絶望名言 文庫版

  • 飛鳥新社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864109529

感想・レビュー・書評

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  • 落ち込んでいる時は、明るい曲ではなく暗い曲を聴いてしまう、それしか聴けない時もある。そんな帯の煽りに惹かれて購入。

    対談形式で、ラジオを聴いているようで、話がスムーズに入ってくる。ラジオ特有の話や名言、考えが書かれていて考えさせられる。
    それぞれの著名人の引用元も載っているので関連本を読みたくなる。

    一番良かったのは向田邦子さんの回。
    家族熱のセリフが良かった。ドラマは見たくないかも…。
    ・もし家族がいなければ誰も自分を特別視してくれない
    ・伝えないため悟られないために話す
    ・伝える技術ではなく伝えない技術の努力への方向性が問題
    ・伝わらなくて残念がるより伝えないことの方が人間関係を良くする

    ベートーヴェンも、彼の音楽に対する聴き方や感じ方が変わった。
    ・希望を持ち続けると歪んでいく
    ・その人の身になって考えてみれば不可能な行動にも納得がいく、何か事情があるのではないかと考える
    ・難聴とは静かではない、耳鳴り、特定の音(騒音)が響く、気配がなくなり不安が入ってきて増える(精神的煩さ)

    他には、ゲーテや中島敦など。
    中島敦 まるで自分のことを言われているようだ
    「指一本のために背や肩を失いつつないか」
    ※自分でメモしておいて、どういう意味で書いたか不明…。
    明けない夜もある、ヒキガエルの逆境の話も良かった


    ・絶望にも種類があり人によって解釈が違う

    ・調子の悪い時にしか読めない本がある、なので積読は大事
    ※私の場合は嶽本野ばらと人間失格だった

    ・人生をあらすじで見ている、細かな部分に目が行くようになると変わってくる
    ※これもメモしたが…

  • 記録

  • 絶望は自分の地面を踏み締めるうえで有効な現実把握だと考えている
    この本で紹介されている名言の多くも、自身の地面を把握する様について繊細な感覚から紡がれた言葉である、と私は解釈
    その中で一際印象に残ったのはシェイクスピアがリア王で書いた台詞
    「どん底まで落ちたと言えるうちは、まだ本当にどん底ではない。」
    底と感じているうちはまだまだだと甘さを思い知った

  • 最初の方はまだ大丈夫でしたが後半につれて読むのが苦痛で投げ出したいほどでした。
    自分の嗜好としては、論理的かつ資料を丁寧に引用した事実の羅列を好みます。
    なので、この本は終始、頭木さんが思った視点で著名人の名言が語られるので読みながら自分に向いてないなと感じました。
    名言に対しての解釈にしても、自分が想定していたものでなかったり、頭木さんのコメントで腑に落ちなかったり。ご自身の闘病や苦しかった時期を通してのコメントの場合はなるほど、と思うこともありましたが、それよりも多かったのが推測の根拠が弱く、雲を掴むようなふわふわしたコメントに不満を持つことでした。

    文豪に関しては、『文豪はみんな、うつ』(幻冬舎文庫)の方が面白かったです。
    ゴッホについては、原田マハさんの『たゆたえども沈まず』や『リボルバー』の方が面白く、またゴッホへの愛を作者から感じます。
    ゴッホの回で思いついたのは、ここで取り上げている人たちに対して頭木さんの想いを感じないというところでした。
    広く取り上げたことで浅くなり、一人一人の著名人(カフカは除くかもしれません)を深掘りし研究し尽くすというより、自分の考えに沿うものや、苦痛を和らげてくれる方向性の思考ありきで名言を取り扱っているように思えて、反発心を抱くようにもなりました。

    ただ、最後のプロデューサーの方のあとがきを読んで、頭木さんというよりこの方の企画によるものとわかり、このプロデューサーの狙いが私と気が合わないということがわかりました。

    私は、ポジティブでメンタルが強く、絶望しない人間というわけではありません。
    希死念慮を抱き続け、若いころはメンタルを病みました。社会人経験を積んで、環境を整え、安定しても希死念慮がホルモンバランスによって消えない時に、ゴッホのことを思い、ピストルがあったら自殺してたなと思ってることに気付いた時にこのままではいけないと、超低量ピルを服用し始めました。
    なので、この本の対象としては遠からずだとは思うのですが、この本は、根拠が薄い、響かない、と感じたのが正直なところです。

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著者プロフィール

頭木 弘樹(かしらぎ・ひろき):文学紹介者。筑波大学卒。大学三年の二十歳のときに難病になり、十三年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から、2011年『絶望名人カフカの人生論』(飛鳥新社/新潮文庫)を編訳、10万部以上のヒットとなる。さらに『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ 文豪の名言対決』(草思社文庫)、『ミステリー・カット版 カラマーゾフの兄弟』(春秋社)を編訳。著書に『食べることと出すこと』(医学書院)、『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』(ちくま文庫)、『絶望読書』(河出文庫)、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』(春秋社)、『自分疲れ』(創元社)。ラジオ番組の書籍化に『NHKラジオ深夜便 絶望名言』(飛鳥新社)。名言集に『366日 文学の名言』(共著、三才ブックス)。編者を務めたアンソロジーに『絶望図書館』『トラウマ文学館』(共にちくま文庫)、『絶望書店 夢をあきらめた9人が出会った物語』(河出書房新社)、『ひきこもり図書館』(毎日新聞出版)がある。NHK「ラジオ深夜便」の『絶望名言』のコーナーに出演中。日本文藝家協会、日本うんこ文化学会会員。

「2023年 『うんこ文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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