そこがいいんじゃない! みうらじゅんの映画批評大全2006-2009

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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862485229

感想・レビュー・書評

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  • タランティーノが扉のところに一言書いている。凄い。
    ということで2006年から2009年までの映画評である。洋画・邦画とりまぜており、各映画の評論と1ページの漫画で構成されている。年別のトップ10もある。
    勿論、サブカル王のみうら氏のことなので普通の映画評論ではない。というか、これを映画評論と呼ぶかはアレなわけだが。映画を観る時は靴下を脱ぐとか、平日の朝のガラガラの映画館だと「俺、何してるんだろう」感があっていいなどの映画そのものとは関係ない話も盛り込まれていて興味深い。
    特にマニアックな映画ばかり選んでいるわけでもなく、メジャーなものからなんだこりゃなものまで幅ひろい。たまによほどつまらなかったのか、その映画と余り関係ないことばかり書いている批評などもあった。ていうか、それは批評じゃないか。
    何故か水野氏とのシベ超談義が一番面白かったという。

  •  雑誌『映画秘宝』に連載されているコラム「オレはそれを~と呼ぶね」(「~」部分に入る言葉は毎回変わる)の単行本化第2弾。
     「映画批評」と銘打ってはあるものの、実際は「批評」というより、観た映画をネタにしたお笑いコラム集である。

     たとえば、『エリザベス ゴールデンエイジ』を取り上げた回は、主人公エリザベス一世の「処女王」という別名をめぐる話に終始し、映画の中身への言及は皆無に等しい(笑)。

    《“処女王”って……。これを男に置き換えてみれば一目瞭然だ。“童貞王”、あんまりだろ?
    (中略)
     あるコンパで「コイツ、“童貞王”だから」とか「このコ“処女王”なの」なんて紹介されてしまったら、どうする? “王”をつけられることがどんだけキツイか、つけられた者にしかわからぬ苦労があるのだ。》

     1本の映画につき文章が3ページで、そのあとに作品をパロったマンガ(当然みうらじゅんによるもの)が1ページつくという構成。
     マンガはコラムの内容をふまえたものであり、単独で読むと意味がわからないが、コラムのあとに読むと笑える。文章とマンガの相乗効果で二倍笑える本なのである。

     取り上げた映画のほとんどを、みうらじゅんは試写会ではなく映画館で、しかも平日の昼間に観ている。それもまた、彼の映画に対する「美学」の一端だ。「こんな映画をこんな時間に一人で観ているオレ。いったい何やってんだろ?」というたそがれ感を味わうことまでひっくるめて、みうらじゅん流の映画の味わい方なのだ。

    《オレが大学生の頃、立川の二番館(グラインドハウス)で『ゾンビ』と『ダンボ』の2本立てというのがあった。“どんな客層やねん!”と、ツっ込んだが何のことはないオレを含めたバカ映画ファンの集まりであった。
     ところで君は『ラストラブ』を観たか? 田村正和主演のサックス映画だ。こーゆー映画はレンタルではなく映画館に出向くことをおすすめしたい。それも平日の朝イチ。“いったい、オレは何をしているんだろう?”と、不安になるからだ。あのサックスがコブラだったらと、オレはずっとそう思いながら観た。》

     また、平日昼間に閑散とした館内に座る観客たちを観察し、彼らの様子を数行でスケッチするくだりが随所にあって、それも面白い。

     取り上げた作品にはバカ映画もあれば大作もあり、大ヒット作もあり、アカデミー賞をとったような評価の高い作品もある。しかし、そのどれに対しても、みうらじゅんはつねに、バカ映画を楽しむのと同じ姿勢で臨んでいる。
     この姿勢なら、たとえどんな映画を観ても「あ~あ、観て損したなあ」と思うことはない。ある意味「最強の映画鑑賞スタイル」なのである。

     それにしても、1980年代サブカル・ヒーローの1人・みうらじゅんが、いまなおパワー・ダウンせず第一線で活躍しているというのも、考えてみればすごいことである。
     あのころのサブカル・ヒーローで現在まで生き残っているのは、けっきょく、みうらじゅんと根本敬と糸井重里くらいではないか(「生き残っている」の判断基準は私なりのもので、異論もあろうが)。某や某々や某々々はどこかに消えてしまったし……。

  • あの、『イヤねぇ〜〜…。』って話すマンガのお姉さんの口元のホクロがイヤらしくてたまらない。人生の3分の2いやらしいことを考えてきた先生のムニャヌニャ鋭き下(シモ)目線に喝采!!

  • みうらじゅん氏はサイコーだなぁ。

  • 面白かった。「童貞目線」や「マツキヨ解釈」など独自の批評スタイルが切れ味抜群。読んでいて思わず噴き出してしまった。

  • おもしろかった。B級映画だって、そうやって楽しむのかということを教えられた。

  • 「そこがいいんじゃない」といってしまえばどんな映画でも愛の対象になってしまう不思議。この域まではとうていたどり着けない自分は、この本を読んでその気分だけでも味わいます。

  • 映画批評とあるが批評とかではなく、映画に絡めたみうらじゅんさんのエピソードが書いてある。そうか、映画の感想文はこーゆーのでもいいのか。そうかそうか。

  • みうらじゅんさんの映画エッセイを読む。

    ほとんど、見たことのない映画がほとんどだ。

    まぁ、最新の映画はほとんど見ないからねぇ

    これを読むと

    俄然読みたくなるし

    みうらさんのイラストも笑える。

    朝一の

    平日



    修行をするのも

    悪くないのか?

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著者プロフィール

作家・イラストレーター

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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