スリー・カップス・オブ・ティー (Sanctuary books)
- サンクチュアリパプリッシング (2010年3月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861139413
感想・レビュー・書評
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いかにもアメリカ人らしいマッチョなヒロイズム。
日本人の私にはどうしても「謙虚さ」が足りないと思ってしまう。
例えば、日本人が同じような経験をしたとして、
文章に起こそうとするとしたら、このような「英雄譚」にはならなかっただろう。
きっと、沢木耕太郎のようなジャーナリスティックな文体か、
高橋歩のような啓発本てきな文体になっていると思う。
しかし、アメリカ人が凄いと思ったのは、自分の体験を惜しげもなくヒロイズム的に披露し、あわよくば自分の組織のために使おうとしていることだ。そういう点ではある意味、賢いのかもしれない(それが本当にイスラムの子どもたちのためになるのならば、良いのかもしれないが)。
しかし、この本では(少なくとも自分は)感動することも、寄付をしようとする気にもならない。要は全てが胡散臭いのである。
第一、この本に出てくるエピソードだけをみると、著者のグレッグ氏自身がとても組織のリーダーとして優れているようには思えない。卓越した行動力があることは認めるが、やっていることは場当たり的で、その間にも多くのお金(それでいくつの学校が建てられるのか)が失われている。
また、イスラム教の文化に対する配慮が全く感じられない。確かに、女性や子どもに教育を施すのは素晴らしいことだとは思う。しかし、長年、女性が抑圧されてきた現状、また、急激に「外側の社会」と接することで田舎の村々が受ける影響は計り知れないはずだ。
本書ではそうした影響に対して、イスラム指導者やタリバンと言った組織から攻撃されている様子は書かれているが、肝心の村人たちがどう思っているかが浮かび上がってこない。
恐らくは語りたいことが溢れすぎて、うまくまとまりきらなかったのではないかと思う。しかし、その結果、一つ一つのエピソードが薄まり、文章を追うと単にアメリカ人のヒロイズムが発露しただけの話にしか思えなくなってしまっている。
著者の経験は他の誰にも真似できないことであって、その点、非常に惜しい本ではあると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私はこの本はとても好きです。
アフガニスタンやパキスタンの現状について非常に正確に書かれていると思います。
しかしこの本の話に誇張や歪曲があり、建設や運営に関わっている学校の数について水増しされているという疑惑があります。
そこで、注意を喚起するために★1つで評価します。
詳しいことが知りたい場合は"Mortenson"でニュース検索するか、"Mortenson Scandal"で検索してみてください。
2011年4月17日にCBSの"60 Minutes"でモーテンソンに関する疑惑が報道され、世界中で大騒ぎになりました。