- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784860644703
作品紹介・あらすじ
「タンポポ」のように茎が短く地面を這うように生えるもの。
「玉サボテン」のようにトゲがあり球体のもの。
水草である「キクモ」のように水中と水上で葉の形が異なるもの。
植物と一口に言っても、さまざまな形のものがあります。葉や花はもちろん、茎や幹、根、果実、種子、花粉、細胞など、その形は千差万別です。これらは植物が生きてきたなかで手に入れた形なのです。本書は、形から植物の生きるメカニズムを探り、ほかの生物との関係性や進化についても考えます。
感想・レビュー・書評
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こちらは、植物の形の違いを知るだけでなく
その背後にある意味を考えることを狙いとした本です。
第1章~第10章で、
葉・茎・根・花・果実・形の要因などがあります。
私にとっては、久しぶりに講義・授業を受けているような感じでした。
途中、ついていけない箇所もありますが、その辺は飛ばし読み。
葉を縦に切った時の断面と、
葉の面と平行に切った時の断面から見る
細胞と葉緑体の位置などは、
なるほど~と、無知の自分でも興味深く学べました。
著者が光合成が専門の教授とのことで、葉にページを多く費やされていたよう。
読んでみた印象としても、葉の章が断然面白かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白い本というのは書き出しから魅力的なものだが、これも「はじめに」から「そうそう!!」と膝を打つ。
中学校の理科の教科書にハルジョオンとヒメジョオンの見分け方が載っていて、それに対して「面白いな」と感じるか、「だから何なんだ」と感じるか、「なぜなんだ?」と疑問を持つか。私なら「だから何なんだ」と思うだろうし、それを覚えさせられたり、試験に出すなんて言われたりしようものなら、心の底からうんざりするだろう。
もし、教科書で説明するのではなく、実際に草を持ってきて比べて見せられたら少し「面白いな」と思うかも。でも、この園池先生のように、徹底的に「なぜ」を追求して、考えさせ、説明してくれたら、「すっっごく面白い!!」と思うだろう。中高生の時こんな本にであっていたら、今頃植物学者になったとまでは言わないが、生物が好きになっただろうな、と残念なほど。
園池先生は「なぜ」を的確に繰り出してくる上、考えるマークを入れて考えさせて、すぐには教えず、読者にも仮説を立てることを要求する。だから、読むのに時間がかかる。でも、実際に考えてから読むのと、ただ読むのでは面白さが格段に違う。マークのところで自分なりに考えて先に進むのがこの本の読み方なのだ。
なんだか、実際の人生では出会えなかった素晴らしい講義に参加してるような気分になった。早稲田の学生さんは幸せだね。
「なぜ」と問うのが科学の基本(哲学もそうかもしれないけど)だけど、普段生きていてあまり「なぜ」と問わなくなっていることにも気づいた。「なぜ」と考えるのは楽しいんだなと、つくづく。
葉っぱの裏が表より白っぽいのはなぜでしょうか。葉緑素が表より少ないからではありません。この本を読んで答えを探してください。植物の「知恵」に驚きます。 -
あ
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●面白かった。葉にしろ、茎にしろ、根にしろ、どうしてその形なのか、それぞれの部位の普遍性に着目して、その部位の本質的な機能や意味を考察した本。
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普遍性と多様性の2つの点から植物の各部位について考えるとその役割が浮かび上がってくる事に感心。所々にある❇︎や注等を駆使した飽きのこない構成で楽しめた。
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非常に面白く、かつ考えさせられる内容だった。
というのは、筆者が考えることを大切にした本構成で、わざわざ考えるタイミングのマークまでついているからである。
分子機構などの非常に細かいことについて知りたい人には物足りないかもしれないが、植物について興味がちょっとあって形の意味を知りたいと思っている人には新しい視点を与えてくれる本だと思う。
私自身なるほどーと思ったし、実験してみたいと思う題材が幾つかあった。 -
この作者が魅力的で引き込まれる。文章にこの人らしさがほのぼのと現れていて読みやすかった。
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「植物にこそ環境多様性の秘密がある」という著者の考えに添い,植物の形の背後にある意味やその形を決める要因について,丁寧に考えていくことができます。植物の世界にじっくり入り込んでみてください。