戦国三好一族: 天下に号令した戦国大名 (Modern Classics新書 14)

著者 :
  • 洋泉社
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本棚登録 : 62
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862481351

作品紹介・あらすじ

四国・阿波一国の支配者だった三好一族は、いかにして日本列島の中心地(畿内)の支配者へと登り詰めたか-信長以前に京・畿内で活躍した三好長慶を初めとするこの一族は、統一政権の成立を遅らせた「あだ花」だったのか。長慶の父、元長が、堺に事実上の幕府(堺幕府)を成立させたことは意外と知られていない。その後、長慶が13代将軍の義輝と管領の細川晴元を京から追放し、畿内を含む8ヵ国を支配する。京・奈良・堺の三大先進地を中心に高度に発達した商工業圏を形成し、幕府、天皇・公家、宗教勢力との関係を調整するなど、事実上の「天下人」となる。武力では信長に敗れたものの、実は歴史の選択肢として三好一族の歩みはもうひとつの統一政権への可能性を秘めていたのではないか。歴史の通説を覆す名著の復刊。

感想・レビュー・書評

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  • 戦国時代三好一族の興隆と滅亡を語る。
    阿波細川氏の家臣として上洛し、次第に一族が畿内に勢力を扶植し、とうとう京を拠点とした一大勢力と畿内政権を築き上げるが、最後は内部分裂と信長の進攻に滅び去る。
    割とレアな焦点であまり語られなかったが、一大勢力として存在した三好氏にスポットをあてた好著。
    たんたんと時系列に語られるので、興味のない方には少し退屈かもしれません。(笑)

  • 三好之長、元長、長慶の系譜がとてもよくわかり、面白かった。堺幕府と幕府を必要としない長慶政権も理解できた。総じてとても面白い本だった。手元に置きたいので、再販されないだろうか。

  • 多くの英雄的大名の陰に完全に隠れてしまい、むしろその踏み台となり近世への肥やしとなったような印象でしかない三好一族を、制度的実体を伴った権力者として中央に君臨した存在であると、資料の分析を通して詳細に見直している。
    信長登場以前の中央情勢、権力の姿が見えてくるようで面白い。

  • 阿波より起こり、一時的にではあるが天下を掌握した三好氏。之長、元長と経て、長慶の代で全盛を迎える過程を克明に描く。応仁の乱以後の上方の戦乱は、昨日の味方は今日の敵、明日はまた味方・・・というように、裏切り、暗殺があちこちにはびこっていてワケがわからないのだが、筆者はそのあたりの勢力地図もしっかり把握しているところに舌を巻く。

  • [ 内容 ]
    四国・阿波一国の支配者だった三好一族は、いかにして日本列島の中心地(畿内)の支配者へと登り詰めたか―信長以前に京・畿内で活躍した三好長慶を初めとするこの一族は、統一政権の成立を遅らせた「あだ花」だったのか。
    長慶の父、元長が、堺に事実上の幕府(堺幕府)を成立させたことは意外と知られていない。
    その後、長慶が13代将軍の義輝と管領の細川晴元を京から追放し、畿内を含む8ヵ国を支配する。
    京・奈良・堺の三大先進地を中心に高度に発達した商工業圏を形成し、幕府、天皇・公家、宗教勢力との関係を調整するなど、事実上の「天下人」となる。
    武力では信長に敗れたものの、実は歴史の選択肢として三好一族の歩みはもうひとつの統一政権への可能性を秘めていたのではないか。
    歴史の通説を覆す名著の復刊。

    [ 目次 ]
    第1章 上洛以前
    第2章 畿内進出
    第3章 堺幕府、畿内を支配す
    第4章 雌伏十七年
    第5章 幕府との苦闘
    第6章 八ヵ国の覇者
    第7章 暗転

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  • 091103読了

  • 新人物往来社版と二冊所有

  • <b>ねんがんの せんごくみよしいちぞく を てにいれたぞ!</B><BR><BR>

    良いタイミングで復刊してくれてラッキーでした(笑)これでもうアマゾン中古で3万の値を付けやがってた人から「ころしてでもうばいとる」しなくて良くなりました(爆笑)<BR><BR>

    えーと、新人物から20年前に出てた「戦国一族」シリーズの復刊です。大きさもページ数も岩波や講談社などと同じ位の、そんなに厚くもない新書のクセに1700円と言う値段が素敵です(号泣)
    <BR>
    再販の後書きで著者自身が「この本だけは復刊しないと思ってたわ。だって三好って地味じゃん?」的な事をぶっちゃけてるのが涙を誘います。
    <BR><BR>
    内容としては、戦国という時代の中での三好(長慶)の立ち位置と言いますかなんというか…。近代の日本史研究の中で一部空白地帯のように思われていた信長上洛以前の畿内、その当時日本の中心であったかの地で勢力を伸ばして権勢を振るった事実は、安土桃山に並び評する「堺幕府」と考えるべきではなかろうか、と言ったカンジです。まぁでもつまりは伝記です(爆)
    <Br><BR>
    全7章のウチ前3章が阿波国人の背景〜之長→元長、4章から7章序盤までが長慶、7章の残りが長慶の死とソレ以後です。つまり本当に三好の長慶までがメインです。以後の松永&三人衆や長治などの一族の衰退時期についてはザっとしか書いてません。つぅか久秀については過大評価すぎると書いてます(笑)実際の話、長慶の下で勢力拡大に貢献したのは圧倒的に弟の松永長頼の方なんですよねー。
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    この本は、以前読んだ熱狂的弾正ファンや三好大河化希望の本とは違って、何かをヒイキする視点はあまり感じない書き方です。ちゃんとした研究者の書いた本だしね(笑)
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    ただし学術書ではなくて一般向けの読み物として書かれてるので、普通に楽しく読めました。サスガに沢山の古文書を基にしているだけあって、いつの合戦では誰がどうしたとか誰が裏切ったとか非常に詳細に書かれてます。遊佐長教や芥川孫十郎のイメージがだいぶ変わった…(笑)<BR>
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    史実の行動に重点を置いているので、人物像に関してのエピソードは少なめです。長慶について書かれた文章だと必ず出てくる「歌連歌〜」のエピも書かれてません。(葦方の〜は出てくる)また、本当に長慶だけがメインなので、弟達についてはチラっと触れてあるだけです。
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    資料価値もさることながら読み物としても楽しいので、戦国時代に興味がある方は買ってソンはしないと思います♪生き様を追ってくだけでも面白いし何より長慶が良い人過ぎるから(号泣)<BR><BR>

    権謀術数渦巻く畿内を実力でのし上がっておきながら、大事なトコのツメの甘さに、三好3代全員に向かって「後ろ!後ろ!」と叫びたくなる<b>志村後ろ感</b>と、晴元&義輝(親の仇&自分を暗殺しようとした人)すらもあっさりと許す心の広さに<b>「YOU殺っちゃいなYO!!!」と背中を押したくなる</b>ジャニーさん感がすごくもどかしいです(爆笑)

  • 一般の三好一族のイメージを覆す作品。彼らの統治が実はとても革新性にあふれたものだったことがわかる。

    登場人物に何となく親しみを覚えてしまうような語り口もいいです。

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著者プロフィール

今谷 明(いまたに・あきら)
1942年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。文学博士。日本中世史専攻。横浜市立大学教授、国際日本文化研究センター教授を経て都留文科大学学長、現在、国際日本文化研究センター名誉教授。主著『室町の王権』(中公新書)、『武家と天皇』(岩波新書)、『象徴天皇の源流』(新人物往来社)、『近江から日本史を読み直す』(講談社現代新書)、『戦国期の室町幕府』(講談社学術文庫)、『日本中世の謎に挑む』(NTT出版)、『象徴天皇の発見』(文春新書)ほか多数。

「2019年 『文庫 中世奇人列伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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