くよくよマネジメント

著者 :
  • 清流出版
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本棚登録 : 503
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860294465

感想・レビュー・書評

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  • 2010〜2013年に連載していた物をまとめた本。津村さんが会社員と作家の二足のわらじを履いてた頃の話もあるせいか、エッセイというより生き方指南みたいな内容。日常生活の嫌な出来事を連想させる内容もあり私的にはちょっと‥。今度は小説を読もうっと。

  • タイトルの如くの、「くよくよ」しがちな心に対しての津村流処方箋。連載媒体の「清流」読者層を意識してか、「ですます」調に馴染めず、どうもアウェーな空気を感じて読み始めはなかなかついていけず。いつものユルグダなノリで、この内容を読みたいな、なんて思ったりしたけど…。
    でも、徐々にその語りにも慣れてくる。あ~~~そうそう、そうなのよ!と、膝を打ちたくなる箇所多数。「満員電車のゆううつ」エピソードには激しく同意でした。「手書きツイッター」にも、なるほどと思わされた。確かに私自身も、長年手書きの日記をつけ続けることで心のバランスをとっている部分もある。承認欲求を満たそうとするだけでなく、「公開しない人生の部分」を大事にすることも必要だよなと改めて思う。
    こんな感じで、日頃もやもやくよくよしていた感情を、津村さんがうまく言語化してわかりやすく噛み砕いて表現してくれたおかげで、「そういうことだったのか!」と視界がパーッと開けた気がした。「衝動」と「願望」の区別とか、まさにそう。私も津村さんのように、ちょっと気になったワードを、たらたらとスマホで検索し続けるという目の前の「衝動」に無駄な時間を割きがちなので(確かに、その割には頭に残っていないのです)、もっとうまく時間を使えるように…長期的な「願望」の方を大切にするようにしたいと思う。
    メンタル的にしんどいときにページを開くと、けっこう効きそう。津村さんのモノの考え方、処し方、やっぱり好きだなぁ~!と、再確認できた一冊だった。

  • いつもの津村さんの笑えて心なごむエッセイを期待していたら少し違い、まるで心理学のような、自己啓発本のような感じだった。正直、もうちょっと具体的な例を書いてほしいなあーとか思ったところもあったり。あと、2010年から2013年の雑誌連載をまとめたものだった。単行本化してくれるだけありがたいけど、エッセイは新しいものを読みたい……。

    なんて文句みたいに書いたけど、よかった。
    くよくよしてもいいけどできればその一歩先へ、っていうようなことが、まったく偉そうではなく、押しつけがましくなく書かれていて。ためになった。たくさん共感した。
    でも、反省もした。やっぱりわたしダメだなーとかさらにくよくよしたり(笑)。

    津村さん、やっぱりすごいなと思った。いろいろ深い。若いのにとても考えている。尊敬する。津村さんのような人になりたい。少しでも「ましな」ほうへいけるように日々努力していける人。。。

    わたしはここにいちいち感想も公表するし、ツイッターもやってるけれど、そういうのはやめたほうがいいのかな、とも思った。この文章を読んで。

    「公開するための人生の部分」以上に、「公開しない人生の部分」に手をかけ、大切に持っていることが、自分自身の不安や虚しさに飲み込まれないためには必要なのではないでしょうか。誰に言葉をかけられなくても、また、いつかは言葉をかけられるはず、という期待にすがらなくても、自分で自分の願望や平穏さの傾向を観察して、ましな方に心持ちを向けられるということ。

  • 津村さんってどんな人なんだろうと思って読んだ。クヨクヨしたり、ノートに心情をひたすら書いたりと自分と似ているところがあって親近感がわいた。
    洗濯や趣味の話、自他の区別をはっきりさせるという内容の話が面白かった。
    クヨクヨするのは悪いことではない。ただ、一つの思考にハマるとなかなか抜け出せなくなる。なので、思考をストップする意識をもつことが大切。自分の場合、少しでもプラスの案が思い付いたらそこで考えることをやめるようにしている。
    所々、参考になることがあったので、読んでみて良かった。

    印象に残った言葉
    ●モノを捨てられないのは、自分の可能性に対する過信。また、捨てるか捨てないか判断することを怠け続けるという惰性である。
    ●趣味において
    初期投資が3000円以下で、始めてもすぐにやめられることなら、どんどんやったほうがいい。
    ●真面目は簡単な保身技術の一つ。
    ●日常における「上手くできたなあ」とか「今の自分はやれている」とか「これは面白い」という感覚をじっくり養うことは、日々の力になってくれる。

  • 津村さんは賢い方だなと思う。
    私の内面で延々と繰り返してきたことや、私がもしかしたら人様にやってしまっているような言動や、私が思いっ切りこういう類の被害に遭ってきていることなどを、こうもきちんと言語で分析してくれていると、やっと少しは「そういうことだったのか」と理解できる助けになった。

  • クヨクヨしたっていいじゃないと前向きに思える1冊でした。

  • 津村記久子ってエッセイの手法を変えた?
    「やりたいことは二度寝だけ」のような、日常雑記ユルユルダラダラ系とは一線を画す、自己啓発本にも近い手法、ストレスが多い日々をやり過ごして、それでも幸せに生きていくノウハウがしっかり詰まった良書である。

    ムッサ頑張ってる連中には申し訳ないけど、人生なんてこんなもんでエエのよ。順位や成果にこだわり過ぎず、自分の所属している団体(会社とかグループとか国家とか)への貢献ばかりを気にせず、日々を小さくてもおだやかに幸せに生きていく。幸せって今感じる事であって、数値とか成果で測れるもんじゃないよねぇ~。

    文章は確かに津村節なんだけど、津村節でこんな本も書けるのかと感心したし、とても気に入った1冊

  • 「くよくよマネジメント」
    タイトルからして、くよくよする考え方をいかに治していくのかといった自己啓発的な内容なのかなーと思いつつ手に取る。
    しかし、そこは津村さんです。

    普段生活する中で、一定数の「悪意」が存在する。
    そういったものの本質は何かといったことに特筆しているような気がした。
    そういったものにぶつかったとき、その本質はどこにあるのか、どう対処すれば自分自身がすり切れずに済むのか。そういったことを自分自身の体験や心情をさらけ出しながら丁寧に記してくれている。
    読んでいて、ああだから自分は傷ついたんだなとか。そう思うと、正体不明の何かに振り回されずに済むようになる。
    逆に、そういった無神経な立ち居振る舞いをしていないかなとか。自分自身を振り返る事にもつながった。

    小さな悪意や誰かの無神経に
    心がちくりと痛んだときに読み返したい1冊。


    ○人間同士が関係する上でさまざまな軋轢の根源には「自他の区別がつけられない」という重くて毒を持った石が横たわっている(中略)誰かが誰かに何かを強要して傷つけることの根底には、この区別の付けられなさが存在しています。
    ○利害関係のないところで他人の感情を奪おうとする行為の根底には、この、自分の中の子供を他人に押し付けるという意図があるように思います。
    ○まずは自分の判断を信じる事、という処世術にも通じる教訓が、物を捨てる事にはあったのでした。

  • この方の小説が大好きで、初エッセイにわくわくして手に取ったのですが・・・私には全く合いませんでした。なんだろう、文字が滑って全く頭に入ってこないこの感じ。イラストも、可愛いけれど、イメージと違う気がします。

  • わたしも悩むと負のスパイラルに落ちるけど、なんか似たような人いるんだなって親近感がわいた。
    悩みごとは手放してもいいっていうのはいい考え方だと感じた。

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞など。他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『水車小屋のネネ』などがある。

「2023年 『うどん陣営の受難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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