佐賀北の夏

著者 :
  • ヴィレッジブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863320352

感想・レビュー・書評

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  • 父から頂いた。

    マスコミ報道ではうまく加工された情報になっているようだが、公立とはいえ、スポーツ推薦の選手を入学させていることや、他の部との割り振りで練習をしているが、校庭は広いこと、他にもトレーニング室の充実、監督室があるなど“公立校=お金がない→狭い、設備が悪い”という勝手なイメージは打ち砕かれた。

    よっぽどマスコミは、公立校の奇跡を描きたかったのだろう。読んでみると、マスコミ情報と実際の情報の差に気づけて良かった。



    やはり、きちんと練習している上に、スパルタでやっているようで、“辞めちまえ”とか“死ね”なんて教育がまだなされていることには安堵感があった。もちろん、そういう言葉にはきちんと意図があってのこと。

    最強のアリ軍団。でっかいものにも負けない秘訣が、読み取れた。自分が生きる立ち位置はどこかを考える。下手でも、ムードメーカーや気配り上手、何も実力が全てではない。スター選手揃いの有名校・有力校が必ずしも勝ち進む、そんな考えを打ち砕く佐賀北。

    9番打者には9番打者の役割がある、走塁のスペシャリストには、走力という武器があり、それを活かせる舞台がある。

    生きるうえで考えさせられる一冊。野球から学べることがあるとはいうけれど、こういうことを言うのかもしれない。

    小さな力が集まって、一人で発揮できない大きな、莫大な力となる。自分の役割をしっかり果たせているから、個々の能力が高い小山の大将の集まりにも勝てる“可能性”が生まれる。あくまで可能性だが。

    野球の真髄(チームプレー、ドラマ性)が、感動と奇跡を引き起こし、そして伝説として語り継がれる。

    読んで良かった。感動の瞬間を、生で見られなかったことが惜しい。

  • 子供の頃は高校野球をけっこう熱心に見ていたけれども、社会人になってからは、試合をやっている間は仕事をやっているわけで、そんなに試合を見られるわけでもなく、あまり興味も強くなくなっていた。が、去年の夏の甲子園大会で、佐賀北高校という学校が優勝したのは知っていたし、それが、まぁ、普通の公立高校であるということで、当時、けっこう話題になっていたことも覚えていた。それで興味を持って、この本を手にした。いったい、どうやって普通の公立高校が甲子園で優勝できるのだろうか、と。佐賀北高校が、佐賀県内ではそれなりに野球の強い学校であったこと、スポーツ枠で野球部の選手を入学させている野球に力をいれている学校であること、監督は佐賀県内の他の無名校を率いて甲子園に出場した経験を持つこと、猛烈な練習・努力を続けていた野球部であったこと、等は、この本を読んで初めて知ったことである。要は、「普通」かもしれないけれども、「普通」のレベルは、私が思っていたよりも、既にかなり高かったのだ。それでも、この高校が甲子園で優勝したのは、かなり奇跡的なことだと思う。が、それは、あり得なくはない、というレベルでの奇跡であったと思う。けっこう面白い。

  • 佐賀北は「ミラクル」と言われもしたが、勝つべくして勝ったということがこの本を通してわかった

  • 早稲田対駒大苫小牧、斎藤佑樹と田中将大の熱い決勝戦の翌年の話。
    こちらも熱かったようだ。見てはいないが。
    広島入団の野村から0−4劣勢を跳ね返し、8回裏副島の満塁本塁打で逆転。
    まさに筋書きのないドラマの舞台裏。人間模様もあり最後まで読破。

    amazonより
    2007年夏、前年県大会初戦敗退の公立高校佐賀北が全国制覇を成し遂げた。
    監督の百崎と野球部長の吉富の二人の野球に取組む情熱とついてゆく選手、スター
    選手を一人も抱えることなく常連強豪校を次々と破った裏には勝つべくして勝った
    というのが本書を読めば納得できる。監督の百崎は10年日記を15年以上書き続
    けており生徒にも野球日誌書かせてる。生徒のある日誌に百崎が返信してるフレー
    ズがある。「なぜそこでそんなサインなのかと不満を持つよりまずそのサインをし
    っかりこなせる力をつけよ。何回もいう。我々は可能性を求めて打撃一つも様々な
    試みをしている。あそこはバントはないよなは一般人の発言。選手は監督、部長を
    信じて動く、その繰り返しの中から揺るぎない関係、攻撃ができるようになる。」
    著者の綿密な取材が蓄積されており読み応えのある一冊です。

  • 講談社ノンフィクション賞を受賞した中村計さんの過去の著作を検索してたら、これがあったので、その日のうちに読んだ。
    佐賀県人として誇らしく思う、というのもあるし、下馬評を覆して勝利する組織の中ではどういう化学変化が起きているのかを知りたかった、というのもある。
    優勝は必然ではなかったにせよ、可能とするためのタネはいたるところに蒔かれていた、ということかな。

  • 胸が熱くなった。あの夏の感動を思い出した。

  • 野球好きにはもってこいの一冊!指導者になりたい、野球命のやつは是非読んで欲しい。
    九州国際大学:ゴリ

  • この夏は天気も甲子園も熱かった。

  • 2007年夏―。甲子園での奇跡を生んだ佐賀北高。普通の県立高校の生徒・教員たちの真摯な姿がインタビューを通して、熱く迫ってきます。ぜひ読んでください。パワーをもらえます。

  • 忘れもしない2007年夏の甲子園決勝。逆転満塁HRで優勝。テレビの前で応援していました。その年「がばい旋風」を巻き起こした佐賀北高校のひと夏の歩み。スポーツライターの中村計さんが、監督や当時の選手の言葉を綴っています。
    文字を追うと、あの夏の興奮と感動がじわーーっとよみがえってきます。夏になるとまた読みたくなる。

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著者プロフィール

1973年、千葉県船橋市生まれ。同志社大学法学部卒。スポーツ新聞記者を経て独立。スポーツをはじめとするノンフィクションを中心に活躍する。『甲子園が割れた日 松井秀喜5連続敬遠の真実』(新潮社)でミズノスポーツライター賞最優秀賞、『勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧幻の三連覇』(集英社)で講談社ノンフィクション賞を受賞。他の著書に『佐賀北の夏』『歓声から遠く離れて』『無名最強甲子園』などがある。

「2018年 『高校野球 名将の言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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