人文学の論理: 五つの論考

  • 知泉書館
0.00
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 12
感想 : 0
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862852878

作品紹介・あらすじ

本書はエルンスト・カッシーラー(1874-1945)が渡米する前に母語のドイツ語で執筆した最後の書物(1942年刊)である。人文科学と自然科学の論理は異なることを明快に論じている。科学と技術が競い合っていた1940年代,人文学固有の権利が損なわれるなかで,人文学の対象を自然科学の物差しで測れば,まったく違ったものになることを強調し,人文学独自の方法論について考察する。
人文学の対象とは何か,事物の知覚と表情の知覚,自然の概念と文化の概念の違い,形式的思考と因果的思考について,文化の悲劇,など人文学をめぐる多彩な主題に光を当て,人文学の豊かな可能性を検討する。
リッケルトによる個性記述的と言われる文化科学に対し,言語,芸術,神話,宗教,科学など,カッシーラーが〈シンボル形式〉と呼ぶ精神の機能によって,人間がどのように文化の世界を構築するかを示す。シンボル形式の哲学によりカントの「理性批判」を「文化批判」へと展開し,さらにシェーラーの影響を受け「哲学的人間学としての文化哲学」を確立,最後に「文化の悲劇」と対決することにより,文化のもつ機能と人間に及ぼす作用を明らかにする。
科学と技術が先鋭化する今日,人文学や教養の危機が叫ばれるなかで本書の意義はますます高まっている。

著者プロフィール

1874-1945。ドイツの哲学者。旧ドイツ領ブレスラウ(現ポーランド領ヴロツワフ)に生まれる。ヘルマン・コーエンの下でカント哲学を学び、マールブルク学派の一人に数えあげられるが、近代認識論史の大著である『近代の哲学と科学における認識問題』(1-3巻、1906-20、4巻、1950〔邦訳『認識問題』全4巻・5冊〕)や『実体概念と関数概念』(1910)で独自の立場を確立。ベルリン大学私講師をへて1919年新設ハンブルク大学教授に着任。さらに『シンボル形式の哲学』(1923-29)で言語・神話・宗教・芸術などを包括する文化哲学の体系をつくりあげた。1933年、ナチスの支配と同時に亡命を余儀なくされ、オクスフォードからスウェーデンをへて、1941年以後アメリカで活躍する。1945年4月、ニューヨークで歿。著書は他に『自由と形式』(1916)『カントの生涯と学説』(1918)『ルネサンス哲学における個と宇宙』(1927)『啓蒙主義の哲学』(1932)『現代物理学における決定論と非決定論』(1936)『人間』(1945)『国家と神話』(1946)などがあり、その多くが邦訳されている。

「2019年 『カントの生涯と学説 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エルンスト・カッシーラーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×