになった。
    〇水島は、パチンコ店とはまったく関係ない独立した第三者の組織が客から景品を買い取る分には「合法とは言い切れないまでもギリギリ風営法には抵触しない」と考えた。
    〇三店方式は大阪でそのシステムの根幹が確立し、全国で普及していった。三店方式が「大阪方式」とも呼ばれる所以である。
    〇このように三店方式は「暴力団排除」という実務上の要請から大阪を発祥地として生まれたものであったが、 長らくその合法性についてはグレーとされてきた。
    〇1992年頃から警察は普通機の取り締まりを厳しくする一方、遊技機とカード式台間玉貸機を一体化させた「 CR(カードリーダー)機」に限ってギャンブル性を高めることを認める方針を取る。 警察庁はギャンブル性の向上をだしにして、業界にCR機導入を迫ったのだ。
    〇手軽に小資本で参入できる戦後のパチンコブームは絶好の機会であり、多くの在日朝鮮人がパチンコ市場に参入した。
    〇現在パチンコ業界は在日韓国人によってリードされる業界になったと言ってもよいだろう。
    〇現在のパチンコ業界の中心は在日韓国人によって担われるようになっており、業界の今後は彼らの双肩にかかっていると言ってもいいだろう。
    〇実際は「釘師」という職業があるくらいに、パチンコ遊技機の釘の角度調整(釘曲げ)はホールにおいて日常的に行われている。
    〇一見、メーカーにとっては重い処分となるように見えるのだが、残念ながら、子会社に手続きさせてしまえば親会社にまで罰則が適用されない抜け穴だらけの規定になっている。
    〇法律の建前を背景に、警察庁、そしてその背後にいる政治家が裁量的に権力を行使して、行政指導の名の下に、密室でごく一部の政治家と役人と業界団体がすべてを決めるような前近代的な体制が続いている。
    〇そこで国としては、ある種の脱法行為であるパチンコを「三店方式」に代表される一定の制限の下で暗黙に認め、刑法185条の但し書きにある「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」という条文を適用して、「パチンコに関してはギャンブル的な性質もあるが、『一時の娯楽に供するものを賭けたにとどま』っている限りはこれを取り締まらない」という、グレーな状態のまま業界を管理してきた。
    〇パチンコ業界にとっては、自分たちの法的位置付けをグレーにしておくことで外部からの参入がしにくい状況が作れるため、パチンコの法的位置付けをグレーにしておくことは官民双方にとって利益があったのである。
    〇「インタベンショニスト」という言葉を聞きなれず意味がわからない人も多いと思うが、単純に日本語に訳すと「介入者」ということになる。
    〇「楽しいギャンブル」というのはやはり危険なのだ。今振り返れば、「ゲーム性を上げるなら、レートを低くしてギャンブル性を下げる」といった対策が本来は必要だったのだろう。
    〇いわゆる「課金ガチャ」に代表される、 ギャンブル的要素を取り込んだスマホゲームに若年層の消費が回っていることが指摘されている。
    〇少なくとも平均客単価を現在の半分程度にするくらいにまではギャンブル性を落としていく必要性があるだろう。
    〇2025年頃に見込まれるカジノ開業までには、このレベルに平均客単価を抑え込む必要があるだろう。

  • パチンコ要らんよね、と思ってたけど読み終えても意見は変わらず、やっぱいらんよね。娯楽とは言え、生み出すものが何もなく、社会に対するマイナス影響が大きすぎる
    ただ政財の利権の大きさに誰も手がつけられないんだよな。NHKぶっ潰す前にパチ業界ぶっ潰すの方が票取れると思うよ。
    知らなかったこと
    ・北朝鮮との関係はだいぶ薄くなっていること
    ・隣の選挙区の平沢勝栄がパチンコの大ボスだということ(功罪有り)

  • 太平洋戦争終了時日本に在住していた朝鮮半島出身者は210万人 46/2までに140-150万人帰還 60万人が残り続けた 日本籍の外国人という複雑なステイタス サンフランシスコ講和条約後、日本国籍は突如喪失

    1988 プリペイドカード 平沢勝栄 北朝鮮への送金ルートを断絶するため

  • 私事であるが1989年から2010年までホール企業に約20年間勤務していて、離職後にパチンコもパチスロも打たなくなり、当節の業界事情に疎くなっていたので読んでみた。著者は「不正釘問題」に関する2016年4月27日当時民進党高井たかし議員の国会質問原案作成に関わったユーザー側の当事者であり、その後「ギャンブル依存症問題を考える会」田中紀子代表と歩調を合わせ行動している。「考える会」とパチンコ業界側の寄付交渉の場において冷たく門前払いを食わされるくだりは読んでいて情景が目に浮かんだ。
    元業界人として業界側を擁護するつもりはサラサラないのだが、おそらく「寄付」を「要求」されたその瞬間に、態度の如何に関わらず、過去から現在にいたるまで綿々と続く「不当な」要求のシーンが即座に目に浮かび反射的に拒絶する以外の道はナシ!と思い込んだのではないか、と推察する。するが現場にいたわけではないので何とも言えない。

    さてその他の具体的内容だが「業界通史」としてはこの分量でよくまとめたな、というのが率直な最初の印象。
    自分が知らない2010年以降の流れを知るのに役立った。

    著者は一撃一万枚獲得あたりまえ!の「パチスロ4号機」が自身の遊技のとっかかりであると記しているが、ユーザー個々の「パチンコ自分史」はまさに千差万別であり、私の場合は「手動式」は一切知らないけれど、著者の世代は体感していないであろう「三共フィーバー」「平和ゼロタイガー」あたりが「入門」だった者なので、業界に提言したいことの内容も全然趣向が違う。著者のパチンコ自分史の流れだとホールに「コミュニティー」機能を期待する論の張り方になるのも必然なのだろう。私は真逆で、ホールはもっと「遊技台VS個人」の濃密な空間であればいいと思うので「おひとりさま」のアメニティーを重視した方が良いと考える。コミュニティーはホールの中になくともよい、近隣のスナックでよい、そして、三共フィーバーには、平和ゼロタイガーには、現在のような他コンテンツ業界要素が絡むようなことは無かったではないか、それでいいではないか!というのが私の望むところであり、そこに著者との意見の隔たりはある。また、予想してはいたがゴト、裏基盤、Bモノ等の闇への言及は量的に僅かだった。それに関しては多くを望むのが酷であろうと思う。ホール側の「中の人」だった自分でも氷山の一角しかわからないことでもあるし。

    と書いているうちに今朝2019年3月6日の読売新聞朝刊の第一面に、政府の「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」の素案判明、との記事が掲載された。パチンコもギャンブル施設としてはっきりと対象になっている。
    著者の示した「業界側と距離を置いた依存症対策推進」とどう絡むのかは私には不明であるが、依存症対策推進の基本的な考え方や方向性に関しては概ね賛同する。
    本書の評価をまとめると、新鮮な驚きは感じないが、業界知識の過去の復習、リアルな現状の把握に役立つ書籍だった、といったところである。尚、自分は業界から足を洗って「パチンコパチスロ依存症」を脱却した状態なので今後ホールで遊技するつもりは全くないし、おれは4号機で全然勝ったことないのに宇佐美はそこそこ勝っていたようだ、という点を鑑みての僻み妬みから★3つとした。

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著者プロフィール

制度アナリスト。1981年東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、経済産業省に入省し、企業立地促進政策などに携わる。在職中にブログ「三十路の官僚のブログ」で注目を集める。新エネルギー・産業技術総合開発機構で電機・IT分野の国家プロジェクトの立案およびマネジメントを担当したのち2012年に退職。現在は太陽光発電などの再生可能エネルギーについてのコンサルティングとともに、著述活動やメディア出演を行っている。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』『菅政権 東大話法とやってる感政治』など。

「2023年 『電力危機 私たちはいつまで高い電気代を払い続けるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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