たんぽるぽる (短歌研究文庫)

著者 :
  • 短歌研究社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862726995

感想・レビュー・書評

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  • シンガーソングライターの吉澤嘉代子さんのおすすめで読んだ本…解説も素敵でした。

    ちいさな棘は抜けぬまま肉にめり込み、今も胸の奥に刺さったままです。きっとどこまでも深く深く、いつか私の一部となるでしょう。いえ、もう既になっております。

    確かに私にもちくりと著者の著す世界の棘が、
    私の肌にも、確実にその棘を残しました。

    特に好きだったのは…章の扉にあった詩
    ムーンせんべい。三日月、上弦、満月、十六夜など月の満ち欠けをかたどったせんべいが一箱に一枚入っている。どの形が入ってるかは分からず、新月として空っぽのこともある。その新月こそが当たりで、幸運を呼ぶんだそうだ。〜月の港の代表的なおみやげである。

    …本当にこんなおせんべいがあったら素敵じゃない?あるのかな?あとでググってみよう。
    『地球の恋人たちの朝食』の詩の抜粋とのこと。一気にこの本の著者に興味が寄った。

    そして、短歌が始まった。
    1首ずつ、声に出して口を動かし、詠んでみる。

    逢えばくるうこころ逢わなければくるうこころ愛に友だちはいない

    全身を濡れてきたひとハンカチで拭いた時間はわたしのものだ

    あるときはお酒に強くある時は弱くてひとは自由なのです

    うるいなくたのしく生きよ娘たち熊銀行に酒を預けて

    歩道橋にのぼってさけべ願いごとは轟音に溶け込ませたら叶う

    あの人と最も小さなものになり輝く管を流れてみたい

  • 美しすぎて眩しく、読み進めるのが辛い部分もあった。美しいものを素直に認められる美徳がある。短歌の句切れの前後で景色がガラッと変わり、イメージが結びつきづらいものもあった。多分それは自分の経験不足なんですが…。

    おまえよく生きているなあと父がいうあたしが鼠にいったことばを
    寄り弁をやさしく直す箸 きみは何でもできるのにここにいる
    歩道橋にのぼってさけべ願いごとは轟音に溶けこませたら叶う
    ホットケーキ持たせて夫送りだすホットケーキは涙が拭ける
    変人と思われながら生きてゆく自転車ギヤは一番軽く

  • 2022年3月 1冊め

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著者プロフィール

雪舟えま(ゆきふね・えま)
1974年札幌市生まれ。作家、歌人。著書に歌集『たんぽるぽる』『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』、小説『タラチネ・ドリーム・マイン』『プラトニック・プラネッツ』『恋シタイヨウ系』『パラダイスィー8』ほか。2017年より男性カップル「緑と楯」シリーズの執筆をメインの活動としている。

「2018年 『BL古典セレクション① 竹取物語 伊勢物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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