- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863102316
作品紹介・あらすじ
◎「人口増×気候変動×ポストコロナ」で始まる食のパラダイムシフト
2050年、100億人の「食」を支えることが期待される「ゲノム編集食品」。
だが、誤解や偏見による感情的で非科学的な反発も多い。
本書は技術革新の科学的な真実から「食の未来」を考える1冊。
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人口の増加、気候変動などに対応するため、品種改良が重要となり、
第2の緑の革命が世界中で待望されている。
飛躍をもたらす重要なキーテクノロジーは遺伝子組換えとゲノム編集。
ところが、市民・消費者の抵抗感は非常に強く
「遺伝子をいじる」と言われることで感覚的な拒絶反応が生まれている。
さらに、両者の技術的な説明が難解なために、
間違った報道やネット情報が氾濫。
国会議員までもがトンデモ理論を流しているという現状だ。
その結果、市民・消費者は不安を煽られ、踊らされている。
そこで、現在の世界的な食料事情、品種改良への期待、
遺伝子組換えやゲノム編集の技術、日本や海外の開発競争、知財権争い等、
食品分野における遺伝子技術を巡る最新動向を解説。
消費者が両者を忌避する心理等も浮き彫りにし、
未来の食の行方、日本が果たすべき役割を考える。
感想・レビュー・書評
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【まったくマッドではない】
「ゲノム編集」と「遺伝子組換え」が全然異なることを理解できました。
(後半は政治的な話で続いたので・・・ですが)
何となく遺伝子を人為的に操作することは危険に感じていましたが、実は昔から普通に行われていることで、あらためてそこだけをクローズアップすると違和感を感じるというものです。絶対値である数値を見れば普通だねというレベルです。
東日本大震災で原発から放射能が洩れましたが、その放射能レベルより米ソが核実験を行っていた冷戦時代の方が、地球上に存在する放射能レベルが圧倒的に高かったという事実があります。
数値で見れば一目瞭然ですが、人は感情的なものに流されてしまうのです。 -
遺伝子組み換えとゲノム編集の違い。従来の品種改良との違い(というか共通点)がよくわかり、遺伝子組み換えやゲノム編集をリスク高として批判する一方で有機農業を礼賛することがいかに非科学的で感情論に過ぎないかということがよくわかった。
しっかり勉強して科学リテラシーを高めておかないと、これからの食料問題に対応できない。 -
遺伝子組み換えとゲノム編集はピンポイントで遺伝子配列を置換できるかどうかの差で、遺伝子配列を操作すると言う点では変わらない、とのこと。
自然環境の中で品種を育成しても方法が違うだけで、根本的には同じことをしている。
ゲノム編集=自然界にとって悪影響
と断定できず、良い点と悪い点を踏まえて考えようということだろうか?
メディアの報道に踊らされないようにするには、正しい情報を持つことが重要だと思う。 -
育種に関しては専門ではないようだが、丁寧に取材して書かれている。著者が長年取り組んできた、食の安全性に関する記述には説得力がある。きちんとした科学的な理解をしたい人には分かりやすく、オススメできる。
ただ、ゲノム編集は確かに画期的な技術であることは確かなのが、ちょっと賞賛しすぎな感もある。 -
さすがに松永さんの著書だ。遺伝子組換え作物やゲノム編集食品に関する、私のたくさんの誤解を解いてくださった。また、一時期騒がれた種子法の問題に関しても、誤解が解けた。お勧めの本です。
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読んだ版は、少し間違えがある気がする。気のせいかも。が、公平な目で書かれた良い本だと思いました。
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情報災害(福島第一原発事故)、遺伝子組み換え・ゲノム編集のやり方、種子法廃止などの話が書かれています。
名指しは無いが「農業経済学者」をマイルドに批判していますね。
良い本。おすすめ。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/499689223.html -
ゲノム編集とは何ぞや?の状態で読み始めたが、内容や遺伝子組み換えとの違いについてよく分かった。報道やSNSの情報を鵜呑みにしてはいけないこと、「オーガニック」だからといって安全な訳ではなく、しっかりと正しい知識を持って食品の良し悪しを判断すべきだと学んだ。遺伝子操作について知るきっかけとしておすすめしたい本。
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ゲノム編集という言葉にワクワクしたので読んでみた。遺伝子組み換えは聞いたことあるけど、正直よく分からん!という知識レベルのため1章のDNA、遺伝子、ゲノムなどの単語の定義を知るだけでもためになる。ゲノム編集技術の話から正しい情報取得が難しい現代で、リスクの取捨選択が書かれている。
東日本大地震、パンデミックなどなどの敵と闘うためには相手の力量を正確に測ることが致命傷を避けるコツなのかもしれない。