ひとりでがんばらない! 子どもと考える福祉のはなし (大人は知らない・子どもは知りたい!)
- クレヨンハウス (2022年2月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861013966
作品紹介・あらすじ
気鋭のソーシャルワーカー・藤田孝典さんによるはじめての児童書。
子どもたちに語る「福祉って何?」。
なぜ、豊かなはずの日本で貧困が増えているの?
「ひきこもり」は「自己責任」?
生きづらさの原因が見えてきます。
まず大人が知って、そして子どもたちと考えてほしい「社会福祉」を伝える1冊。
感想・レビュー・書評
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とてもわかり易くく、子どもと一緒に日本の問題点や社会福祉について学べる絵本です。
相対的貧困や、ひきこもり、自殺率の増加など、いまの日本社会の問題と解決策が、一つひとつ点をつなぐように見えてきます。
「自助」から「公助」へ。資本主義社会に足りない、生きるために大切な「福祉哲学」を学ぶ絵本です。
■メモ:
・今まで家族で担っていた子育て、介護などを社会で担う世の中に。
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絵本?という印象だが、5年生の漢字からルビを振っているところを見ると小学校4年生~あたりを対象としているようだ。
対象がその年齢だとして改めて読んでみると、この本はかなりチグハグな印象を受ける。この本は文章や単語は小学生に難しいが、内容は問題を単純化し過ぎて小学生にとっても稚拙に感じる。分かりにくいのに単純。難しいことを分かりやすい文でという子ども向けの本の理想とは真逆である。しかも低学年に語りかけるような語り方をしていてそこも非常にアンバランスだ。
困ったことに、単純化した内容や低学年向けな語り方によって、この本は子ども向けのある種の思想教育の様に見えてしまっている。その最たるが最後の章の「福祉って資本主義とたたかうもの!」という文だ。こういった極端な言い回しがいたるところに見受けられる。
絵本の半分とも言える絵は素朴でいい味を出しているのだが、そういった思想教育っぽい文と並ぶことによって絵の素朴さが反転しとても不気味なものに感じられてしまう。プラスにマイナスをかけると大きなマイナスになってしまうのと同じだ。
同じ様にクレヨンハウスの講演を元に小学生向けに書いた本である浜矩子の『大人は知らない・子どもは知りたい! お金さえあればいい? 子どもと考える経済のはなし』も読んでみた。確かにこちらもやや問題を単純化し過ぎるきらいを感じたが、お金や経済についての難しい部分を小学生にも分かりやすく説明していて、その上で経世済民という本来の経済が持つ役割や自説を展開している。
同じくクレヨンハウスの『原発に反対しながら研究をつづける小出裕章さんのおはなし』も読んだが、小学生中高学年向けだからといって幼児に語りかけるような書き方は2冊ともしていない。
なぜこの本だけこんなにもバランスが悪いのか。
小学生向けの本としてこれはきつい。 -
基本的でわかりやすい。
貧困やひきこもりがなぜ起こるのか、なぜ抜け出せないのか。個人の問題ではなく、社会の問題であること。そして、解決するためには福祉の力、集団の力が必要であること。 -
「福祉は、特別な人を助けることではない。自分や家族、友達を幸せにする仕組みであること」
日頃、社会福祉を学ぶ私でもこの世界に生きているとふと忘れてしまいそうなことを日本の社会課題をあげながら伝えてくれます。
今の社会で生きづらさを感じている人ほど、社会を変えていく力をもっている。そうした人たちとパートナーシップを結び、命を社会の中心におく世界にしていきたいです。
福祉を誤解している人も多いから、大人の人にも読んでほしい(絵本と行っても小学生では一人で読めないレベルな気がする)