ヒト ニ ツイテ (シリーズ子どもたちへ)

著者 :
  • 絵本塾出版
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864840699

感想・レビュー・書評

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  • 語感がよく、五味さんの絵でコミカルな雰囲気を楽しんでいると、後半に入ったところでパンチを食らう。墓に埋葬して手を合わせることを「ヒト ハ キニシ」とするあたりに皮肉を感じた。

  • 全裸の人間が、タコ型の宇宙人を見つける場面から絵本は始まる。「ヒト ハ ミル」「ヒト ハ カンガエル」といった片言によって、人間が宇宙人を捕まえ、飼い始める姿が描かれる。
    人間が裸であり、文が片言であるため、これはたとえば原始時代のようなものを描いているのか、とも思うがそうでもない。「ヒト ハ カンサツ スル」という文とともに、ノートパッドを持つ人間の姿が描かれ、「ヒト ハ ケンキュウ スル」という文とともに、複雑なグラフを壁に貼り、宇宙人に人工心肺装置のようなものを着けて脳波を測る人間の姿が描かれる。つまりこの人間はユーモラスにディフォルメされてはいるが、あくまで普遍的な人間(ヒト)である、ということなのだろう。性別も、男には見えるがはっきりそうとも言い切れない。
    そして「ケンキュウ」の次に「ヒト ハ タベサセル」というシーンが続き、人間はかいがいしく宇宙人に給仕している。捕まえられてから初めて、宇宙人は笑顔を浮かべている。そしてページを開くと、人間の横顔がアップで描かれ、「ヒト ハ タベル」という文とともに宇宙人を切り刻み食べている姿が映される。
    それから人間は墓を作り、死者に祈る。人間が墓に手を合わせ目を閉じるシーンでは「ヒト ハ ワスレナイ」という文が記され、その絵と言葉が単純であるだけにふと感動させられそうになる。しかしその夜は悪夢にうなされるものの、翌朝、人間はさっぱりとした笑顔で目覚める。あっけらかんと告げられる「ヒト ハ ワスレル」という文は、今度は気持良く感動させてはくれないが、先ほどと同様にシンプルで真実だ。
    そして全てを忘れた人間は、また別の宇宙人を捕まえて、同じことを繰り返す。人間の普遍的な姿を描くのに、原始時代のような姿と片言でそれを表したのは、遥か古代から人の業は変わらないということを示しているのかもしれない。

  • ヒト ハ ヒドイ

  • エドワードゴーリーをきっかけに、ゴーリー絵本やそれに似たいわゆる大人向け絵本にハマり、それは今も細々と継続中なのだが、五味さんの絵本も、それに当てはまるじゃないか、と痛感。もっと早く読みたかった。人間の良くない部分を大胆に表現している。

  • ヒトの大いなる矛盾というか…そうでなくては生きていけないけど…
    衝撃的な読後感だった。

  • 深い人の話し。

  • 五味太郎初期の作品。

    衝撃の展開。

    これは、「ユメ ヲ ミ」ますよ。

  • いいと思います。宇宙人が出てきましたからね?まぁ人については、そういうことかなぁ。

  • 人は忘れないというのが印象的でした^_^

  • 本当にヒトって。いけない。いけない。

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著者プロフィール

五味太郎 1945年生まれ。工業デザイナーを経て絵本の世界へ。サンケイ児童出版文化賞、東燃ゼネラル児童文化賞、ボローニャ国際絵本原画展などで数多くの賞を受賞。絵本に『きんぎょが にげた』『かぶさん とんだ』『さんぽのしるし』『ばったくん』『みんなうんち』『からだの みなさん』『どこまで ゆくの?』『にているね』(以上、福音館書店)『まどから おくりもの』『仔牛の春』『つくえはつくえ』(以上、偕成社)『かくしたの だあれ』『たべたの だあれ』(ともに文化出版局)『さる・るるる』(絵本館)「らくがき絵本」シリーズ(ブロンズ新社)など多数。絵本論『絵本をよんでみる』(平凡社)、絵本の仕事をまとめた『五味太郎 絵本図録』(青幻舎)がある。

「2023年 『おでかけ版 ひよこは にげます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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