- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863240124
感想・レビュー・書評
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分子生物学・『人間』の捉え方に感嘆
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11月24日 嶋本紹介
ベストセラー作家の福岡さんの本.分子生物学をおもしろく思うにはうってつけの本.ただ,この本は雑誌のエッセイを集めたものなので全体としては深さが足りない感もある.各章が小話という感じだが,それぞれ面白い. -
身体に善いものを取り込み、身体に悪いものを取り除く。そうすれば、健康な身体ができる。そのような単純な足し算、引き算の考え方に基づく、ある意味機械を見るような目で人体を見る、素朴な身体観に疑問を投げかける良書。サプリメント、コラーゲンなどの美容商品の効果に科学的な根拠はあるのかと疑問を持っている人にもお薦め。
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非常におもしろく分かりやすい。生命現象というものを、小説のような、しかし科学的には正確に近い表現で書いてあるように感じた。
専門でない人(特に生物学をかじった事もないが報道に不安だけを覚え結果だけを鵜呑みにするような)はこのような本を読むべきだと思った。誰でもある程度科学の知識が必要な社会であり、本書のような本が求められていると思う。 -
分子レベルで考えるとどんどん入れ替わっていくのに、生物は生き続ける。これは相当に不可思議な現象である。しかし、そのような自転車操業的なものが生物なのかもしれない。
人間や遺伝子をパーツのごとく見ていく今のやり方は、決して生命を解き明かす事はできないのかもしれない。なぜなら、現実に生命を生み出せていないのだから。 -
「生命とは動的な平衡状態にあるシステムである。」このことを知っているだけで、世界への見方がだいぶ豊かになる。カルティジアンでなくとも、機械論的な考え方からの脱却はたくさんのことを生める気がする。
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生きてるってどういうことか?
ゆるやかに統制して壊れながら産まれつづけること。 -
高度な内容だと思うのだけど、軽快な語りで読みやすく、引き込まれる。
世の中が存在し得ている本質は、動的平衡なのだと思った。 -
米国西海岸、ロサンジェルス、ラ・ホイアのバイオベンチャー企業集積地。そこで筆者のこの本のテーマ「生命現象とはいったい何なのか」がスタートする。以下、その要点列挙。
バイオ=生命現象がテクノロジー・ベンチャー企業の対象に本来なり難い・・工学的操作・産業規格・効率的再現性・・・これ等になじまないものとしての生命の本質。DNAの2重らせん構造を解明したノーベル賞学者のフランシス・クリック彼は人類最後の難問『意識のメカニズム』に挑戦していた。意識とともに「記憶の問題」を脳内のアミノ酸が連結したペプチドのタンパクの中に蓄積されるという仮説を実験・検証しようとしたが結果的に記憶物質は証拠を得られないまま、仮説は消滅した。
記憶・・すなわち生命現象とは、絶え間ない分子の、交換、動的な平衡状態の上に成り立っている。ルドルフ・シェーンハイマーは20年前にすでにそれを明らかにしていた。コンピュータの二進法のようにコード化されたデータが何か化学物質に記録される?と言うシンプルなモデルは生命現象の生体分子による「合成」と「分解」の動的流れの時間に吸収され生成消滅する。細胞間のビビットな、シナプスの連携回路が神経回路として刺激反応することで回路強化され、回路保持されている。高齢者の感じる時間感覚の子供との違い(一年が短い・・感覚)は新陳代謝速度が加齢で遅くなることに起因する。生命活動はアミノサンの並べ替え、ES細胞技術はその分化プロセスはブラックボックスで生命にとっての時間は不可逆。クローン技術やES細胞技術はそれを再プログラミング=時間に対して作用させようと言うもの、どこかでそのツケを払わなければならなくなる。
要素還元で人のゲノムを解明し分解、合成したタンパク質を、ミクロな二万数千の部品を混ぜ合わせても生命は立ち上がらない。生命現象とはエネルギーと情報が織り成す効果であり、TVを分解してもそれはTVにはならないのと同様である。TVが画像という本質効果が現われる「情報」と「時間」が不可逆的に折りたたまれたな中にこそ、それ=生命は存在する。
可変的でサスティナブルな生命というシステムは、その構成分子構造に依存しているのではなくその流れがもたらす「効果」なのだ。38億年かけて生命が組み上げた時間との共存方法である不可逆的なエントロピーの拡大を身体の外部へ捨てながらやがてそれに追いつかれ、無秩序に追い抜かれる=死。局所的な要素還元で総合的でサスティナブルな生命システムを人為的アンチエイジングで平衡バランスを崩す事はできるだけ避けなければならない。ロハス=健康と環境配慮の生活様式、機械論的、要素還元的、自然観、生命観から線形的な効率優先、加速社会が今原発事故のような取り返しのつかない環境汚染を引き起こした。等身大の速度まで減速した「らせん」渦巻き・・縄文土器の渦・・宇宙銀河の渦、巻貝、植物、潮流、気流、台風の眼。彼の著作の最後に私の昔から好きだった作家であるライアルワトソンの「エレファントム」の話しが出ており、納得。今、進行中のフクシマ原発事故への重大な示唆と警告をこの本から読み取ることも出来る。
・・欲を言えば彼の本業、バイオ最先端から、これからも離れず、『脳と意識=クオリア問題』にもう少しサスティナブルに関わり続けて欲しいと思います。 -
内容は面白いが、ちょっと薄め。もっと突っ込んだ内容でもよかった。もとが雑誌連載だったからかな。ダイエットとかロハスとか、時々妙にキャッチーな話が入るのもそのせい?
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図書館の返却期限までに読み終わらず。単行本だと昼飯時に持ち歩くのが面倒で不便だ。
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著者の講演会に行った帰りに購入しました。
中身は生物の仕組みの話。
目から鱗の話だった。 -
福岡さんの文章はすばらしい。生命とはなにか、「動的平衡」のくだりも想像するだけで神秘的な、そして確かに理屈としても納得できる仮説であると思う。
最後の「渦巻きは生命と自然の循環性をシンボライズする意匠そのもの」という発想も面白かった。 -
細胞分裂のタイミングや分化プログラムなどの時間経過はすべて淡白質
の分解と合成サイクルによってコントロールされることがわかっている。
つまり、たんぱく質の新陳代謝速度が体内時計の秒針なのである。
そしてもうひとつの厳然たる事実は、私たちの新陳代謝速度が加齢とともに
確実に遅くなるということである。つまり体内時計は徐々にゆっくりと回ることになる。
しかし、私たちはずっと同じように生き続けいている。そして私たち
の内発的感覚はきわめて主観的なものであるために、自己の体内時計は
運針が徐々に遅くなっていることに気がつかない。
たんぱく質の代謝回転が遅くなり、その結果1年の感じ方は徐々に長くなっていく
にもかかわらず、実際の物理的な時間はいつでも同じスピードで過ぎていく
だからこそ自分はまだ一年なんてたっているとはぜんぜん思えない
実際の時間の経過に自分の生命の回転速度がついていけてないそういうことなのである -
この本が示す、「生命とはなにか」に対する新しい答えには強く心を惹かれて止みません。大ヒットした「生物と無生物の~」も面白かったですが、こちらはもうちょっと平易で「読み物」っぽいです。科学者ってロマンチストじゃないとダメなんだな、って思った。久しぶりにamazonさんに発注しちゃった。何度も繰り返し読みたい本です。→購入しました。
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生命とは動的な平衡状態にあるシステムである。この書き出しに惹かれて読みました。なかなか面白かったです。オススメ。