スカーレットとブラウン あぶないダークヒーロー

  • 静山社
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本棚登録 : 55
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863896383

作品紹介・あらすじ

未来のイングランド。大洪水のあと、わずかに生き残った町と、その周辺の無人地帯(ワイルズ)が、物語の舞台。スカーレットは、荒れ果てた国をわたり歩く、無法者の少女。今日も銀行から札束を盗むと、ワイルズの森に逃げ込んだ。そこで出会ったのが、アルバート・ブラウン。横転したバスの中、野獣の餌食になるのを免れ、唯一生き残った男の子だった。スカーレットは仕方なく、頼りなげな少年を、次の町まで連れていくことにした。森の中で二人は、クマに突進されたり、追っ手に攻撃されたり、いくつもの危機一髪のピンチを乗り越えていく。しかし、追われているのは、スカーレットではなく、ブラウンだった!? 謎めいたブラウン少年の正体は……? 痛快アドベンチャー・ファンタジー2冊シリーズのPart1。

感想・レビュー・書評

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  • 『バーティミアス』作者の新作!
    原題は"THE OUTLAWS SCARLETT & BROWNE"、初出は2021年。
    バーティミアスとはまた全然違う世界観、すごく面白かった!
    もうすぐ2巻の刊行が予定されていて、2巻の表紙は遠田志帆さんになるらしい。こちらも楽しみ。(最近、遠田さんのイラスト集も買ってしまって美しさにニマニマしちゃう)

    大規模な災害などで文明が衰退し、荒れ果てたディストピアの未来、イングランド。ロンドンは水没し、高層ビルが島のように点在するラグーンがあるばかり。
    人々はわずかに生き残った町に住む。町は普通でないものに排他的。町とその周辺の無人地帯(ワイルズ)を渡り歩く少女スカーレットは、どこにも属さない無法者の少女。
    スカーレットは銀行から札束を盗み、ワイルズの森に逃げ込む。そこで横転したバス発見し、唯一生き残っていた少年アルバートを助け出す。
    頼りなげなアルバートは戦力にはならないが、放置することもできず、次の街まで連れて行くことにする。しかし追手が執拗に2人を追いかけてきて…。

    無邪気で外の世界をただ無垢な目で見つめるアルバートには秘密があったのだ。秘密の能力が。
    後半は、彼の能力も明らかとなり、ラグーンの廃墟を舞台に、連れ戻そうとする勢力との間で激しいバトルシーンもある。
    テンポがよく、秘密とアクションとの塩梅もよく、2人の間に次第に信頼や絆が生じてくるのもよく、いかだに乗せてくれる老人ジョー、孫娘エティ、執拗に追ってくるキャロウェイ博士などなど、脇役たちも面白い。
    続きも早く読みたい!

    どうでもいいけど、なんでスカーレットとブラウンなんだろうね?ブラウンは苗字なので個人的にはスカーレットとアルバートの方がいい気がするけど、ブラウンには何か意味があるのだろうか。

  • かなり未来のイングランドが舞台。いきなり主人公が四人殺した後のシーンから始まる。主人公二人のうち一人はとにかく強い。そして、正当防衛風だけど、何人も殺す…ので、面白かったけど、小学校に配架するのを躊躇うレベル死ぬ。この長さを読める児童には文章表現ならまあいいか…という妥協必要。
    もう一人の主人公は弱い(でも訳あり)。たまたま出会った二人が友情深め合いながら目的に向かって進むので、三割位読み進めると止められなくなった。
    アニメとか、マンガにすると凄く面白い作品だと思う。結構、想像力が必要なダークファンタジー要素あるので。続きが楽しみ。是非、翻訳出してください。

  • 舞台は災害によって荒廃した未来のイングランド。
    無法者の少女スカーレットはある日、横転したバスに残っていた少年のアルバート・ブラウンに出会う。アルバートは何者かに追われていた。

    生き残った町では普通でない人が排除されたり、人食い人種や恐ろしい野獣がはびこるディストピアな世界が怖い。
    スカーレットはそんな町には属さず無法者だけど、一匹狼で放浪していてとにかく強くて勇敢。一方アルバートは全く頼りないが、そのアルバートの過去や秘密も徐々に明らかになっていく。

    強盗、銃撃戦のアクションに逃亡劇にと最後まで息をつかせぬ展開で面白かった。
    自尊心を削って操ろうとしてくるキャロウェイ博士にはぞわぞわさせられる。
    スカーレットはうっとうしく思っていたアルバートのことを過去を知ることで彼に対する気持ちが変化していき、2人の関係が友情へ変わっていく様も読みどころ。

    スカーレットの過去はまだ明らかになっていないし、2人の今後が続編で読めるのが楽しみ。

  • 表紙の少女がスカーレット。少年はアルバート。

    未来の荒廃したイギリス。文明は崩壊して人類は各地で拠点を作り、細々と暮らしている。
    一人の少女スカーレットは一匹狼で無頼漢。生きるためには何でもやる。銃や体術も上手い。スカーレットと謎の少年アルバートが出会う。アルバートはある場所に行きたいと言う。そこは自由の地だという。

    荒廃したイギリスはロンドンが湾になっていて高層ビルが海面から突き出ている状態。イギリスは大きく7つのエリアに分けられていて、湾となったロンドンに注ぐテムズ川流域が主な舞台。
    生きるためには銀行強盗といった犯罪も平気で重ねるスカーレットの生い立ちは詳しく説明されない。何かを見殺しにしてしまった?トラウマみたいな過去はちらちら出てくる。

    アルバートは超能力者。人の心を読める。モノを動かすことができる。この動かす能力というのは強力で爆発みたいなこともできる。ただ、モノを動かす系の力はコントロールできない。感情が恐怖に高まったところでおこすことができるらしい。
    能力を持っているらしい子どもを隔離幽閉した施設に囚われていたが逃げてきた。目的の地はそういう能力をもった人間でも普通に生きていける場所、ロンドン湾にあるらしい。

    二人は偶然出会い、なぜかスカーレットはアルバートの逃避行を手伝うことになる。施設からの追っ手から逃げる二人。二人は自由の地にたどり着いたがそこはルバートが思うような場所とはちょっと違った。

    舞台はイギリスだけで大陸の方は「燃焼地帯」とだけ触れられていて、よくわからない。このテムズ川流域、イギリス南部は信仰院とかいうあらゆる宗教をなんでも取り入れている教団が取り仕切っている。非常に強権力。この教団のせいなのか、少しでも人とは違う人間には非常に不寛容な社会になっている。ささいな障害めいたものがあるだけでその子どもは生きていけない。
    また、犯罪者組織も複数、幅をきかせている。

    生態系がかなり変化してしまい、動物は巨大化して普通に人を食らう。元は人間だった「堕種」という生物もいる。この堕種は非常に危険な存在だ。


    この巻のラストでは、自由の地まで追ってきた施設からの刺客を、スカーレットとアルバートが撃退。ここが自分が求めていた「自由の地」ではないことを知ったアルバートがこれからもスカーレットの旅路に付き合うことになって終わる。スカーレットの過去もまだ判明していないし、何か目的があるのかもわからない。なぜ世界がこのようになったかもわからないし、イギリス北部の様子もよくわからない。わからないだらけなのだ。
    テムズ川を下るときに同行してくれた老人ジョーと孫娘エティもこれからどうなるのか。
    続編があるようだ。

    そして、この作品が面白いかと言われれば、果たして面白いのだろうか。世界設定がふわふわしていて今ひとつ夢中になりきれなかったバーティミアスと比べてしまうとやはり物足りなかった。

  • 2022年カーネギー賞ロングリスト。1人で戦い、1人で荒れ果てたイングランドを旅して、銀行から金を盗み出すならず者の少女スカーレット。ある日、事故で横倒しになったバスから、生き残った少年見つけて、仕方なく人里までは連れていこうとする。それが、彼女の人生を大きく変えることになるとは知らずに……。

    まず気になるのは舞台設定。ロンドンは海に沈み、川にも陸にも危険な野獣がはびこる。人と違うところがある人間は、町には住めない。一体世界はどうなってしまったんだ、という状態。そして謎の存在〈堕種〉……。貴志祐介さんの小説『新世界より』を思い出した。
    はじめはスカーレットにもアルバートにもあまり共感できないけれど、終わりに近づくにつれて、自分で考えて行動できるようになったアルバートの成長を感じるし、真っ先にアルバートたちを探しに行かなくてはと考えるスカーレットが優しくなったなと思った。足手まといだと考えていただけだったアルバートにできて、自分にできないことに気づいていったり、アルバートを信頼していくところも。より成長したのはスカーレットの方なのかもしれない。
    一番好きだったのは、スカーレットのアクションシーン。「4つの動作」でピタリと決めるところがかっこいい!
    まだまだ世界の謎は深いので、続編が楽しみ。

  • 面白くないわけではないのだが、とになく長い!本が重い!児童文学の分類だと思うので、児童が根気よく読むのはなかなか骨の折れる作品ではないだろうか。

  •  文明が衰退した未来のイングランドが舞台。

     普通でない者が排除される社会に反発する一匹狼のスカーレットは、銀行襲撃後、逃走中にバス事故の現場に遭遇して、生き残りの少年を助けた。
     少年を目的地まで連れて行く旅をするはめになるが、少年には謎があり、何者かに追われていた。

     スカーレットの強さにシビレて、ページをめくる手が止まらない!

  • 全然「良い子」じゃないのに、物語が進むにつれ応援したくなるスカーレットの描き方がジョナサン・ストラウドだなと。続編、あるよね?

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著者プロフィール

イギリス、ベッドフォード生まれ。7歳から物語を書き始める。子どもの本の編集者をしながら自分でも執筆。「バーティミアス」三部作は世界的なベストセラーになる。著書に『勇者の谷』(理論社)、「ロックウッド除霊探偵局」シリーズ(小学館)などがある。現在は家族とともにハードフォードシャーに暮らしている。

「2021年 『スカーレットとブラウン あぶないダークヒーロー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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