日本近世の起源: 戦国乱世から徳川の平和へ (Modern Classics新書 30)
- 洋泉社 (2008年7月1日発売)
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感想 : 3件
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- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862482648
作品紹介・あらすじ
日本のルネサンスともいうべき可能性をはらんだ室町後期の社会的活力を、血の海におぼれさせて出現したのが反動的、専制的な織豊政権ひいては徳川国家であり、日本の近代への胎動は徳川体制の下で窒息させられたという説はなぜ人口に膾炙したのか?戦国史学、とりわけ網野史観が流布させた戦後左翼の自由礼賛・反権力思考による錯誤を笠松宏至、勝俣鎮夫、藤木久志らの1990年代の研究成果に依拠しつつ徹底的に批判する。西欧近代を民衆意識の最も根源から乗り越えようとする著者の真骨頂を伝える「渡辺史学」の達成点!本書において戦国から徳川初期に至る壮大な歴史の再現に立ち会えると同時に単なる日本中世論を超えた現在的問題に繋がっていることを再確認させる。
感想・レビュー・書評
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時代を区分するとしたら、江戸-明治間で切れるか、室町-江戸で切れるかについて意見を述べた作品。
「自由とは保護されているということであり、従って保護してくれる者への依存を表している。」と著者が言っているとおり、歴史的に一個人で自由を享受できたことはない。数多くの文献を参照し左翼思想を否定しつつ、的確、克明に一時代の社会体制を明らかにした、まさにその分野のプロによる名著である。文章は難しいながらも歯切れ良く、無駄がなく、洗練され、学術的で説得力がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本独自の近世文明としての徳川期社会の形成過程をポジティブに論じる。明治以降の近代化=西洋化の過程を相対化する視点から江戸時代を見直す試みのひとつ。
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