こんな日本でよかったね─構造主義的日本論 (木星叢書)

著者 :
  • バジリコ
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862380968

感想・レビュー・書評

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  • とりあえず、最近読んだものなので登録します。

  • 内田樹のブログから編集された本。構造主義的に日本社会を洞察している。構造主義的というのは、本書のまえがきの言葉を借りれば、「人間が語るときにその中で語っているのは他者であり、人間が何かしているときその行動を律しているのは主体性ではなく構造である」という考え方で、ということ。構造主義の考えを説きつつ、日本社会の出来事を構造主義的に解剖している。タイトルに関連したところで言えば、著者が二十一世紀の中ごろに実現されるであろうと夢見る日本社会は「フェミニンな共産主義社会」。フェミニンな共産主義とは、生活は貧しいし、国際社会でも相手にされない三等国だけれど、全員が飢えるとき以外にはひとりも飢えないような暖かい社会、1950年代の日本のような社会だそうです。拝金主義の行き届いた世の中を見てると、そのような社会もいいなと思ったりもする。社会システムというのは場の空気を読んで安定したところに落ち着いているものなのだなと思った。ブログ内のそれぞれの記事をまとめて、うまく一つの流れを作っていると思いました。おもしろかった。<トピック>構造主義、格差社会、少子化、教育、社会システム、キャリア、コミュニケーション、政治など。<hr size=1 noshade>「格差社会というのは、格差が拡大し、固定化された社会というよりはむしろ、金の全能性が過大評価されたせいで、人間を序列化する基準として金以外のものさしがなくなった社会のことではないのか。」p111
    「私がつねに変わらず陽気でいられたのは、年収なんか人間の価値とはぜんぜん関係ないということを深く、魂の底から、確信していたからである。「金持ち」とは、ある人の定義によるならば、「金のことで心を煩わされない人間」のことである。私は「自分の不幸はおもに金がないせいであるというふうに考えない人間」という定義をこれにつけ加えたいと思う。」p114 

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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