動的平衡2 生命は自由になれるのか

著者 :
  • 木楽舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240445

感想・レビュー・書評

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  • 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか を読んだので、次は2です。

    内容 :
    なぜ、多様性が必要か? 動物の必須アミノ酸は何を意味しているのか? 
    時間を止めて何が見えるか? 遺伝は本当に遺伝子の仕業か? 
    さらなる深化を遂げた福岡生命理論の第2弾。

    著者 : 福岡 伸一
    1959年東京都生まれ。京都大学卒。青山学院大学教授。
    2007年「生物と無生物のあいだ」でサントリー学芸賞、中央公論新書大賞を受賞。
    ほかの著書に「フェルメール光の王国」など。
    福岡伸一オフィシャルブログ「福岡ハカセのささやかな言葉」
    福岡伸一 | web R25 〜 福岡伸一の20代を振り返る熱いメッセージを完全収録したインタビュー公開。

    2012/5/5 知る。 2012/6/8 予約 9/21 借りる。 10/8 読み始めるが、今回は読みきれずに中断。 また次回!

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  • 興味深い話が散見される。日本のソメイヨシノはすべて同じDNAを持っているとか、進化での重要なのは負けることとか、植物から動物が誕生したのはアミノ酸の欠落からだとか。福岡さんの拡張高い文章に載せて、雑学的ではあるが、興味深い事柄を学べる。

  • 生物学者ユクスキュルキュル
    生物たちはそれぞれ独自の知覚と行動で自分の世界観を作り出している。だからそれを「環境」ではなく「環世界」と呼ぼう。

    ロボットの動きが機械的であり、人間の動きが生命的である理由。それは生命が同時性を持った協同性の上に成り立っているから。動的な美はまさにそこにある。

    遺伝子の中には「産めよ殖やせよ」という命令の他に、あらかじめ別の種類の命令が含まれていることになる。それは「自由であれ」という命令だ。

    発芽するタネがが出来ないのに、日本の春を彩っているソメイヨシノはいったいどのようにして全国に広まったのだろうか。それはクローン化による。(略)
    植物のクローンはごく普通の現象である。挿し木、接ぎ木はすべて植物のクローン化である。
    驚くべきことは、日本のほとんどすべてのソメイヨシノは、もともとたった一本のソメイヨシノに由来するらしいという事実である。北海道のソメイヨシノも九州のソメイヨシノも、DNAを分析してみると同じ特徴(DNA指数)を持つという。つまり日本のソメイヨシノはすべて同じ個体のクローンということになる。

    鳥はすべてのことを単一の穴で行う(総排泄口)。そしてほとんどの鳥にはペニスがない。交尾は、オスとメスが協力して総排泄口をくっつけ合う行為となる。
    生物の多様性を知るということは、その姿形の多様性を知ることだけにとどまらない。その生き様の多様性を知ること。そこにこそ目を瞠るようなワンダーがある。

    自然の精妙さに目を瞠ること。その美しさに打たれること。それはとりもなおさず、この世界が、私の思考を超えたところに実在していることを確認する感覚である。そして、センス・オブ・ワンダーとは実はそういうことなのだ。(略)
    センス・オブ・ワンダーを持ち得ることが、この世界の細部に宿る美しさに目をみはれることが、世界の実在性を立証している。

    なぜ常に動的なものに、ある種のバランス、恒常性が保たれ得るのか。それは、バランス=恒常性を保つためにこそ、常に動いていることが必要である、ということである。この世界において、秩序あるものには等しく、それを破壊しようとする力が情け容赦なく降り注いでいる。エントロピー増大の法則である。エントロピーは「乱雑さ」と訳すことができるだろう。形あるものを壊し、熱あるものを冷まし、輝けるものを色褪せさせる。この宇宙の中で何者もエントロピー増大の法則に反することはできない。(略)
    では、なぜ生命は、絶えず壊されながらも、一定の平衡状態、一定の秩序、一定の恒常性を保ち得るのか。それは、その仕組みを構成する要素が非常に大きな数からなっていて、また多様性に満ちているということにある。
    そして、その多様性は、互いに他を律することによって関係性を維持している。つまり、動的平衡においては、要素の結びつきの数が夥しくあり、相互依存的でありつつ、相互補完的である。だからこそ消長、交換、変化を同時多発的に受け入れることが可能となり、それでいて大きくバランスを失することがない。

    ニッチは「分際」と訳すことができる。すべての生物は自らの分際を守っている。ただヒトだけが、自然を分断し、あるいは見下ろすことによって分際を忘れ、分際を逸脱している。ヒトだけが他の生物のニッチに土足で上がりこみ、連鎖と平衡を撹乱している。私たちだけが共生することができず占有を求めてしまう。ヒトはもうすでに何が自分自身のニッチであるかを知らない。
    ニッチとは、多様な生命が棲み分けている場所、時間、歴史が長い時間をかけて作り出したバランスである。つまり今、私たちが考えねばならないのは生命観と環境観のパラダイム・シフトなのである。

    身体というものは、ある決まった状態をとどめていることは一瞬たりともない。眠っている時も食べている時も、体中でいつも新しいアミノ酸を必要とし、それを使って体を分解、合成し、代謝物を排出するという循環を続けている。

    米国のSF作家、マイケル・クライトン 「アンドロメダ病原体」「ER緊急救命室」
    エッセイ集「トラヴェルズ」邦題は「インナー・トラヴェルズ」

    他の生物では、性的なコミュニケーションにおける嗅覚の優位性は圧倒的である。

    動くことも鳴くこともない植物たちは、動物とは異なるコミュニケーション方法を持っている。植物は互いに人間には聞こえない声で叫び、人間にはわからない耳でそれを聴いているのである。

    腎臓は一度、汚れた血液を全部捨ててしまうのだ。そのうちに、細い管を通過するプロセスで必要なイオンや栄養分を選択的に再回収する。ここで回収されなかったものは尿となって排泄される。

    腎臓には一日に約一七○○リットルもの血液が流れ込む。これは全身の血液が一日に三〇〇回以上循環する計算となる。ここからまず捨てられるのが原尿と呼ばれる部分で、およそ一八〇リットル。しかし、このうちの九九パーセントが再回収される。残りの一〜二リットルが尿となる。腎臓はまさに大量の水の流れのうちにある。尿の量や回数が多いことは健康である証しと言っていい。
    私たちは、尿によって水を捨てているのではなく、水の流れに乗せてエントロピーを捨てているのだ。必要なのはこのシステムを駆動するための絶え間ない流れ、つまり水のサプライなのである。だからこそ、私たちは自分の健康のため、日々、良質の水を摂取することが大切である。
    自然界の水もまた大きな流れの中にある。水の分子は自然の中を流れ、私たちの身体の中を流れ、また自然へと戻る。私たちの身体は、まったく比喩ではなく、流れの中にあり、身体はまた環境の一部である。自分の身体のことを考えることは、同時に環境の持続性を考えることでもある。

    相関関係を因果関係に転じるには大きな質的転換が必要だ。相関性をどれほど注意深く観察しても、そこから因果性を導き出すことはできない。それにもかかわらず、私たちは実に多くの場合、相関関係から因果関係を導き出す。(略)
    相関関係を出発点として、そこに因果関係を立証することは実に大変な作業である。インプットとアウトプットのあいだに長い時間経過が必要な現象、たとえば食事と寿命の関係は簡単な実験の対象とはなりえない。大気と気温といった地球規模の大規模ななシステムに対しても実験は成立しえない。
    相関性はありそうだが、因果関係は不明である。このような問題を前に、私たちはどのような立場をとればいいのだろうか。ここにこそ、科学というものを私たち自身の等身大の知性となすべき最も重要な論点が含まれている。(略)
    現在、科学技術をめぐる諸問題の判断において、この判断レベルの切り分けが極めて曖昧になっている。それを見分ける能力が本当の意味の科学リテラシーであり、教養と呼べるものではないか。

  • この人の書く文章はきれいで読みやすくて良いですね。
    前作「動的平衡」同様興味深く読めました。
    でも、前作ほどの驚きも無いかもしれません。ちょっと内容に統一感が無い。
    この本に掲載の文章は複数の媒体に別々に発表したものが元なのでしょうが無いかもしれません。
    とはいえ、読んでて気持ちいいので、また読みたくなるような本です。

  • 続編

  • 生命は秩序を長持ちさせるために、最初から堅牢に作るのをあきらめた。自然現象がエントロピー=乱雑さ が増大する方向に進むことを押しとどめることは困難だから。それが動的平衡である。と、いう理解でいいのであろうか。 生態系の進化とDNAの関連についての考察やDNAを修復する結果想定されることについてのSpeculationが印象的だ。自分自身がかねてよりなんとなく懸念していることを文章化してくれており、痒いところに手が届いたようですっきりした。  人間あるいは生命の生態系の将来に興味があるが、目に見える変化は自分自身が生きている間には観察できないことであろう。私の予想では今の医学や科学の行き着くところには、行き詰まり・破綻が待っている。生命の持つDNAの人為的変更や、人工的に作り出した原子力のような生態系を脅かすものの存在が、人間の生活を破綻に導く気がする。自然を敬い、共存して生きていく、できる範囲から少しづつ。

  • DNAの話についていけなかった。ソメイヨシノが繁殖性を失い。花粉症の症状を抑える薬はいずれ症状を悪化させる。システムは平衡に向かうのです。植物が自分でタンパク質を生成できて動物ができなくなって、食べ続けなければいけないか?スッキリ理解できた。

  • 遺伝子、DNAとRNA、バイオテクノロジー、たんぱく質、進化論、地球環境問題、等生物に関する知的好奇心を満足させてくれる本だ。著者の動的平衡にも書かれていたが、人間は合成と分解を繰り返している。そのために常に食料をとり、睡眠をとらないといけない。これは企業でも同じだ。分社化、M&Aだ。適者生存、ゲノム、エピジェネティックス、Cの時代からNの時代へ、ゲノム解析、ペニシリン、アミノ酸、ヌクレオチド、獲得形質の遺伝、生物の可変性等興味深い。生物をしることは人間を知ることだと思う。

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著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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