- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861829352
作品紹介・あらすじ
ほぼ全てのセリフが詩であり、韻律を持った言葉として書かれた歌劇の魅力を最大限に引き出した、声に出して読む『ファウスト』!
マルチヴァース(多層宇宙)の世界観が舞台上に展開される稀有な演劇作品の最新訳。
『ファウスト』は、ほぼ全てのセリフが詩であって、韻律を持った言葉として書かれているのである。……とりわけ第二部は、古代ギリシャ悲劇の形式に則って作られている部分が多い。……特に第三幕のヘレナ劇はかなり忠実な古代ギリシャ悲劇形式になっている。すなわち、今日のオペラやミュージカルに継承されている古代ギリシャ悲劇の形式を『ファウスト』もまた持っていた。決まった音楽や譜面こそないが、歌舞音曲や群像によって初めて意味が明らかになる場面などが多々ある。本翻訳では、そのあたりもできるだけはっきりと意識して訳し分けたつもりだ。心の中で「上演」しながら、楽しく読み進めていただけるなら訳者の幸いである。――本書「訳者解説」より
感想・レビュー・書評
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初めての『ファウスト』
岩波文庫版、集英社文庫版の『ファウスト』も持っているのだが、読まずに積んだまま放置されている笑
なので比較は出来ないのだが、作品社版のはとてもリーダビリティが高い。いかにも鈍器本というルックで手を出すのに躊躇するが、あっという間に読めてしまった。
そして注釈が豊富なのも良かった。この章のここのテキストは実はこういうことを語っていますという感じで、テキストを理解するうえでとても助かった。
特に第二部はどうしても注釈が必要になってくる章で、ここは注釈なしで読んでも何が何やら……ということになりかねないので、豊富な注釈がある作品社版は良い。
この作品社版の『ファウスト』は韻律や、リズムを意識された翻訳で、本著の帯に書かれているように声に出してみるのも楽しかった。
他の版との比較は出来ないが、初めて『ファウスト』を読むなら作品社版は結構オススメかもしれない。
自分も次は集英社文庫版あたりを手にしたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2023年3月1日図書館から借り出し。
2023年3月13日、とにかく読了。
図書館の新刊案内に出ていたので、版元が作品社ということで借り出してはみたが…
途中からは「ファウスト」の話の流れを思い出すために読んでいたような格好になった。
第1部あたりでは、中途半端に若者言葉が混じっているが、この手の言葉が賞味期限切れになると苦笑交じりになる。
また、文語調にしているところも、妙に浄瑠璃に慣れていると文語になりきっていないところが目についてしまう。
訳者はこの翻訳で上演してもらうことを注やらあとがきやらで盛んに書きつのっているが、文字だけみているとメフィストフェレスが二丁目のおねえさんみたいになってるし、語調も脚本としてはしんどそう。
この翻訳のウリは詳細な注みたいだけれども、中には「へぇ~」と思うものもあるものの、「ん?」と思うものや、脱線気味の蘊蓄披瀝のがあったりして、これまた途中からはスルー気味になってしまう。
この訳者のものは初めて読むが、自己顕示欲の強い方?
思い起こせば「ファウスト」は十代の頃、家に転がってた河出版世界文学全集の高橋健二訳が最初、そのあと手塚富雄訳を読み、数年前に青空文庫で森林太郎訳を読んで以来かも。(柴田翔訳や池内紀訳は気にはなってたが)
まあ「ファウスト」を初めて読む方にはお薦めしづらいかな。
強いてメリットを挙げれば、レイアウトがきれいで活字が大きくて、高齢者には目に優しいところ。